「THE GIRL NEXT DOOR」
MINDY KAPLAN 著
NAIAD PRESS |
リナ LINA は、ギリシアから来たフランス系の学生で、大学の指導教官であるネイサンの家に住み込んで、息子のシーンの子守りのアルバイトをしている。 ある朝、悪夢から目覚めると、家に、娘のアレックスが帰ってきたところだった。 奔放に振舞うアレックスに家族は手を焼いている。リナも始めは近寄り難さと苛立ちを感じているが、その翠の瞳に同時に惹かれているのを感じる。 アレックスが、ワールド・コンプ・ラインというサービスでチャットをしていることを知ったリナは、ネット上で「NXTDOOR」と名乗り、アレックスへ近づこうと試みる…。
インターネット上での、ヴァーチャルな関係と、現実の関係とが混在して描かれ、当初はそういう物語なのかと思いきや、それだけではなく、アレックスが所謂「精神世界」に興味を持っていることから、占いやジプシーやタロットのモチーフ、夢が導く未来、自分自身を見つめなおすこと、はたまた、夜の行きずりの出遭い、家族愛、バイク(リナのジプシー的な側面を示唆するものである)、エロティックな言語であるフランス語(そうか?)と、とにかく要素が「てんこ盛り」なのである。加えてかなり都合のいいというか、そんな落ちだとは!というような落ちに至っては、物語に深みが感じられなくなってくる。そもそも、リナがなぜ、フランス人でなければいけないのかなども、必然性のない設定に思われるのである。 リナの悪夢に始まり、最終章に至るまで全編にある、タロットの「塔」のモチーフなどは良いので、テーマが絞られていれば、もっと印象深いものになったのではないだろうか。
チャットでの会話部分などは、あまり良いとは思われないのだがが、それなりに面白さはある。 会話なども現代的な言葉づかいで、日本語に翻訳したらこうだろうか、などと考えながら読むのも楽しい。 読みやすい一冊ではある。 |