(c)蘭の会 詩集「なゆた」第二集

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存在と永遠



何ひとつ集うことのない空の下で
浮遊する想いだけが私たちの隙間を駆け巡り
何ひとつ見えない風景の中の
ほんの小さな彩りを
憂いの中に与えてくれる

糧と呼ばれるものの喜びと
その慟哭の中の
慈しみと許されるもの
許されないものを隔てながら
今日も私たちは日々暮している

すべてのものが
そこに存在するかぎり
これからも守られ続け
また守り続けていくものがある限り
すべてのものが
たゆたうことなく存在してゆくのだろうと
潤いの中の哀しみを
その腕にたずさえ
今日も私は
言葉を紡いでみたりする

哀しみの中の憂いとは
憂いの中の喜びであり
喜びの中の慟哭とは
その喜びと明日への礎を与えてくれるすべてのものだと
教えてくれたのは誰であろうか

何も喜ばれず
何も認められない存在の中で
私はその喜びを
見えない誰かに向かって吐き続け
例えそれが幻想の一旦を担うものだとしても
それが私にとっての実在である限り
他の何者をも逢い入れぬ
私自身のものであることには違いないのだ

愛などという言葉は
そこには存在してない
けれども見えないものはいつも
たゆたうことなく浮遊し続け
また今日も
何処かでその息吹きを感じながら
存在していることに違いないのだ

 


虚空と弧


輪郭と輪廻の
浮き沈みする風景の中で
その一旦を担うあなたの過去は
決して私のものでも
その端境を埋めるものでもなく
あなた自身のその虚ろな目の中の
静寂に隠された陰鬱な迂路

反故にされた約束と
その嘲りの風景は
今も私の目の中に焼き付いて
忘れ去ろうにも
忘れることなど出来はしない


彷徨い続けた夜は
もう何処にも存在していないはずなのに
その釈明と
焔獄の中で
幽かな軌跡を呼び起こし
浮遊された冷笑を
呼び起こすのは何故でしょう

もう何も見たくなどないのです
疲れ果てた朝の暗闇は
この目を遮り
見えるものまで
見えなくしてしまう


朝はもう要らないから
夏が欲しいのかもしれません
息も絶え絶えに
喘ぎ続け
その太陽の暑さに焼き焦げて
跡形もなく消え去りたい


こぼれおちてきた光りの屑を
私は悪し様に殴りつけて
そうしてまた
何ごともなかったかのようにたゆたい続ける

そう
それはまるであなたにそっくりで
忌み嫌われては素知らぬ顔で
今日もまたひとつ
この手に嘘を塗り固めてゆくのです





 

 

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