娯樂系感想等: シン・ゴジラ

正直今までゴジラにはそんなに興味がなく、ちやんと見たことが一度もなかつたのだが、Twitterのタイムラインがシン・ゴジラの話題で埋め盡くされるやうな勢ひで、おまけに興味を持たざるを得ないやうなことばかり書いてあつたわけで、これはもう觀るしかないと觀念して、觀に行つた。

觀た感想を言ふと、まさしくTLでの評判の通りだつた。とても良かつた。ただ、とても疲れた。情報量が多かつたからか、エネルギーに壓倒されたためか、ちやんとは分析できてゐないが、もう一度全部通して觀るとなると、それなりに氣構へが要るやうに思つた。

もう少し内容に踏み込むと、現代の東京に「怪獸」を放り込んだらどうなるのか、といふことをシミュレーションした結果みたいな映像であつた。總理官邸がどう動くのかみたいなあたりが、「うちらの政府つてこんな感じよね」みたいな冷ややかさを含んだ共通認識を違へず描寫されていくのは、個人的にはとても面白かつた。閣僚それぞれのキャラクターの立て方がまた妙で、前日譚を見てみたい氣がしないでもない。

ただ、官僚組織そのものについては、言はれてゐる程には觸れられてゐないのではと思ふ。どちらかと言ふと、主役の内閣官房副長官を中心に、政務と事務の交叉する、判斷するところと企劃立案し實施に持つていくところの境界域を描いたあたりが妙なのだと感じた。

ゴジラの造形は、特に海から上がつた直後の四つん這いの形態が絶妙に氣色惡くて、嫌惡感を實に良く搔き立ててくれたのではないか。その嫌惡感がないと以後のシーンの效果が良く出なかつたのではないか。「絶妙」とは其の邊りを踏まへての修飾である。

最後に。石原さとみは御愛嬌。あれはあれで必要だつた。