科學技術關聯梗概

平成14年

平成14年7月19日 (金) : 超音速實驗機分離失敗

超音速實驗機が分離機構のポカで失敗。H-IIAによる大氣圈再突入機の實驗でも分離で失敗してゐたのを思ひ出し、悲嘆する。

平成14年9月18日 (水) : 反水素大量発生に成功

東大などがCERNの施設で反水素の大量生成に成功したとNatureオンライン版に發表。10月3日附本誌にも掲載。

平成14年12月14日 (土) : H-IIA打ち上げ成功

H-IIA4號機の打ち上げに成功。

平成15年

平成15年2月15日 (土) : ドリー死亡

クローン羊のドリーが死んでしまうた模樣。

Dollyは、1996年7月5日に生まれ、2003年2月14日に死亡した、初の哺乳類の體細胞クローン。

平成15年2月26日 (水) : パイオニア10號と交信斷絶

Pioneer 10 との交信斷絶の模樣。

平成15年4月24日 (木) : 新ビタミン

55年ぶりの新種ビタミンの名はPQQ

【後日註】その後、ビタミンとは斷言出來ないとされてゐる。

平成15年5月27日 (火) : ヒトES細胞

京大の研究所でヒトES細胞をつくつたとの事。

平成15年6月25日 (水) : 王立化學會による「完璧な紅茶の入れ方」

英王立化學會は完璧な紅茶の入れ方なるものを發表。流石聯合王國。

平成15年7月2日 (水) : ヒトとチンパンジーの差

チンパンジーの22番染色體の配列が確定。ヒトとの差異は15%との由。すると1%といふ數字はどこから湧いて出て來たのでせう。ともあれ、矢張そのくらゐ差があつて然るべきと妙に納得。

平成15年7月2日 (水) : 本邦版シャトルの實驗失敗

本邦版スペースシャトルの實驗機が大破した模樣。

平成15年8月13日 (水) : 「標準理論」に穴?

筑波の高エネルギー加速器研究機構で、B中間子と反B中間子の對が抱懷する過程で「標準理論」に據る豫想に反する結果が得られたと12日に發表さる。未知の粒子の存在可能性があるとの由。

平成15年8月20日 (水) : ダイヤモンド製半導體

NTTの研究所がダイヤモンドを基にした半導體を開發。高出力、高耐久性が賣りらしい。

平成15年9月4日 (木) : 新型AIBO

今日發表の新型AIBOのフォルムはメカつぽくて好い。前の何勘違ひしたか可愛らしい玩具の如き頭を附けた奴より餘程佳いと思ふ。

平成15年9月22日 (月) : ガリレオが木星に突入

米東部時間21日、NASAの木星探査機Galileoが、木星に突入し、探査活動に幕。

平成15年9月26日 (金) : トウモロコシ製光ディスク

三洋がトウモロコシ製光ディスクを發賣する由。1つのトウモロコシから10枚位造れるとのこと。

平成15年11月13日 (木) : のぞみの望み薄し

本邦の火星探査機「のぞみ」はこのままいくと火星に激突。激突はまづいので JAXA は囘避する方針であるが、故障してゐる電源が直らないと囘避は出來ても宇宙のゴミになつてしまふとの事。

【後日註】結局、電源系統が恢復せず、のぞみ側からの通信が途絶したままの状態につき、12月9日に軌道變更が指令され、12月14日に火星に再接近(推定)、12月31日に指令電波發信を停波して遺棄するに至つた。觀測機器類が生きてゐたなら、觀測は出來てゐて記録もされてゐるはずなのだが、7月9日以降のぞみ側からの通信が途絶してゐた以上、その是非や内容を知る術がなかつた。猶、當初の「激突」の表現は正確には大袈裟で、火星との衝突可能性が基準値を上囘つた爲、廻避せざるを得なかつたといふのが正確なところらしい。

平成15年11月18日 (火) : 飛行する小型ロボット

スラッシュドット ジャパン經由。セイコーエプソンが空飛ぶ小型ロボットを開発したとの由。実際にお空を飛ばせたら見失うか制御出來なくなるかしてお釋迦になるとしか思へないが、まあこれは單なる言ひ掛かり。まあそのうち其の邊の問題は解決されるんやらうけど、惡い使ひ方ばかり思ひ附くのは氣の所爲か?

