敏子さんの悩み

登場人物:八木敏子・・・東都銀行に勤めて三年になるOL。最近仕事のことで悩みがあって、今の会社に就職するときに保証人になってくれた叔父さんに相談することにした。
       八木敏子の叔父・・・大手のコンピューターソフト開発会社の部長。

敏子:叔父さん。ご無沙汰していてすみません。
叔父:本当に久しぶりだね。
敏子:保証人担っていただいたときはお世話になりまして、本当にありがとうございました。
叔父:いやいや。仕事にはもう慣れた?
敏子:それが、朝から夜までお金の計算ばかりで、思っていた仕事はぜんぜん違うんです。重要な仕事もなかなかさせてもらえないし・・・。実は、会社をやめようかと思っているんです。
叔父:ふうん・・・、そうか。たしか三年前に就職したときには、最低十年はやめるつもりはないって言ってたのに、どうしたの。
敏子:ええ、私も一人前にならないうちは、やめるまいと思っていたんですが・・・。でも転職するなら、早ければ早いほどいいと思うんです。
叔父:そうか。実は、内の会社でも最近、入って半年ぐらいでやめる新入社員が増えていて、頭が痛いんだ。
敏子:半年ですか。ずいぶん早いんですね。
叔父:うん。最近の人は、希望通りの仕事をさせてもすぐにやめようとするんだなあ。
敏子:いったいどんな理由でやめるんですか。
叔父:理由はいろいろあるんじゃないかなあ。職場での人間関係がうまくいかないとか、給料が少ないとか・・・。叔父さんたちが若いころはそういう問題があっても、我慢していたんだけどね。今の人は自分を会社に合わせて変えようとしないんだなあ。昔は一度就職したら定年までずっと同じ会社に勤めるのが普通だったんだよ。
敏子:そうですか・・・。
叔父:あのころは今みたいに条件がいい会社が多くなかったから、やめようにもやめられなかったしね。
敏子:あのう、私は今の会社に不満があるわけじゃないんです。自分の可能性をもっと試してみたいんです。
叔父:それで、今度はどんな仕事に就こうと考えているんだい。
敏子:まだはっきり決めていないんですけど・・・。私はどんな仕事に向いていると思いますか。
叔父:そうだなあ・・・。たしか、敏子ちゃんは高校の時から英語が得意だったね。それを生かしてみたらどうだい。人と話すのは好きなの?
敏子:はい、誰とでもすぐに友達になれるし、それに私、世話好きなんです。
叔父:そうか。敏子ちゃんは仕事が速いほう?
敏子:そうですね。仕事が遅くて同僚に迷惑をかけたことはないと思いますけど・・・。
叔父:たしか、学生のころはよく旅行していたよね。
敏子:はい。今でも休暇を取って、よく行くんですよ。
叔父:なるほど・・・。じゃあ、こんな仕事はどうかなあ。