■ 第26回 ことわざをつくろう
身近な比喩について考えてみようの巻(そんなテーマだったっけ?)の続きです。いや、そうじゃなくて「比喩は果たして役立つのか?」がテーマでしたっけ? まあいいや、というわけで何がいいのかわからんけどとにかく今回は、ことわざについて考えてみたいと思います。
一般的に、ことわざにはレトリックが多用されています。もちろんほとんどレトリックの感じられないことわざもありますが(たとえば「百聞は一見にしかず」「論より証拠」など)、レトリックをはっきり使っていることわざの方が面白く感じられます。また、ことわざそれ自体が比喩として用いられます。
「猫に小判」なんてのがそうですよ。「あいつがグレッチ持ってるなんて猫に小判だよ」(執筆者の趣味が出まくりな例文ですみません)というとしても、「あいつ」は猫じゃないし、グレッチは小判じゃないんですから、これは比喩なのです。あるいは頭韻脚韻を使ったことわざもあります。対句が使われることも多いのです。たとえば私が好きなことわざにこんなのがあります。
○頭韻のことわざ 仏ほっとけ、神にかまうな
仏=神、ほっとけ=かまうな、の対応で対句になっています。また頭韻にもなってます。どのへんがどう頭韻なのか、サルレトを読んできた方には説明不要ですねー。ことわざ作者がどこのどんな人だったのかわかりませんが、まあ巧く言ったものです。私はこれを茶化して「仏ホットケーキ、神にかまぼこ」という無意味な句をつくったことがありますが、これは単なるナンセンスでして、ことわざにはなっていません。やっぱりことわざというからには人を感心させ、人が使いたくなるような言葉をつくってなんぼです(なにがなんぼなんだか知りませんが)。
以前何かで読んだのですが、国語の授業で新しいことわざを作らせるというのがあるそうです。生徒がつくった作品が並んでる中で私の印象に残ったのは、こんなことわざでした。
○ことわざ例文(誰が作ったのかわかりません、すみません) たまごにえさをやる
だから何だと言わないでください。これわりと面白いと思うのです。使い道もありそうに思います。当然ですが、たまごはえさを食べません。このえさは無意味です。無意味ですが、もしかしたら将来役立つかもしれません。「猫に小判」「馬の耳に念仏」「豚に真珠」系統のことわざですが、微妙にニュアンスが違います。
というわけで今回課題は言うまでもなく「ことわざをつくろう」なのですが、ことわざをつくるにあたっての注意事項をいくつか。
1.語呂が良い。 2.短い。 3.わかりやすい。
英語のことわざを和訳すると、たいてい語呂がとても悪くなり、ことわざっぽくなくなります。ことわざというものは語呂がよくなきゃいけません。別に七五調でなくてもいいんですよ、「ごろがいい」ってどんなことなのかは、実際に口にのせてみるとわかりやすくなります。長くちゃだめというのも当然です。「門前の小僧習わぬ経を読む」くらいがまあ長い方の限度でしょう。「わかりやすい」については、まあ、そんなに気にしなくてもいいです。一部のひとにしかわからないマニアックな単語を使ったことわざでも(面白ければ)かまいません。
というわけで、今夜はことわざにれっつとらい。
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