逮 - 漢字私註

説文解字

逮
唐逮、及也。从聲。
註に臣鉉等曰、或作迨。といふ。
辵部

説文解字注

逮
唐逮、逗、及也。唐逮雙聲。葢古語也。『〔爾雅〕釋言』曰、遏遾逮也。『方言〔七〕』曰、東齊曰蠍、北燕曰噬。逮、通語也。从辵隶聲。《隶部》曰、隶、及也。此形聲包會意。徒耐切。古音在十五部。

康煕字典

部・劃數
辵部八劃
古文

『廣韻』『集韻』『韻會』徒戴切『正韻』度耐切、𠀤音代。『說文』及也。『易・繫辭』水火相逮。《註》水火不相入而相逮及。『書・周官』夙夜不逮。

又『正韻』追也。『前漢・𠛬法志』逮繫。《註》辭之所及、則追捕之、故謂之逮。

又『集韻』『韻會』『正韻』𠀤蕩亥切、音迨。與迨同。

又『廣韻』特計切『集韻』『韻會』大計切、𠀤音第。逮逮、安和貌。『禮・孔子閒居』威儀逮逮。

又叶吐內切、音退。『前漢・郊祀歌』靑陽開動、根荄以遂。膏潤幷愛、跂行畢逮。

音訓

(1) タイ(漢) 〈『廣韻・去聲・代・代』徒耐切〉[dài]
(2) テイ(漢) 〈『廣韻・去聲・霽・第』特計切〉[dì]
(1) およぶ(逮及)。とらへる(逮捕)。

逮逮は音(2)に讀み、安和なるさま、穩やかに落ち著くさま。棣と通用。

粤語發音はdai6とdoi6が示されるが、使ひ分けの有無などは不詳。參考までに記せば、代はdoi6、第はdai6。

解字

白川

形聲。聲符は。隶は呪靈のある獸の尾を捕らへ持つ形。これによつて禍殃を地に移すので、逮ぶ、逮ぼす意があり、その轉移を受けた者を隸といふ。[⿱士示]がその呪獸の形で、祟と同じ。逮はのち逮捕の意に用ゐる。

『説文解字』に唐逮、及ぶなりとするが、唐逮の語義が明らかでなく、《段注》にも蓋し古語ならんといふ。

逮捕の義は、漢以後に至つて見える。

藤堂

と音符(手を伸ばして捕まへる)の會意兼形聲。

漢字多功能字庫

に從ひ聲。本義は及ぶこと。『左傳・成公十八年』晉悼公即位於朝、始命百官、施舍已責、逮鰥寡、振廢滯、匡乏困。」楊伯峻注「「施惠及于鰥夫寡婦。

また接續を表す。『國語・周語上』王從之、使於晉者、道相逮也。

また逮捕を表す。『史記・五宗世家』請逮勃所與姦諸證左。

介詞に用ゐ、趁(〜のうちに、〜に乘じて)を表す。『左傳・定公四年』逮吳之未定、君取其分焉。

副詞に用ゐ、僅かなるを表す。『漢書・王莽傳上』克身自約、糴食逮給。顏師古注纔得粗及僅足而已。

屬性

U+902E
JIS: 1-34-65
當用漢字・常用漢字