過激なフェミニストを狙うのは誰か
ラディカルで過激な言動のマーラ・ストリクトランドがアメリカからオーストラリアに講演にやってくる。
マーラの団体宛てに、シドニー発の郵便爆弾が送られてきたことから、キャロル・アシュトン警部はボディーガードにつくよう要請される。
キャロルは狙撃による負傷から回復したばかりであり、ボディーガードの任務に抵抗するが、何故か上司から強制的に命令が下る。仕方なくキャロルは他の機関からのエージェントたちと、マーラのボディーガードを勤めるのだが…。
マーラ・ストリクトランドは、当初、レズビアンに対して否定的な態度をとる。
「レズビアンがフェミニズムの先鋒を担っているのは分かっているが、自分は、フェミニストであることで既に攻撃を受けている。これ以上、同性愛者というレッテルを貼られるわけにはいかない」と言うのである。フェミニストの内でも、同性愛者に対する差別感とは克服しがたいものなのであろうか。
キャロルが、マーラの強烈な物言いと態度にまた反発を感じているのだが、その講演で女性の平等について語るその姿には思わず「そうだ!そうだ!」と、心の中で呟いてしまう、というところなどが面白い。
フェミニズム、同性愛嫌悪、などのテーマを上手く盛り込みながら、ページを読み進めさせるエンターテイメント性もある一冊。シリーズの途中の一冊なので、キャロルの性格と他の登場人物について知るためには、シリーズの他の作品も合わせて読む方が良いようである。
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