あれは愛の歌。愛の歌。
終に王女の問いに一羽の小鳥が答えた。

あれは愛の歌。手を差し伸べてと希う歌。遠い国へ呼び寄せようと宵闇に紛れて誘う歌。森の中から流れている、あの愛の歌に耳を貸さないで。

けれども王女は銀の笛を取る。塔の窓辺に一人立ち、澄んだ音色を奏でだす。あのリュートの音へ答えようと。
笛の音とリュートの音は響きあい、一方は森へと舞い降り、一方は塔へと立ち昇り、睦みあい溶け合い、月光の中流れる。

どこにいるの。森の騎士よ。夜の闇に紛れて迎えに来て。私はこの塔の中。森を見下ろす塔の中。月の光に程近く、窓格子から見下ろしている。その音はそばに触れるほど近いのに、私は一人塔の中。お父様に閉じ込められた。