私 - 漢字私註

説文解字

私
禾也。从聲。北道名禾主人曰私主人。
禾部

康煕字典

部・劃數
禾部・二劃

『唐韻』息夷切『集韻』『韻會』『正韻』相咨切、𠀤音司。『說文』禾也。北道名禾主人曰私主人。

又對公而言謂之私。『書・周官』以公滅私。『詩・小雅』雨我公田、遂及我私。『禮・孔子閒居』天無私覆、地無私載、日月無私照。

又家臣稱私。『儀禮・士相見禮』見於大夫曰、某也、夫子之賤私。『禮・玉藻』士自稱於大夫曰外私。《註》此大夫非己所臣、則稱外私。

又恩私也。『儀禮・燕禮』寡君、君之私也。《註》謂獨受恩厚。『禮・郊特牲』婦餕餘、私之也。『釋名』私、恤也、所恤念也。

又『爾雅・釋親』女子謂姊妹之夫曰私。『詩・衞風』譚公維私。

又天子以下皆曰私。『前漢・張放傳』大官私官。『服虔註』私官、皇后之官。『後漢・百官志』中宮私府令一人。

又姓。漢私匡。

又便也。『左傳・襄十五年』師慧過宋、朝將私焉。《註》謂小便。

○按『說文』專以禾訓私、而厶自爲部、訓姦衺也。引韓非、倉頡作字、自營爲厶、則私不兼公私義。今經傳公厶字皆作私、不復作厶矣。

音訓

シ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・脂・私』息夷切〉
わたくし。わたくしする。ひそか。みうち。よこしま。ゆばり。ゆばりする。
(國訓) わたくし(自稱)

解字

白川

の會意。厶はすき(㠯)の象形。耜を用ゐて耕作する人をいふ。

『説文解字』に禾なりとするが、その用例はない。

私とは私屬の耕作者をいふ。『韓非子・五蠹』に背私謂之公(私に背く、之を公と謂ふ)と公私對待の義とするが、公字は祭祀儀禮の行はれる公廷の平面形。公はその廟所を守る族長、私は私屬の隸農で、本來對待の義を成すものではない。公私の觀念を持つに至つて、「ひそかに」の意を生じた。

藤堂

(作物)と音符の會意兼形聲。厶は自分だけの物を腕で抱へ込むさま。私は、収穫物を細分して、自分のものだけを抱へ込むこと。ばらばらに細分する意を含む。

漢字多功能字庫

に從ひ音符聲。本義は專ら私田を指すと疑はれる。後に多く假借して公私の私となす。

金文に「私工」の語があり、製造機構の名稱で、戰國期の工官機構は公、私の兩系に分かれ、公は邦國を指し、各國の相邦の指導する工官機構や地方縣邑の官府に屬する工官機構などをいふ。私は私家を指し、國君あるいは封君に属する宮廷の工官機構や貴族内部の私人手工業を包括する(劉釗)。邵宮和私工、工感。秦虎形轄卌六年、私工、工勉。

秦簡では私は私人を指す。《睡虎地秦簡・法律答問》簡175以其乘車載女子、可(何)論。貲二甲。以乘馬駕私車而乘之、毋論。全句で、乘用車に女子を載せることを、どう罰するべきか、との問ひに對し、罰二甲、馬に車を牽かせ私人の車を動かし女子を載せることを、處罰しない、と應じた、の意。

屬性

U+79C1
JIS: 1-27-68
當用漢字・常用漢字