龜 - 漢字私註

説文解字

龜
舊也。外骨内肉者也。从、龜頭與它頭同。天地之性、廣肩無雄。龜鼈之類、以它爲雄。象足甲尾之形。凡龜之屬皆从龜。居追切。
十三龜部
𠁴
古文龜。

説文解字注

龜
舊也。此以㬪韵爲訓。門聞、戶護之例。龜古音姬、亦音鳩。舊古音臼、亦音忌。舊本鴟舊字。叚借爲故舊。卽久字也。劉向曰、蓍之言耆、龜之言久、龜千歲而靈、蓍百年而神、以其長久、故能辨吉凶。『白虎通〔蓍龜〕』語略同。龜之大者曰鼇。敖與久音相近。外骨內肉者也。外骨、『〔周禮〕考工記・梓人』文。鄭云龜屬。从它。龜頭與它頭同。此如黽頭與它頭同。魚尾與燕尾同。兔頭與㲋頭同。㲋足、彘足、能足與鹿足同。虎足與人足同。兕頭與禽頭、离頭同。皆其物形相似、故製字同之也。此說从它之意也。天地之性。廣肩無雄。龜鼈之類。㠯它爲雄。列子〔天瑞〕』曰、純雌其名大𦝫、純雄其名稺蜂。《張注》大𦝫、龜鼈之類也。稺、小也。許注𧒘蠃、亦偁列子。按以它爲雄、則其子皆它子也。故字从它。此从它之又一說也。龜篆文下部象足甲尾之形。从它者、象它頭而巳。左象足。右象背甲。曳者象尾。居追切。古音在一部。讀如基。音轉讀如鳩。凡龜之屬皆从龜。
𠁴
古文龜。象形而不从它。

康煕字典

部・劃數
部首
古文
𠃾𠁴𤕣

『唐韻』居追切『集韻』居逵切『韻會』居爲切、𠀤音騩。甲蟲之長。『說文』龜、外骨內肉者也。『玉篇』文也、進也。外骨內肉、天性無雄、以虵爲雄也。『爾雅・釋魚』十龜、一神龜、二靈龜、三攝龜、四寶龜、五文龜、六筮龜、七山龜、八澤龜、九水龜、十火龜。

又『爾雅・釋魚』龜三足、賁。《疏》龜之三足者名賁也。

又『廣雅』龜貝、貨也。『前漢・食貨志』天用莫如龍、地用莫如馬、人用莫如龜。

又星名。『石氏星經』天龜六星、在尾南漢中。

又地名。『春秋・桓十二年』公會宋公于龜。『杜註』宋地。

又山名。『詩・魯頌』奄有龜蒙。『毛傳』龜、山也。左傳、龜隂之田在山北。山今在山東兗州府泗水縣。

又背梁。『左傳・宣十二年』射麋麗龜。《杜註》麗、著也。龜背之隆高當心者。

又官名。『周禮・春官・龜人』掌六龜之屬。

又龜目、酒尊也。『禮・明堂位』周以黃目、蓋以龜目飾尊、今龜目黃。

又『廣韻』居求切、音鳩。龜兹、西域國名。『前漢・西域傳』龜兹、音鳩慈。

又『集韻』『韻會』袪尤切『正韻』驅尤切、𠀤音丘。龜兹、漢縣名。『前漢・地理志』上郡龜兹屬國都尉治。《註》應劭曰、音丘兹。師古曰、龜兹國人來降、處之於此、故名。○按龜兹之龜、有鳩丘二音。

又『張衡・西京賦』摭紫貝、搏耆龜。搤水豹、馽潛牛。○按此則龜亦叶尤韻、不獨龜兹有丘、鳩二音也。

又『集韻』『韻會』𠀤俱倫切、音麋。『莊子・逍遙遊』宋人有善爲不龜手之藥者、世世以洴澼絖爲事。《註》不龜、謂凍不皺瘃也。『釋文』舉倫反。

又叶於居切『易・損卦』或益之十朋之龜、弗克違。『王褒・僮約』結網捕魚、繳鴈彈鳧。登山射鹿、入水擉龜。

部・劃數
龜部(零劃)

