| 小鳥が告げる。
王女よ、もう誰もあなたを呼んではいない。あなたは年老いた。あなはの髪は雪の色。あなたの肌は皺でおおわれ、目は夜を見ず、耳はありもせぬ音を聴く。 王女よ、かつてあなたの恋人は、あなたを待って、塔の下。けれども、あなたは躊躇い怖れ、塔から降りずにとどまった。あなたを呼んであなたを待って、捕らえられた、あの騎士は、夜明けには城門で、風に吹かれるさらし首。 王女よ、この城にはもう誰もいない。あなたを閉じ込めた父王も、最早この世の人ではない。あの時塔を降りた、あなたの姉は騎士たちと共に異国へ去った。もう誰もあなたを呼びはせぬ。二度とあなたを呼びはせぬ。あなたは塔で、ただ独り。 小鳥は息絶え、王女は夜の庭の中。最早リュートの音も流れぬ、静かな闇に立たずんでいる。▼ |
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