廾 - 漢字私註

説文解字

『唐韻』居悚切、音拱。『說文』竦手也。从屮从又。今變作廾。揚雄說、廾、从兩手。

又『廣韻』九容切『集韻』居容切、𠀤音恭。又『集韻』渠容切、音蛩。義𠀤同。

『集韻』或作㫒。

『集韻』居容切、音恭。與廾同、竦手也。『玉篇』扶也。

『說文』廾本字。

『玉篇』居竦切。『說文』竦手也。亦作𢪒。

『唐韻』居竦切『集韻』古勇切、𠀤音拱。與𠬞廾同。『說文』揚雄說、廾、从兩手。

又『古文奇字』𢪒、古友字。○按『說文』又部𦫹字爲友、朱氏因其形似而譌指也。

會意。左右の手を竝べた形。

供の初文。卜辭に人を𠬞せんかのやうに用ゐる。

金文には《伯[戈冬]𣪘》德を秉ること𠬞屯(恭純)のやうに恭の意に用ゐる。

𠬞、供、恭はもと一字、のち分化した。

象形。兩手を揃へて物を捧げるさまを描いたもの。

會意。左右の手の形から成る。

甲骨文での用義は次のとほり。

字の要素としては物を持ち上げたり供物を捧げたりする意味で用ゐられることが多い。

廾と𠬞は同じで、恐らく拱手の意。拱の初文。

一説に廾は兩手で供へ奉る形を象るといふ。

𠬞と廾は同じ。甲骨文、金文は兩手が相向く形を象り、古文字の要素として捧げ奉る、捧げ持つの意を有す。

一説に兩手を組み合はせる形、本義は拱手(拱手の禮のこと)、拱の初文といふ(徐灝)。

甲骨文に「𠬞人」とあるのは人々を徵集して征伐に備へること。「𠬞牛」、「𠬞羊」は、牛羊を供へることで、供給、供奉を表す(參・葉玉森)。

金文の𠬞は氏族徽號。義は不明。字の要素としては、捧げ持つの義を有す。

説文解字・𠬞部のほか、以下の字など。