| 甘ければ甘いほど濃密であればあるほど渇いてしまうものだ。繰り返し聞いた音楽が否が応にも耳について離れないことはないか、それがメロディー豊かな甘い旋律なら尚更ではないか、繰り返すリフレインこそが今や主題となるのだ。いつも勝者のみが勝ち続けることが出来るという法則。それならば飛翔のためにはより高い飛翔を。潜航のためのより深い沈潜を。初めに酒を勧めたのは誰だったのかと言う問いは今更遅すぎる。恐らく酒宴は既に始まっていた。遅れてきたのだ。遅れて来た者の戸惑いの中に居座り続けながら、何故誰かの乾杯を求めるのか。乾杯の言葉はいつも通じてはいないだろう。お互いに見も知らぬ異国人なのだから、酒宴に招かれてはいても。さあ、と注ぐ酒の一杯は甘過ぎる。そして飲むのだ、杯の奥を覗くために飲み干さなければならない。深海に沈むものたちが耳にしているのは遠い音ばかり、海の底に沈めた壺、もう他には何も聞く必要などない。 |
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