晴れ間の中へ
走り出すルアージュ
乾いた朝の風の中へ
たち込める甘い香水
ムスク・バニラ・ジャスミン・ローズ
南国の水果みたいな胸の娘と
大声で叫ぶ若い男
日差しの中へ
南へ下る
カセットテープに合わせて
大声で歌う娘たち
笑い声を上げて
ハビービ 愛する人よ
体を揺らして
陽光で気温は上昇する
僅かに開いた窓から
流れこむ風だけが
涼やかな
オレンジジュースのように
甘く
吹きすぎる風景は
山並みのない真平らな土の乾いた色と
汚れた白い箱のような四角い家と
オリーヴ・オリーヴ・オリーヴ
だけの
単調さ
白い家にはいつも水色の扉
いつの間に見覚えていたのか
何もかも同じのようで
同じではないと
何かが呼んでいるのが
そうさ、まるで家に帰ってきたんだ
ほら、あの道の向こうに、
海が
この道の
この土野原の向こう、
オリーヴの向こう、
眼差しの彼方
走り出す
晴れ間の中へ
人々を詰め込んだ乗合タクシー
乾いた風と陽光と
音楽
透明に突き進む
真っ直ぐな道の遥かへと |