平成15年11月20日 (木) : エボラ出血熱ワクチン臨牀試驗開始

スラッシュドット ジャパンより。遂にと言ふか、ちやんとやることやつてたんやねえと妙に感心。恐れ入ります。

平成15年11月29日 (土) : H-IIAロケット6號機打上失敗

偵察衞星2號機を搭載したH-IIAロケットは打ち上げられたものの、補助ロケット分離に失敗し、結局指令爆破により灰燼に歸す。嗚呼もう何やつてるんだか。こんなんで科學技術立國が聞いて呆れる。

【後日註】 H-IIAの打ち上げ失敗は、平成21年3月までで、15囘行はれた内、失敗したのはこの一度のみ。ただ、宇宙航空關係の失敗のニュースが續いてゐたので、きつい物言ひをしてしまつた。

平成15年12月5日 (金) : ホンダジェット

例によつてスラッシュドット ジャパンから拾うたネタ。プロペラ機エンジンつくつてゐる話はこの日記のどこかにも書いた記憶があるが、ジェット機もつくつてゐたとは。いやはや恐れ入る。抑も、1997年にプレスリリースが出てる模樣。それにしても、地面の上だけではやはり詰らんかつたんやらうねえ。

平成15年12月8日 (月) : ファイトプラズマ

それは遺伝子が最も少ない生物で、生存するに缺かせない物質をも寄生主から調達するといふ究極の寄生生物との由。農作物被害の原因にもなるとのことで、困つたものである模樣。

平成15年12月11日 (木) : 光子完全停止に成功

停止期間は數十萬分の一秒とのことであるが、停まるものなんやねえ。

平成16年

H16.3.7(Sun) クォーク凝縮を確認

東大、理化学研などの研究チームが「クォーク凝縮」現象を確認した由。要はクォーク3つぢや陽子や中性子の質量に全然足らない、實は周りに別のクォークが凝縮してゐるといふことらしい。對になつてるといふから、中間子? とか思つたりしたが、果てさてクォーク2つならなんでもかんでも中間子にしていいのか門外漢には不明である。一應、讀賣新聞7日附朝刊參照。

H16.3.28(Sun) 音速の7倍のジェット機

NASAは實驗機X-43Aで史上初のマッハ7を達成した模樣。

H16.3.31(Wed) 火星でメタン檢出

歐洲の火星探査機が、火星大氣中より微量のメタンを檢出した由。生物起源と期待する向きもあるが、火山起源である確率の方が遙かに高い樣な氣がする。

H16.4.15(Thu) 紙製光ディスク

凸版印刷と Sony は紙が原材料の 51% 以上を占める光ディスクを開發した由。肝心の記憶面は流石に紙では無理と思ふが、單に割合だけ示されたでは其の邊がよく分らぬ。

H16.4.22(Thu) 雌のみに由來する鼠

東京農大で卵子のみからマウスを誕生させるのに成功した由。哺乳類の單爲生殖の妨げになつてゐる遺傳子の解明に一歩前進、といふ事らしい。

H16.6.10(Thu) Riemann 豫想が證明さる?

スラッシュドット ジャパンなどに據ると、Riemann豫想が證明されたと發表された模樣。現在檢證が行はれてゐる由。

Riemann豫想とは、ゼータ關數ζ(s)の自明でない零點sは全て實部1/2の直線上に存在するといふものである。ここで自明な零點 s は負の偶數 (-2, -4, -6, ...) である。

尚, ゼータ關數の定義は、ζ(s) = 1 + 1/2^s + 1/3^s + 1/4^s + ... である。 x^y はここでは x の y 乘の意味ね。

で、何の役に立つのかは恥づかし乍らよう分らず。

H16.6.30(Wed) 青い薔薇

サントリーが青い薔薇の開發に成功した模樣。交配ではなく遺傳子組込によるものらしい。

H16.8.9(Mon) 太陽光推進帆展開實驗成功

JAXAは、太陽光反射に因り推力を得る「ソーラセール」實用化の爲、薄膜の展開實驗を行ひ、成功した模樣。

H16.9.28(Tue) 理研が第113番元素を發見

理化學研究所は、第113番元素を發見したと發表。今後、元素命名權が得られる可能性があり、候補として「ジャポニウム」、「リケニウム」が擧がつてゐるが、個人的には幻と消えた「ニッポニウム」を推したい氣がする。

H16.10.7(Thu) 羽毛の生えたティラノサウルス

支那で白堊紀前期の地層から、羽毛を持つティラノサウルス類の化石が出た由。かの有名な T.rex ではなく、同系統といふことだが。ただ、報道は「類」とあるのみで、どこまで同系統なのか、「科」レベルか「屬」レベルかさつぱり分りやしない。

H16.10.17(Sun) パンの切れ端から水素を生成

サッポロビール、島津製作所、および廣島大學大學院先端物質科學研究科は、製パンで出る廢棄物等から水素を生成する技術を共同開發した由。

ポイントは、高效率化と、脱硫の必要がない點といふことらしい。

H16.12.8(Wed) 虎の新亞種提唱

米國立癌研究所などは、遺傳子解析の結果、マレー半島棲息のは、從來同じとされてゐたインドシナ半島の虎とは亞種レベルで別物であるとし、新亞種に分類すべきと提唱。

H16.12.23(Thu) 火星で火山噴火の可能性?

