読書メモのページ
 
「郷愁のモロッコ」
エスター・フロイド 著
河出書房新社

8月8日

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「名もなき墓標」
ジョン・ダニング 著
ハヤカワ文庫

8月7日

サーカスでの事故で死んだ少女を見た時に、ウォーカーは、これを記事にしようと決意した。
しかし、少女を引き取りに来たものは誰もいなかった。ウォーカーは疑問に思い、謎を追い始める。

アーミッシュの文化、新聞記者としての情熱、ページを捲らせるテンポのよさもあるし、読んでいる最中は惹きつけられるものを感じたのだが、終わり近くになって弱い感じを受ける。息切れするというか。

この本の中では前書きが一番面白い。著者の書くことに対する情熱を感じる。
「人魚とビスケット」
J・M・スコット 著
創元推理文庫

8月5日

デイリー・テレグラフに掲載された奇妙な広告のやり取り。人魚に宛てたビスケットからの呼び掛けでそれは始まった。
1951年に現実にあった広告がもとになったらしい。本も薄く、古臭い雰囲気のものが読みたくて手にしただけなので期待はしていなかったのだが、後半は中々面白かった。
基本的には、遭難の話が延々と続くわけだが、その中の人間ドラマが、終わり近くなって、ひとつの謎を形作る。冒険ものかと思いながら読んでいたら、実はれっきとしたミステリー、という仕立てが非常に良かった。
読んでから表紙の解説を見たが、実は「幻の傑作」らしい。そういう意味では良い感じに期待を裏切る本としてお奨め。
「月曜日の水玉模様」
加納朋子 著
集英社

8月3日

日常の中に潜んでいる謎を解き明かす短編ミステリ集。「一般事務職OL」の片桐陶子と、曜日ごとにネクタイを決めている新米調査員の荻君のコンビで、七日間が綴られる。
こういう日常ものは大好きだし、まあまあ、面白い。
でも、「一般的なOL」って何?
実は、あまりよく分からない設定だったなと後で思う。事務職の仕事はしたことがないし、総合職と事務職の区別のある職場というのも良く分からないので、ある意味「こういう世界もあるのか」というような感じで読んでいた。
「伯爵夫人は万華鏡」
ドロシー・ギルマン 著
集英社文庫

8月1日

ミセス・ポリファックス・シリーズで有名なドロシー・ギルマンのミステリ。既刊の「伯爵夫人は超能力」の続編である。
下町というか治安のあまり良くない地域に住んでいるマダム・カリツカは超能力を持っており、「読み」を商売にしている。訪れる客の抱える問題を読み解くうちに、マダム・カリツカは一つの大きな事件への手がかりを掴む…というようなもの。
エピソードも文も軽く、飽くまでお楽しみのための一冊。カリツカ伯爵夫人のキャラクターは魅力的で、小物の描写なども感じが良いのだが、あまり深みのない展開に思えるのが残念。
暇つぶしとして。
「石の幻影」
ディーノ・ブッツァーティ 著
国書刊行会

7月29日

イタリアの幻想短編集。
石の幻影は、軍の極秘研究に招聘された大学教授が夫婦で山へ連れられて行くのだが、という話。始めはカフカを思わせる条理のない展開で、「誰かが知っている」筈なのに、「誰も真実を知らない」というところなど面白い。後半は、SFがかったプロジェクトの内容が明らかになっていく。書かれた年代も昔のものなので、目新しくは感じないだろうが、描写の仕方、エピソードの積み重ねが自然で楽しめた。
その他、「コロンブレ」という海の怪物の話や、「1980年の教訓」もそれぞれに味わいのある内容であった。
「彼女は水草に抱かれ」
キャロリン・ウィート 著
ハヤカワ文庫

7月28日

弁護士であるキャス・ジェイムスンは、知人のマーラに養子契約の手続きで、実母側の弁護士となることを頼まれる。
しかし、実母アンバーは、出産後に養子に出したくないと言い出す。

繊細な描写など、雰囲気は良いが、テーマにあまり興味を持てなかったので、それほどは楽しめない。キャス・ジェイムスンは、自らが弁護して子供の元へ帰られるようにしてやった女性が、結局はその子供を殺害してしまったことに大きな罪悪感を抱いている。そのため、養子に出されようとしていた赤ん坊を捜し出そうとせずにはいられない、という設定で、そういったところは上手く話を持って行っていると思うのだが、その他にはあまり共感するものがない。子供が好きなら、感動できるかもしれない。
「沈黙の日記」
サラ・アンドリュース 著
ハヤカワ文庫

7月26日

実母が殺害されてしまった少女セシリアはそのショックで記憶を失ってしまう。失業中の地質学者エムは、セシリアの父親が元上司であり、かつて少女だったころ、セシリアを可愛がっていたこともあり、その支えになってくれるように頼まれる。
セシリアの母親ミリアムにはあったこともなかったエムだが、彼女の日記を手に入れたことから、ミリアムの死の真相とミリアム自身に興味を抱くようになる…。

実は、偶然にもウォルターズの先の作品と似た構造の話で、記憶障害、家族関係、と言った共通点があるのだが、ウォルターズに較べると少々謎の描き方などで物足りない部分がある。日記から立ち現れる一人の女性の肖像、というのは面白いのだが、要素が色々ありすぎるのかもしれない。
「昏い部屋」
ミネット・ウォルターズ 著
東京創元社

7月25日

激突した自動車から奇跡的に生還したジンクスは記憶を失っていた。彼女は結婚直前の恋人レオにいきなり親友メグとの関係を打ち明けられ、自殺をしようとしたのだと告げられる。
記憶はない、しかし、それは本当なのか? 何が一体本当なのか?

ミネット・ウォルターズらしい、謎の演出の仕方で非常に巧い。この終わり方も悪くはない。
ストーリーのあちこちに見られる英国の生活の風景(「どうして《コロネ−ション・ストリート》は観なかったんだ?」)も面白い。
「黒魔術」
ヤハヤー・ターヒル・アブドッラー他 著
第三書館

7月24日

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