火 - 漢字私註

説文解字

火

燬也。南方之行、炎而上。象形。凡火之屬皆从火。呼果切。

火部

説文解字注

火

𤈦也。𤈦各本作燬、今正。下文曰「𤈦、火也。」爲轉注。

南方之行、炎而上。曰東方之行、曰西方之行、曰北方之行、相儷成文。

𧰼形。大其下、銳其上。呼果切。古音在十五部。

凡火之屬皆从火。

康煕字典

部・劃數
部首
古文
𤆄

『唐韻』『集韻』呼果切『韻會』『正韻』虎果切、𠀤貨上聲。『說文』火、燬也。南方之行炎而上。象形。『釋名』火化也、消化物也。亦言毀也、物入中皆毀壞也。『玉篇』𤆄者、化也、隨也、陽氣用事萬物變隨也。『古史考』燧人氏初作火。『書・洪範』五行、一曰水、二曰火。

又星名。『書・堯典』日永星火。《傳》火、蒼龍之中星。

又大火、鶉火、辰次之名。

又『禮・王制』昆蟲未蟄、不以火田。『前漢・成帝紀』火耕水耨。

又『周禮・夏官・司爟』變國火以救時疾。《註》春取楡柳之火、夏取棗杏之火、季夏取桑柘之火、秋取柞楢之火、冬取槐檀之火。『論語』鑽燧改火。

又盛陽曰炎火。『詩・小雅』田祖有神、秉畀炎火。《傳》炎火、盛陽也。《箋》螟螣之屬、盛陽氣嬴則生之。明君爲政、田祖之神不受此害、持之付與炎火、使自消亡。

又官名。『左傳・昭十七年』炎帝氏以火紀、故爲火師、而火名。《疏》春官爲大火。夏官爲鶉火、秋官爲西火、冬官爲北火、中官爲中火。

又『春秋・宣十六年』成周宣榭火。『左傳』人火也。凡火、人火曰火、天火曰災。

又『南史・齊武帝紀』魏地謠言、赤火南流、有沙門從北齎此火至、色赤而微、云以療疾貴賤爭取之、多得其驗、咸云聖火。

又『唐書・兵志』府兵、十人爲火、火有長。彍騎、十人爲火、五火爲團。『通典・兵制』五人爲烈、烈有頭目、二烈爲火、立火子、五火爲隊。

又『司馬法』人人正正、辭辭火火。《註》言一火與一火猶人人殊之人人也。卽俗謂火伴。『古木蘭詩』出門看火伴。

又人身有火。『本草綱目』心藏神爲君火。包絡爲相火。

又隂火、海中鹽氣所生。凡海水遇隂晦、波如然火、有月卽不復見。『木華・海賦』隂火潛然。

又山名。『山海經』崑崙之丘、其下有弱水之、淵環之其外有炎火之山、投物輒然。又『正字通』陸游曰、火山軍、其地鋤深、則有烈燄、不妨耕種。

又井名。『左思・蜀都賦』火井沈熒於幽泉。《註》火井、在臨邛縣。欲出其火、先以家火投之、須臾隆隆如雷聲、焰出通天、光輝十里、以筒盛接、有光無灰。

又寒火。『抱朴子・地眞篇』南海蕭丘、火春生秋滅。生木小、焦黑。

又火傳。『莊子・養生主』指窮放爲薪、火傳也。不知其盡也。

又南方有食火之國、其人能食火炭。

又『爾雅・釋魚』十龜、一曰火龜。《疏》龜生火中者。

又火䑕。『山海經』火山國、其山雖霖、雨火常燃、火中白䑕、時出山邊求食、人捕得之、以毛作布、名火澣布。

又姓。『明紀事本末』火濟、從諸葛亮南征孟獲有功、封羅甸國王。『正字通』洪武時、翰林火原潔。

又『廣東通志』古人一年四時改火。今瓊州西鄕音謂一年爲一火、火音微。東鄕人謂一年爲喜、或爲之化、乃喜之變音。

又叶虎洧切『詩・豳風』七月流火、八月萑葦。○按『唐韻』正、火、古音毀、轉聲則爲喜、故灰字从火得聲。而『左傳・襄三十年』或叫于宋太廟、曰、譆譆出出、鳥鳴于亳社。如曰譆譆、則爲火之徵也。是直以爲火當讀作毀、非止叶音矣。

又叶後五切。『韓愈・元和聖德詩』施令酬功、急疾如火。天地中閒、莫不順序。

又叶虎何切。『莊子・外物篇』利害相摩生火寔多、衆人焚和、月固不勝火。『韻會小補』今人謂兔岐脣曰火。蓋古音也。

『集韻』或作

部・劃數
火部(零劃)

『集韻』同

又『集韻』『類篇』𠀤𤰞遙切、音標。烈火也。『正字通』灬卽火字變體。凡四點在下者俱屬火部、猶水之从氵也。別音標。非。○按灬固卽火字、而『集韻』、『類篇』別有標音、必非無據。『正字通』太泥。

部・劃數
火部・二劃

『集韻』、古作𤆄。註詳部首。

又『集韻』將來切。同。詳災字註。

音訓

クヮ(漢・呉) 〈『廣韻・上聲・果・火』呼果切〉[huǒ]{fo2}
ひ。やく。

解字

白川

象形。

『説文解字』にくなり。〜。象形。とあり、火の燃える形。また南方の行なりとあり、五行思想によつて、火は南方に配當される。

藤堂

象形。火が燃えるさまを描いたもの。

落合

火が燃えてゐるさまに象る。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. ひ。火焰。火災。《合集》34797癸酉貞、旬亡火。
  2. 祭祀名。主に雨乞ひで行はれる儀禮。《合集》30319其求、火門、有大雨。
  3. 星の名。火星のやうに赤い星であらう。《合集》11503・驗辭七日己巳夕垔、有新大星、竝火。

甲骨文の要素としては火を用ゐた行爲を表す字などに使はれてゐる。

甲骨文の火との字形が近いため、火、山に從ふ字の一部には混同が見られる。

漢字多功能字庫

甲骨文は火焰が立ち上る形に象る。の形と較べて動きがある。原義は火。

甲骨文の火と山の區別は易しくない。一番大きな違ひは、火には兩點があり、山にはないこと。しかし、火字も往々にして點を加へない。山と火の底部の弧度もまた同じではない。山は比較的平らで、火は比較的彎曲してゐる。學者は辭例に從つて兩字を判別してゐる。火辭は未だ金文に見えない。戰國文字の火は線條化を經て、もともと左右に上向きに持ち上がる筆劃が左右下向きとなり、また縱劃の上に橫劃を飾筆に加へるものがある。

甲骨文での用義は次のとほり。

火との音は近く、また火は災禍の一に屬すので、卜辭ではまた禍の通假字となす(陳煒湛)。《合集》34797旬亡(無)火(上揭)は、十日の間災禍がないの意。

屬性

U+706B
JIS: 1-18-48
當用漢字・常用漢字
U+706C
JIS: 2-79-56
𤆄
U+24184

関聯字

火に従ふ字を漢字私註部別一覽・火部に蒐める。