本日附の英科學誌Natureに、約240萬年前に火山活動があつたといふ調査結果が發表された由。數百萬年の活動休止はあり得るといふことで、今後、火星のオリンポス山が噴火する可能性もあるとのこと。尤も、そのときまで吾人が生きてゐるかといへば、それは誰にも、屹度八百萬の神々にも、分らない。

平成17年

H17.1.6(Thu) 原子スイッチ

物質・材料研究機構、科學技術振興機構及び理化學研究所は、「原子スイッチ」なる微細デバイスの開發に成功した由。將來、半導體デバイスを置き換へ、微細化、低消費電力化の達成に繋がる代物といふことであり、興味深い。また、不揮發性といふのも大きな利點となることであらう。實用化されれば非常に面白いものであると思ふ。

H17.2.26(Sat) H-IIA 打上げ成功

JAXA は18時25分、H-IIAロケット7號機を打上げ、同ロケットは順調に飛行した後、運輸多目的衞星MTSAT-1Rの切り離しに成功した由。取り敢へず、ロケット打上げ成功を賀するものなり。

あとは、衞星が豫定通り靜止軌道上に入り、目論見通りの性能を發揮すれば萬事よかつたといふことになる訣だが。

H17.3.10(Thu) Izumo、其は「縁結び」の蛋白質なる

阪大遺傳情報センターの岡部勝教授らが受精に關はる蛋白質を發見し、Izumo と命名した由。本日附 Nature に掲載との事。

不妊治療や避妊法に應用出來るかもしれないとか。應用の方向が眞逆なのがなんとも言へない。

H17.4.13(Wed) ハッブル望遠鏡修理の方針に轉換?

NASA次期局長に指名されたDr. Michael Griffinは、上院公聽會に於いて、抛棄する方針であつたハッブル宇宙望遠鏡につき、スペースシャトル打ち上げ再開後に修理、運用繼續を再檢討すると表明。

H17.5.6(Fri) 土星の衞星12個を新たに發見

これまで34個が報告されてゐる土星の衞生が新たに12個發見された由。どれも直徑數kmの小さなものらしい。

H17.5.27(Fri) 關東の地下に今まで想定外のプレート

産業技術綜合研究所活斷層研究センターの遠田氏の言によれば、從來群馬あたりまで延びてゐるとされてゐた比律賓海プレートが東京灣邊りまでしかなく、その先に別のプレートがある可能性大とのこと。

東京灣岸から群馬にかけてプレートの上に乘つかつてゐる形のやうであり、何といふか、足場が不安定なことがいよいよ露呈した感じがひしひしとするのである。もつと安定したところに遷都するのが吉、と思つたが、そんないいところが列島内にあるのかどうかがまづ問題か。

H17.6.2(Thu) 人を信用させるホルモン

チューリヒ大の研究チームが今日附のNatureに發表したところによると、オキトキシンなるホルモンが人に對する信頼感を増進させる效能があるさうな。不健全な對人不信の解明や治療への應用が期待される一方、惡用が心配されてもゐる。

H17.7.4(Mon) NASA探査機、彗星「射撃」に成功

NASAは、探査機Deep Impactの射出した衝突體がテンペル第1彗星の核に命中したことを確認、衝突時の核成分噴出の觀測に成功した模樣。

H17.7.10(Sun) M-V 6號機打ち上げ成功

JAXAは本日12時30分、X線天文衞星ASTRO-EIIを搭載したM-Vロケット6號機の打ち上げを實施。打ち上げは成功し、衞星を所定軌道に投入したことが確認された由。

ASTRO-EII は軌道投入成功を以て「すざく」と命名された。

H17.7.15(Fri) 活性酸素は老化に關與せず?

