「ネジュマ」
カテブ・ヤシーヌ 著
島田尚一 訳
現代企画室 |
アルジェリア文学の代表の一人であるカテブ・ヤシーヌの長編小説。 ネジュマ(=星)という美しい女性を取り巻く四人の若者の視点を通して、失われた祖国を求める物語。 視点と時制は入り組んでいて、読むのに非常に苦労する。若者たちは結局、複雑な姻戚関係の中で義理の兄弟であったり従姉妹であったりするが、彼らの全てがこのネジュマと言う女性に惹かれる。四人だけではなく、その他の人々も…。 文体は、象徴的な言語に満ちているため、その意味を把握するのは大変難しい。その霧のような中から、茫漠と、1958年頃のアルジェリアの姿が浮かび上がるという感じである。
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