過 - 漢字私註

説文解字

過
度也。从聲。
辵部

康煕字典

部・劃數
辵部・九劃

『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤古臥切、戈去聲。『玉篇』度也、越也。『正韻』超也。『易・繫辭』範圍天地之化而不過。『禮・檀弓』過之者、俯而就之。『史記・贾生傳』自以爲過之、今不及也。

又過失也。『書・大禹謨』宥過無大。《註》過者、不識而誤犯也。『前漢・文帝紀』俱去細過、偕歸大道。

又罪愆也。『周禮・天官・大宰』八柄、八曰誅、以馭其過。

又責也。『史記・項羽紀』聞大王有意督過之。

又卦名。易大過、小過。

又『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤古禾切、音戈。『廣韻』經也。『書・禹貢』東過洛汭、北過洚水。

又過所也。『釋名』過所至關津以示也。或曰傳轉也、轉移所在、識以爲信。

又國名。『左傳・襄四年』處澆于過。《註》過、國名。東萊掖縣有過鄕。

又㵎名。『詩・大雅』溯其過㵎。

又姓。『後漢・劉陶傳』過晏之徒。《註》過、姓、過國之後。

『正韻』經過之過、平聲。超過、過失之過、去聲。

部・劃數
辵部八劃

字。

異體字

簡体字。

音訓

(1) クヮ(漢、呉) 〈『廣韻・去聲・過・過』古臥切〉[guò]{gwo3}
(2) クヮ(漢、呉) 〈『廣韻・下平聲・戈・戈』古禾切〉[guō]{gwo1}
(1) すぎる。すごす。こえる(超過)。まさる。あやまつ(過失)。あやまち。とが。つみ。
(2) へる(經過)。わたる。よぎる。

解字

古い字形はに從ひ聲。後に辵に從ひ聲。

落合の説く字義が原義なのか派生義なのかは判斷不能。

白川

形聲。聲符は。『説文解字』にわたるなりと度越、通過の意とする。咼は殘骨の上半に、祝禱を收める器の形を加へ、呪詛を加へる呪儀。特定の要所を通過するとき、そのやうな祓ひの儀式をしたのであらう。

藤堂

と音符の會意兼形聲。咼は、上に丸い穴の開いた骨があり、下にその穴に嵌り込む骨のある形で、自由に動く關節を示す象形字。過は、兩側にゆとりがあつて、するすると障りなく通過すること。勢ひ餘つて行き過ぎる意を生ずる。

落合

甲骨文はを意符、を聲符とする形聲字で𨒵につくる。假借して通告の意味に用ゐる冎に意符として辵を加へた繁文。

また異體に受のやうな形を用ゐたものがあり、通達文書を受け渡す意であらう。(補註: 受は二に從ふ。當該字は、又と舟とに從ふ。)

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 通告すること。過告や過曰と稱される。冎告と同意。《合集》36528乙丑王卜貞、今禍巫九咎、余亡尊。過告侯田、冊𠭯方羌方羞方轡方、余其從侯田戴、戔四封方。
  2. 地名。《合集》36477癸亥卜在過貞、…執…尤。

古文で口を加へて現用の字體となつた。また後代には通告から轉じて「すぎる」の意に用ゐられた。

漢字多功能字庫

に從ひ聲。本義は渡過(渡ること)。『書・禹貢』北過降水、至于大陸。

その他の用義は以下のとほり。

屬性

U+904E
JIS: 1-18-65
當用漢字・常用漢字
過󠄁
U+904E U+E0101
CID+13669
過󠄃
U+904E U+E0103
MJ026042
過󠄄
U+904E U+E0104
MJ058856
𨓺
U+284FA
U+8FC7

関聯字

過聲の字