汝 - 漢字私註

説文解字

汝
水。出弘農盧氏還歸山、東入淮。从聲。
十一水部

康煕字典

部・劃數
水部三劃

『唐韻』人渚切『集韻』『韻會』『正韻』忍與切、𠀤音茹。水名。『說文』水出弘農盧氏、還歸山東入淮。『水經』汝水出河南梁縣勉鄕西天息山。『酈道元注』今汝水出魯陽縣之大盂山黃柏谷、至原鹿縣、南入於淮、謂之汝口。側有汝口戍、淮汝之交會也。『春秋釋例』汝水至汝隂褒信縣入淮。『詩・周南』遵彼汝墳。

又州名。『廣韻』春秋時爲王畿及鄭楚之地。左傳、楚襲梁、及霍、漢爲梁縣、後魏屬汝北郡、隋移于陸渾縣北、遂攺爲汝州。『廣輿記』今屬河南州、西有臨汝城古蹟。

又汝寧、郡名。『廣輿記』秦屬潁川、漢曰汝南、元曰汝寧郡、有汝陽縣。

又姓。『書・亡篇』有汝鳩、汝方、湯之賢臣。『左傳』有汝寬。

又『韻會』通作。『前漢・地理志』女陽、女隂、𠀤與汝同。

又爾女亦作爾汝。『書・益稷』子欲左右、有民汝翼。子欲宣力、四方汝爲。

音訓

ジョ(漢) 〈『廣韻・上聲・語・汝』人渚切〉[rǔ]{jyu5}
なんぢ

解字

白川

形聲。聲符は

『説文解字』に水の名とする。『詩・周南・汝墳』にその名が見える。

二人稱として『詩・大雅・蕩』咨汝殷商(ああ、汝殷商)のやうに用ゐる(補註: 中國哲學書電子化計劃Wikisourceともに女につくる。)が、金文には全て女を用ゐる。

藤堂

と音符の形聲。もと汝水といふ川の名。

二人稱代名詞を、近い音を持つ女、汝、などの字を當てて表した。

落合

形聲。に、または水滴を表す小點を加へた字。原義は河川名。女が聲符であらう。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 地名(河川名)。《合集》22098丁亥卜貞、汝有疾其水。
  2. 女性の名。第一期(武丁代)。婦汝とも。汝の出身か否かは不明。汝の領主への稱號が含まれてゐるかも知れない。
    • 《合集》14026貞、汝娩、不其嘉。
    • 《合集》15935・貢納記錄戊寅、婦汝示二屯。

後代には借りて二人稱にも用ゐられた。

汝は東周代には淮水の支流の名として見え、甲骨文の汝も同一河川であるかもしれない。

漢字多功能字庫

甲骨文はに從ひ聲。本義は人名。金文はみな女につくる。後に水名に用ゐる。『左傳・成公十七年』楚公子申救鄭、師於汝上。また地名に用ゐる。『廣韻・語韻』汝、亦州名。春秋時為王畿及鄭楚之地。

後世、汝を二人稱代名詞に借用する。

屬性

U+6C5D
JIS: 1-38-82
人名用漢字