EUをめぐる英國民投票 (28.6.24)

23日、英では豫定通りEU残留離脱を問ふ國民投票を實施。報じられるところによれば、どうやら離脱と決した模樣。この結果を受けて、キャメロンは辭意を表明したらしい。

英佛百年戰爭により大陸から逐はれたイングランドは國教會を樹立するまでして獨立を保つてきた。WW2の後、大英帝國は終焉を迎へ、英國は嘗てないほどに大陸歐洲に近付いた。スターリング・ポンドこそ維持したもののEUの一部となり、ドーバー海峽の兩岸が地下トンネルで連結された。

しばらくこのまま行くのかと思ひきや、どうしてこのタイミングになつたのかは知らないが、イングランドは傳統的獨立路線に回歸することを選んだ。要因は色々あらうが、千年來の大陸に對する不信感がさうさう簡單に拭へるわけもないので、まあまあこんなものだよなあ、と思ふのみ。

ただ、これはあくまでイングランドの話であつて、スコットランドでは話が違ふ。そもそもスチュアート朝がグレートブリテンを統一するまで、スコットランドは大陸と組んでイングランドの後背を脅かすのが常であつた。投票の結果を受けて、スコットランドが再び獨立を問ひたいとしてゐるのは、當然の歸結である。

問題は、英國の離脱によつてドイツの比重がいや増すEUが今後どうなるか、の方であらう。第四帝國といふ冗句がそろそろ單なる冗談ではなくなりつつあるのかも知れない。今のドイツには別段の野心もなからうが、フランスやポーランドやデンマークがドイツの影響力増大をどう思ふか。西歐はまだ良いが、東歐は再びロシアかドイツかといふ窮極の選擇を迫られつつあるのかも知れない。

ともあれ、これで何かが決したといふよりは、全てがこれから次第といふ、まことに厄介な状況が出來したのだと思つてゐる。