| 「この便りを受け取るためだけにここまで来たのです」
と
電報を手渡しながら
郵便局員
言うのだった
告げるものの常で
黄色の制服が憎々しくて
どこから拾ったか知れない
帳面に書き入れている
一杯に広がった鉛筆の跡
なぞっている
「ここに署名を」
その空白だけが
許可された
渡航先である
制限されたパスポートの
意味
約束
おざなりの詫び言
見えるか見えないかの
微笑
どこにあるのかしれない差出人の国の名が上の方に
シールを貼って閉じる
スタンプを押して受け入れる
もう、
とうから定められていた宛先であった |