東大などのチームが15日附Scienceに發表したところによれば、從來老化の原因の一つとされてきた活性酸素が老化には關與してゐなかつたといふことらしい。更に、ミトコンドリアDNAの損傷蓄積が老化の一因となるメカニズムを解明したさうであるが、どういふメカニズムなのかはさつぱりである。該當研究室のウェブサイトを見てもこの件に關しての資料らしきものは見當たらないし。

H17.7.26(Tue) スペースシャトル打ち上げ成功

NASAはスペースシャトルDiscoveryを現地時間10時39分に打ち上げた。その後外部燃料タンク切り離しまで順調に進行し、打ち上げは成功。

H17.7.30(Sat) 第10の惑星?發見

NASAの29日の發表によると、冥王星より外側を廻り、冥王星より大きい天體を發見した由。今のところ2003 UB313と呼稱されてゐるさうだが、新名稱を申請中とか。ただ、冥王星より大きいといふだけで惑星と認定されるかは微妙であるとも。この結末や如何に、といふところで締めておく。

【後日註】 結局、2003UB313は準惑星に分類され、小惑星番號136199を附され、Erisと命名された。

H17.9.2(Fri) DNA の有效な領域、從來説より大幅に増える

理研などが今日附のScienceに發表したところによると、從來蛋白質合成に關はりがないといふことで「役立たず」とされてきたDNAの多くが、遺傳子や蛋白質を制禦するRNAの「型」になつてゐるとのこと。

專門ではないが、分子生物學の單位は一應「可」と雖も取得してゐるので書けば、蛋白質の合成は、DNAからRNAを轉寫し、RNAが鹽基配列に基づいてアミノ酸から蛋白質を合成、といふ手順になる。これまでは、この蛋白質合成の基になる DNA のみが「有效情報」と看做されてきた。これが全體の約2%程であるといふことである。

今回の發表によれば、殘り98%の領域にも、蛋白質合成以外の用を爲すRNAに轉寫されるDNAがある、とかういふことであり、結局、全體の7割が「有效情報」といふことになるらしい。

まあ、全體の2%ではあまりに無駄が多い訣で、今囘の學説はさういふ意味では直觀に照らしても諒と出來るものであらう。

H17.9.12(Mon) 小惑星探査機、目的の小惑星に到達

小惑星探査機はやぶさが、探査目標の小惑星イトカワに到達。

11月まで觀測を續けた後、金屬球を打ち込んで破片の採取を行ふ豫定とか。たまにはすんなり上手くいくところを見せて貰へるものと期待する。

H17.9.13(Tue) 太陽觀測衞星ようこうが大氣圈突入

JAXAは、運用を昨年4月に終へてゐた太陽觀測衞星ようこうが、12日夕にインド洋上空で大氣圈に突入、燒損消滅したと發表。

H17.10.3(Mon) ノーベル醫學・生理學賞はピロリ菌發見者に授與されると發表

今年のノーベル醫學・生理學賞は、Helicobacter pyloriを發見した濠洲のProf. Barry J. MarshallとDr. J. Robin Warrenに授與されると發表。

H17.10.4(Tue) ノーベル物理學賞は光學分野の3氏に授與されると發表

今年のノーベル物理學賞は、光學分野に貢獻したとして、Prof. Roy J. Glauber、Dr. John L. Hall、Prof. Theodor W. Hänschに授與されると發表。

H17.10.5(Wed) ノーベル化學賞は「メタセシス反應」の研究者3名に

今年のノーベル化學賞は、メタセシス反應なる化學反應に關する手法開發の功で、Dr. Yves Chauvin、Prof. Robert H. Grubbs、Prof. Richard R. Schrockに授與されると發表。

H17.11.2(Wed) テロメア減少率は父系遺傳する?

今日までに、テロメアの減少につき、以下の二つが言へるやうだとの研究結果が発表された由。

まあ、壽命を決めるのはテロメアだけではないので、壽命が盡く父系遺傳とは言へない訣だが。

H17.11.20(Sun) 小惑星探査機でトラブル

イトカワに着陸を試みた探査機はやぶさが一時通信に齟齬を來し「行方不明」になつてゐた模樣。結局着陸はしてゐなかつたとみられる。

JAXAは25日に再度着陸、資料採取を試みる豫定。

H17.12.7(Wed) 曲げられる高速充電可能な電池 by NEC

NEC が「有機ラジカル」を用いた高速充電可能で柔軟性のある薄型電池を開發したと發表。重金屬を用ゐてないので環境に優しい、のも賣りらしい。

平成18年

H18.2.23(Thu) 冥王星の衞星新發見についてNatureに發表

平成17年10月31日に發表された、冥王星の新たな衞星2つの發見について、23日付Natureに論文が掲載された。

發見された衞星は、Nix及びHydraと命名された。2005(平成17)年5月のハッブルの畫像から、6月にMax J. Mutchlerが、8月にAndrew J. Stefflが、各々獨立して發見し、同10月31日に發表された。

H18.9.15(Fri) 2003 UB313 は Eris と命名される

一時第十惑星になるかとも言はれた 2003 UB313はErisと命名された。分類は先頃新設されたdwarf planet (【後日註】後日、準惑星の譯が推奬となつた)。小惑星番號は136199。2005年發見のErisの衞星(S/2005 (2003 UB313) 1)はDysnomiaと命名。