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ララバイ  
under my skin  
クジラの見る夢  
 眠り   
投石  
天井は青い方がいい  






















ララバイ

http://home.h03.itscom.net/gure/eme/
九鬼ゑ女
 

ねるねるねるこ
ころころいいこ

山はまっかで恥恋色  /chireniro
空は高くて青色透息 /aoiroto‐iki
なのにシアワセ遠りゃんせ

ねるねるねるこ
ころころいいこ

おっかあ吝かとろりと逃げた /yabusaka
隣の息子と手に手を取って
おとうはたまげて床に臥す

ねるねるねるこ
ころころいいこ

いもうと背中でキョウも啼く
いくら啼いてもキノウは戻らん
それでもあたいはアシタを探す

ねるねるねるこ
ころころいいこ

ねるねるねるこ
ころころいいこ

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under my skin

http://cpm.egoism.jp/
柚木はみか
 

この肌の奥に身を隠して
いつまで寝ているつもりだ
いい加減消し去りたいのに
ふらりとやって来ては
心を蝕んでいく

その影を憎んでいる

刃で傷を付けて
刻み込んだのは確かに私で
そうしてその痕を見るたび
深く息を吐く
影が消えることはない

この傷を憎んでいる

君を笑顔を見るたび
歯がゆくなる
この身に潜んだ影が
いつかまた姿を現すかもしれない
その未来に怯える

そう お前だよ
早く消えてくれ

この肌の奥に身を隠して
いつまで寝ているつもりだ

もしかしたら寝ているのは私で
今起きているのは影で
もう私はどこにもいないのかもしれない
そうしたらこの幸せは虚構で

ふと怖くなって
また布団をかぶり
夢の中へ逃げる


「いつまで寝ているつもりだ」


どこかから声が聞こえる気がする

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クジラの見る夢

http://www.enpitu.ne.jp/usr10/106608/
ナツノ
 

高くたかく
月が天にあがるころ

電気を消した
暗闇に浮かぶオオカミが
ワタシの布団で
長いながい伸びをする

黒い海原に横たわる
孤独なクジラ
夜光虫が縁取る
山のような波のうねりの
数を数えて目を閉じる

月は天から
すべてを照らす
街も海も
すべての夜を
照らしている

オオカミは
昔ばなしの夢見て眠り
クジラは
罪滅ぼしの旅へ出掛ける
夢を見る

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 眠り 

雪わたり
 

眠りたくない
でも 眠い

もう少し起きていなくちゃ
でも もう脳みそが働かない

もう少し頑張ってみよう
いや 無駄だって。。。


眠ることへの罪悪感を伴う 毎夜の繰り言


結局寝てしまう 自分の甘さは
翌月の生活に響いてしまう
ため息とともに 月末に成果を確認している



ネットニュースで見つけた
新型インフルは眠るが勝ち

眠ってる間に
免疫力が活躍するという

眠いのは 身体が必要としたからなんだ
病気になったら元も子もないんだし


思わず飛びつき 自分を正当化


わが意を得たりと あくまで自分に甘い私
稼いでも治療代に化けるより良いじゃん
独り頷いて 自分を納得させる



眠りは大切 眠ることは大事
後はねぇ〜
起きてる時間を 有効に使えば良いだけ

実はこれが苦手だったり。。。。アハッ

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投石

宮前のん
 

ほら起きなさい、と
布団をめくったら
息子が石になっていた
くしゃくしゃパジャマの真ん中で

小さな石だ柔らかい色の
まだ磨かれも割れてもいない
服着せようにもサイズが合わない
朝食だって食べてくれない

どうしたらいいか困っていると
夫がおもむろに小石をつかみ
窓から学校の方へ放り投げた
小石はきゅーんと鳴きながら
放物線を描いて飛んでいき
慌てて飛び出て追いかけて

それきり家には帰らなかった



 

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天井は青い方がいい

http://tohsetsu-web.cocolog-nifty.com/
伊藤透雪
 

床に臥した私の目に天井が映っている
白壁に面した南窓から光が入り
クルマの音と薄明かりで朝を知った
小さな西窓から光が漏れ
隣家の夕餉のにおいで夕を知り
町の灯りだけの仄暗い天井に夜を感じた

私の時間は
床に臥している今

薄暗(くらがり)の中で掌を突き上げると
ぼんやりと掌の影がにじんだ
ただそれだけなのに虚しい
黒い天井が落ちてくる

天井は、
想像でも白はいけない
白は孤独な子どもを解放し
さまよわせるから
意識を抑圧し支配しよう
と見つめる目の色だから

考えるなら青だよ緑じゃない、青なんだ、
冷たくないんだよ、
仰ぎ見る青は。
青の天井は突き抜ける意識、
引っ張り上げる力でくっきりとこの掌を染める
広がりの恐怖をぬぐい去り
遥かな世界を感じる瞳で
薄暗(くらがり)の中でさえ、星を見たくなるように。

寝ていても床の中でさえも明日
何かが起きるかもしれないと
天井の青は微笑む


空に向かって両手を伸ばしてのびをするように。
掌が陽に透けていきいきと生きる脈を感じるように。
何にも縛られず飛び回り帰る
大地に寝そべって草のにおいを思い出そう

薄暗の天井に向かって
青の空を意識したら
私は自由に飛べる
降り立つ大地を見失わずに

だから青がいいんだ
突き抜ける青が
空は昼も夜も青でできているのだから。
大地の上にいつもあるのだから。

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2009.10.15発行
(C)蘭の会
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CGI編集/遠野青嵐・佐々宝砂
ページデザイン・グラフィック/佐々宝砂