Web女流詩人の集い□蘭の会□新サルレト

蘭の会 三周年記念 連載コラム

新 サルでもわかるレトリカル 会員番号000b 佐々宝砂



■ 第25回 比喩はいったい役立つのか?
的確な比喩について考えてたらわけがわからなくなってきた・・・ってのが前回までのお話、でありました。毎度わけがわからなくなっててすみませんが、まーわからんことをわかったかのよーに言うよりよいのではないかと。今回は、文字によらない比喩を中心に、比喩が役立つものなのかどーか考えてみたいと思います。

ふつう比喩は文章で表すもののように思われがちですが、実際はそうではありません。比喩は、絵でも彫刻でも映像でも表すことができます。前回話した堤喩も絵で表すことができます。


○堤喩の例(交通標識)


「自転車以外の軽車両通行止め」の標識です。自転車以外の軽車両にはいろいろな種類があります。たとえば大八車(いまどきあるかな)、リヤカー、一輪車・・・そういったいろんな自転車以外の軽車両を一輪車らしきもので代表させています。それがこの標識です。



これは山に住む人にはおなじみ、動物注意の標識。うちの近所ではタヌキの絵なのですが、一般的にはこちらの鹿の絵です。ほかにサルとウサギの標識もあるそうです。動物にもいろんな種類があるところを鹿やらタヌキやらに代表させているわけです。


○換喩の例(案内標識)


見たことがない人はあまりいないと思いますが、これはサービスエリアの案内板です。"P"は文字なのでさておくとして、まずコーヒーカップが書いてありますね。これはコーヒーカップそのものを意味しているのではなく、コーヒーカップのある何か、コーヒーカップが付随している何かがある、という意味です。つまりカフェがあるとゆーことですね。お隣の給油機はまあそのままずばりとも言えるので、比喩じゃないかもですが、その隣のフォークとナイフはまさに換喩。フォークとナイフの看板をみて、ナイフ屋やフォーク屋があると思うひとはいないでしょう。もちろん、レストランの意味なのです。レストランにはフォークとナイフがつきものですから。

こういう標識をみると、比喩は役立つもんなのだとわかると思います。毎日目にしているし、利用もしている。WEB上にもたくさんの図像による比喩があります。たとえばこれ。


○WEBでよくみる比喩


工事中を示すコーンの絵です。インターネットをさまよっててこれにでくわしたら、そのHPは工事中、つまり作りかけっていう意味です。ごくあたりまえに見かけるので、あまりフシギに思わなくなっているかもしれませんが、ちょっと考えてみてください。ネットの中の情報を整理したりなんだりしてる状況がなぜ「工事」なのか?

***

コンピュータの周辺には、ものすごくたくさんの比喩が転がっています。コンピュータは起きる。フリーズする。ダウンする。そういう表現は、必要だから生まれたものです。なぜ必要か? それは、コンピュータのことって、素人に説明するとたいへんめんどくさいからです。感覚的に、「画面が固まる」「落ちる」という方がわかってもらえるからです。

えー今回は、こんなもので「落ちます」。

<<前へ  次へ>>


蘭の会へ戻る

会員随時募集中/著作権は作者に帰属する/最終更新日2006-10-14 (Sat)/サイトデザイン 芳賀梨花子

- Column HTML - [改造版]