読書メモのページ
 
「魔女が笑う夜」
カーター・ディクスン 著
ハヤカワ文庫

12月11日

匿名で中傷の手紙がストーク・ドルイドの村人たちに送られていた。
たまたまそこを訪れたヘンリ・メルヴェール卿は、「後家」と名乗る犯人捜しに乗り出すのだが。

中傷手紙に揺れ動く村人たちの描写、ロマンスあり、バザーあり、村の伝説あり、密室の謎解きにはあっけに取られるが(いくらなんでもそれはないでしょう、というようなトリック)、そこそこ面白い。
「名づけびとの深い声が」
熊谷ユリヤ 著
思潮社

12月8日

擬似科学的な言葉づかいでありながら、ロマンティックな趣きのある詩集。
どことなく少女めいた雰囲気が漂っている。
「栗色の髪の保安官」
P・M・カールスン 著
ハヤカワ文庫

12月1日

タイトルを見た時は、あまり面白くないかと思ったが、読んでみたら全然違うイメージだった。そもそも、主人公マーティ・ホプキンズが栗色の髪だという描写はほとんどないではないか。何とかならないのか、このマンガのようなタイトルは。

マーティ・ホプキンズは幼い娘を抱えながら、生まれ育ったインディアナ州の田舎町で保安官補をしている。
夫はいるのだが、夢を追いかけて家をでてしまっている。
マーティは女性の保安官と言うことで、中々事件に当たらせて貰えないでいる。そんな中、クー・クラックス・クランによる殺人が起きる。
マーティは、何とかしてこの事件を担当させてもらおうとするが、少女の過去の失踪事件に廻されてしまい、不満ながらもその調査を始める。しかし、実はそれが今回の殺人と関係があったのだ…

クランによる殺人事件というのが、アメリカの暗部を思わされる。
マーティの生き方にも好感を持てるし、最後の謎の解き明かしも驚かされるが(食品はよく加熱して食べましょう)、どうも印象がバラバラなところがあるのが惜しい。
登場人物の中で一番印象的なのはウルフ教授だが、彼女はグルのように、要所要所で物語とマーティとその周囲の人々を助け、導いて行くのだが、あまりに浮世離れした存在になっている。こうしたところも物語としてはまとまらなさを感じさせる一つの要因ではないかと思う。
「かささぎの啼く村」
金良植 著
花神社

12月1日

韓国の詩人、金良植の訳詩集。
平明な言葉づかいで、淡々とした詩が多いが、それがかえって静かにしみいるような情感を歌い上げていると思った。
漢詩に見られる望郷の詩にも似たものを感じる。
「気狂いモハ、賢人モハ」
タハール・ベン・ジェルーン 著
現代企画室

11月22日

詳細は次月
「ペスト」
アルベール・カミュ 著
新潮文庫

11月19日

詳細はこちらです。
「睡眠庭園」
藤井春日 著
Dai-X

11月17日

写真はイングリッシュガーデンの紹介。
小説は、谷山浩子風のところもあり、散歩のペースで語られる文体でもあり、興味を引かれるところはあるのだが、あまり面白くはない。出だしの雰囲気はいい。しかし、いつも尻すぼみになってしまう。アイディアを支えて、膨らませる文章の力に欠ける気がする。
11編目くらいになると、文も長くなって、良くなってくるのだが、最初の方は期待外れであった。
ある種、映画のような風景を撮影して行くような雰囲気があるが、それは、文章では決して無言では伝わらないものだと思う。欠落部分した、無言の部分が埋まればもっと面白くなるのではないだろうか。
「アラブ飲酒詩選」
アブー・ヌワース 著
岩波文庫

11月17日

戒律破りである飲酒の快楽を大らかに歌い上げる詩を多く書いたアブー・ヌワースの詩選。
他にも中傷詩(他人を中傷する詩)などの項目があって可笑しい。
後編の禁欲詩篇は飲酒詩篇に較べて面白くないが、放蕩の罪で獄死したことを思うと哀しさも感じる。
「アジア・アフリカ詩集」
高良留美子・訳 著
土曜美術社

11月2日

インド、タイから、アラブ、アフリカの詩人の翻訳作品をまとめた一冊。
多くの詩が、民族の運命や政治・社会との深い関わりを感じさせて、力強い。日本の現代の詩を読んでいてはあまり感じられない「血の濃さ」のようなものが滲み出ているかのようだ。

黒い森林は 身を震わせ
灼熱の空は 叫ぶ
洞窟の石の扉はひらかれた
一つの問いが 暗黒の大地から起ちあがる
さながら 空の乳房をなめる大地の赤い舌のように
アムリータ・プリタム「彼女は街をさまよった」
ぼくはぼくの血管を、宇宙を運び去る
河の中へ切りひらこう。
ぼくは 空中の円中の形をした
沈んでいく星々と共に歩きまわろう
そして遠い砂漠の哀しい岸辺に住む
人々のところへ戻ってこよう
アドニス「ある老いたるイメージの草」
「大地」
シャルカーウィ 著
国書刊行会

10月31日

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