『正字通』本字。

部・劃數
乙部・十劃

『玉篇』古文字。註詳部首。

部・劃數
丨部・十一劃

『說文』古文字。註詳部首。○按『玉篇』書作𠃾、『集韻』書作𤕣、今分見。

部・劃數
爻部・八劃

『集韻』、古作𤕣。註詳部首。○按【說文】本作𠁴。【字彙】仍之。【正字通】從【集韻】、改作𤕣。【玉篇】別書作𠃾

部・劃數
龜部・三劃

『字彙補』同

異體字

簡体字。

いはゆる新字体。

音訓・用義

(1) キ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・脂・龜』居追切〉[guī]{gwai1}
(2) キウ(漢) 〈『廣韻・下平聲・尤・鳩』居求切〉[qiū]{gau1}
(3) キン(漢) 〈『集韻』俱倫切、音麋、平聲〉[jūn]{gwan1}
(1) かめ
(3) ひび

龜兹は音(2)に讀む。

音(3)は釁に通ず。龜手は音(3)に讀み、手のひびきれ、ひびきれのある手のこと。

龜裂は、音(1)に讀めば(龜甲の模樣のやうな、あるいは龜卜のときのやうな)裂け目、割れ目を指し、音(3)に讀めばあかぎれ、ひびを指す。

解字

白川

象形。龜の全形に象る。

『説文解字』に舊なりと舊久の意を以て解するのは音義説。

古く龜卜に用ゐた。その形は天圓地方、長生の靈物とされたのであらう。殷墟出土の龜版には、その甲橋部分(腹背の連なるところ)に貢納、修治者の名と數とを記してをり、各地から獻納されたものである。

藤堂

象形。龜を描いたもので、甲羅で身體全體を圍つた龜。外から丸く圍ふ意を含む。

落合

象形。龜の側面形に象る。上部に頭、左側に脚があり、右側が甲羅の形を表してゐる。甲骨文にまた龜を上から見た形の字があるが、用法が異なつてゐる。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. かめ。龜または占卜に用ゐる龜甲。側面形の字體。《合集》17666丙午卜、其用龜。
  2. 人名。第一期(武丁代)。側面形の字體が多い。《東京大學東洋文化研究所藏甲骨文字・圖版篇》311貞、龜不其南、以年。
  3. 祭祀名に用ゐる。龜至や龜祝とも言ふ。上から見た形の字體。《殷墟花園莊東地甲骨》291乙酉、歲祖乙小⿱冖羊䝅、⿰示又鬯一、龜祝。在

漢字多功能字庫

甲骨文、金文は、龜を橫から見る、あるいは上から見下ろす形に象る。龜の頭、尾、足、甲をすべて具へる。本義は龜。龜と黽の字形は相似し、龜には尾があり、後足が眞つ直ぐ伸びてゐるが、黽には尾がなく、後足が折れ曲がつてゐるところが異なる。戰國楚文字の龜と黽は同じ形。またあるいは昆字と混淆する。《上博一・緇衣》簡24我昆既厭、不我告猶。の昆は龜の誤り(季旭昇)。

甲骨文での用義は次のとほり。

金文では族氏名に用ゐる。龜父丁爵龜父丁

龜が一般に長壽であることから、古人は能く神明に通じるとし、故にその甲を卜問に用ゐ、龜卜をなす。

《段注》劉向曰、蓍之言耆、龜之言久、龜千歲而靈、蓍百年而神、以其長久、故能辨吉凶。

屬性

U+9F9C
JIS: 1-83-93
龜󠄄
U+9F9C U+E0104
MJ030154
𠃾
U+200FE
𠁴
U+20074
𤕣
U+24563
𪚨
U+2A6A8
U+9F9F
U+4E80
JIS: 1-21-21
常用漢字(平成22年追加)

關聯字

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