読書メモのページ
 
「魔法飛行」
加納朋子 著
創元推理文庫

3月7日

日常の只中にある謎を解き明かす短編とそれを貫いていく、もう一つの謎。
優しい語り口で、読んでいてほっとする推理小説。女子大生である駒子やその友人の描写にはリアリティを感じる。北村薫のシリーズにも似ているが、それよりももっとありきたりなところのある主人公が良い。
「ホーニヒベルガー博士の秘密」
ミルチャ・エリアーデ 著
福武文庫

3月4日

インドの神秘主義をモチーフにした幻想短編小説が二篇収められている。しかし、タントラ、ヨーガなどの思想と神秘主義の影が多くて、あまり好きではない。オカルト趣味に過ぎる感じがするのだ。
インドの夜の描写は美しくなまめかしい。ブクレシュティには思い入れもあるので、魅力的だが、期待ほどではなかった。
「最上の地」
サラ・デュナント 著
講談社文庫

3月3日

付き添いを頼まれただけの筈であった少女が、目の前で爆死する。その父親は動物愛護運動団体に死の警告を受けていた。
私立探偵のハンナは、犯人を探り出そうとするが…。
テロリスムに走る動物愛護団体、というのが面白かった。(本当にあるのかどうかは知らない。)
環境保護に気をつけるテロリストは、自転車で移動しているのだろうか?というハンナの想像などは、吉野朔美の漫画を思い出してしまう。そういう細かい部分の書き方に、リアルさを感じて、まあまあ。大掛かりなトリックなどはないが、きっちり謎も解決できて、読んでいてすっきり出来る。

翻訳は、各章のタイトルが、カタカナのままなのが、今いち。こういうのはちゃんと翻訳して欲しい。
原文で読んだとすれば、このタイトルには、それなりの面白味もあるだろうが、日本語で読んでいる時に、英語がそのままカタカナで書いてあっても面白くないと思う。手抜きに見える。
「薔薇忌」
皆川博子 著
集英社文庫

3月2日

舞台にまつわる幻想短編集。
演劇、舞台、と言うものの持つ、怪しげな魔力と幻想が描かれている…のだが、少し物足りない。
短編集のせいかもしれないが、もっとこの雰囲気が続けば良いのに、と思わされてしまう。
「翡翠(かわせみ)」の描写やストーリーなどの進め方は美しくて面白いのだが…。
「封印された数字」
ジョン・ダニング 著
ハヤカワ文庫

2月28日

「死の蔵書」など、古書にまつわるミステリーを書いたジョン・ダニングのデビュー作。作品を書いた当時のことについてのダニングの序文が面白い。
ある時、不意に、「50、90、12」という数字を思い出した主人公は、その謎に引き入れられて行く…。
古い小説(70年代)なので、内容としては、こんなもの?という感じ。明かされる真実など、現代から見ると、ありきたりに思えるかもしれない。
しかし、アメリカの道路の描写、ヒッピー、など70年代の風俗を感じさせる部分は良かった。
「読書について」
ショウペンハウエル 著
岩波文庫

2月27日

限定された、良書=古典を読むことを口を酸っぱくして言っている、という印象の本。
「雪の死神」
ブリジット・オベール 著
ハヤカワ文庫

2月25日

「森の死神」の続編。全身麻痺状態にあるエリーズが、また新たな事件に巻きこまれる…。
途中までは面白かったのだが、真相が発覚した時点で、かなりヴォルテージが下がってしまう。その後の展開はそこそこ読ませるが、こういう設定は…。
作者自身が登場してくるのもあまり好きではないし。やはり、当初のレヴェルを維持するのは大変なのだろう…。
全身麻痺で盲目で口が利けないという障害を負っているエリーズの独白が、ウィットがあって楽しい。
「創竜伝11 銀月王伝奇」
田中芳樹 著
講談社ノベルス

2月23日

シリーズの外伝。
四人兄弟が、地方都市へ依頼を受けてやってくる。行方不明の人々を探すうちに、怪現象に遭遇する…。
一体いつまでこのシリーズは続くんだろうか。続いているから惰性で買ってしまうが、初期の無茶苦茶なパワフルさが段々、上滑りになっている気がしてならない。(特に後書き座談会が…)
スピード感はあるかも知れないが、最近偏りが気になるし、今いち楽しめなかった…。
「スプートニクの恋人」
村上春樹 著
講談社文庫

1月16日

村上春樹の小説とは相性が悪いのだが、意外に素直に読めて、面白かった。
文章は固有名詞の洪水。時々疲れる…。
「古本街の殺人」
紀田順一郎 著
創元推理文庫

1月15日

愛書家に絡むミステリ。
こういう本を読むと、やはり自分は愛書家にはなれないと思う…。本を集める気持ちは分かるが、読まない本を集める気にはなれない。
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