薔薇園
第4号 2002年9月1日(日) 発刊
 
CURIOUS WINE

KATHERINE V. FORREST 著

Silver Moon Books

そしてわたしは不思議なワインに触れた

冬、山のコテージでの休暇にダイアナは出掛ける。女性ばかりで過ごすそのコテージでダイアナは弁護士で美しいブロンドの女性レーヌ・クリスティアンソンと出遭う。
コテージの屋根裏で同室となる二人はエミリー・ディキンソンの詩を愛することから打ち解け、惹かれ合うようになって行く。

1983年にナイアドプレス社で発刊された小説で、表紙には「A bestselling lesbian love story」とある。K.V.Forrestの初めての作品ということで、かなり人気がある作品のようである。(K.V.Forrestはこの本が翻訳されていました。実は。持っていました。「愛を知るとき」樋口あやこ訳 大栄出版。訳は英語で読んでいた時より幾等か砕けた感じになっている。)

確かに全般にほのぼのとした雰囲気があり、裏表紙にも書いてあるがエロティックなシーンも割とあるので肩のこらない読み物ではある。しかし、ストーリーがその分単線的なのが残念である。段階を踏んで二人が親しくなり、また離れ離れになり…という展開は最早お約束。また、あまりに二人の間に違いがあるように見えるので、これで本当に運命の出遭いと信じて良いのかという思いがついて回るのである。
また、ベッドシーンが少々長すぎるという気もしないでもない。それもまた楽しくないこともないが…。できればもう少し、二人のメンタルな面でストーリーを詰めて欲しいという気がした。
タイトルはエミリー・ディキンソンの詩の一節。小説中エミリー・ディキンソンは何度も引用されるのだが、もっとディキンソンと深く絡めたストーリーでもよかったと思う。
 


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