彼はいつもそこにいた
礼服をまとい
勲章に飾られた背筋
晴れやかな一瞬の
組み合された手
黒髪は染料の匂いも若草に似て
修正された青春の微笑
どこにでもいる
ちりばめられた
楕円の焦点
の一つ

窓の外は晴れ上がり
日差しは透明な通りを突き抜ける
美しい青に染められた内装の
眼鏡屋では
サングラス一つ
220ディナール
金塗りの星が階段の手すりにとまっている
海の青

水煙草に煙る白昼のカフェで
飽きもせずに話しつづける男達
一杯のディレクトで
三時間過ごしても
370ミリーム
陽気は初夏
往来を眺めて過ごす
交差点の時計は止まりっぱなし
気温は25℃

他愛もない話を繰り返しながら
けれども
素早く
舌を突き出してハサミで切る真似をした
ああ、そうか
分かってるよ分かってる
それより
新聞をよこしてくれよ
昨日のフットボールはどっちが勝った

微笑に閉ざされた肖像
カフェの奥で埃まみれ


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ディレクト…カフェ・オレのこと
1ディナール=約83円
1000ミリーム=1ディナール

 
 
 
 
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