説文解字私註 䇂部

䇂辠也。从干、二。二、古文上字。凡䇂之屬皆从䇂。讀若愆。張林說。
男有辠曰奴、奴曰童、女曰妾。从䇂、重省聲。
𥫍 籒文童、中與𥩓中同从廿。廿、以爲古文疾字。
有辠女子、給事之得接於君者。从䇂从女。『春秋』云、女爲人妾。妾、不娉也。

䇂部 舊版

説文解字
有辠女子、給事之得接於君者。从从女。『春秋』云、女爲人妾。妾、不娉也。
康煕字典
女部五劃
『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤七接切、音踥。接也。得接于君子者也。『禮・曲禮』買妾、不知其姓、則卜之。『前漢・五行志』處妾遇之而孕。《註》處妾、童女也。
國名。『山海經』雨師妾在其北。『楊愼曰』雨師妾如姮娥織女之類、非。下文元股國在雨師妾北、可證。
姓。漢妾胥、妾志、見『印藪』。
『說文』从䇂从女。䇂音愆。
セフ
はしため。めかけ。わらは。
解字(白川)
と女の會意。辛は入墨に用ゐる針。罪ある者にはこれで入墨を加へる。女には妾といひ、男にはといふ。説文解字に君に接するの接の義を以て解するが、本來は「神に接する」ために、神に捧げられたもので、もとは犧牲であらう。
解字(藤堂)
辛と女の會意。辛は入墨をする刃物。入墨をした女奴隸を指す。のち、妾は女性を卑しめていふ言葉となつた。また、接と同系で、身近に接して世話をする女、男と交接する女の意。
解字(漢字多功能字庫)
甲骨文、金文は、䇂と女に從ふ。䇂は刑具を象り、字は恐らく有罪の女子が頭に刑具を戴くの意。本義は女性の罪人、轉じて女僕、後には正式に娶つてゐない女子を表す。
甲骨文では罪有つて僕役に充てられた女子を表し、常に臣僕の臣に對して擧げられる。また、配偶を表す。
金文では有罪の女僕を表す。
戰國竹簡では本義に用ゐる。