アラブ・マグレブ・中東付近をテーマとした小説の紹介
 
太陽の男たち・ハイファに戻って
「太陽の男たち・ハイファに戻って」
カナファーニー 著 
篠田浩一郎・中島弘二 訳
河出書房新社
パレスチナから避難してきた人々の例えばレバノンでの様子、イスラエル進行を子供の目から描いた作品、捨ててきた家に戻ってきたパレスチナ人の夫婦がその家にいた「ユダヤ人の親子」と話す、「ハイファに戻って」など、どれを読んでも、淡々とした描写ながら、力強さがある。
中でも、イラクからクウェートへ密入国して仕事を求めようとした男達の行方を描いた「太陽の男たち」は、登場人物達のそれぞれの回想と現実が交錯して描かれた非常に素晴らしい作品。時間の存在を忘却する、Mesmerizedな作品。正に、強烈な白昼の熱気の中を歩く時のような幻惑感。

カナファーニーはパレスチナの作家であり、反イスラエル言論人であったが、爆弾テロによって殺害された。



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