(c)蘭の会 2005. 3月詩集「彼岸」













春つぼみ
彼岸まで
往く春
てのひらあわせても冥福なんて祈れなかった日の おぼえがき
シェルター
きな粉のおはぎ
向こう側のあなた  
The other side
R
ぼた餅
彼岸に語り掛ける  

























0003 九鬼ゑ女
http://home.h03.itscom.net/gure/eme/

春つぼみ
 


とどめる命の
どうにもこうにもなす術(すべ)もなく
啼きて 朝(あした)
逝くは あなた

巡り来る季節にはぐれ
この悲しみを幾度となく問うてみても
彼岸の畦(あぜ)を
時は ただ数珠を手に

ふと仰げば菜花月
あちらで手を振る影のはらり散る気配
肩を落とし
こちらで見送るわたくしのためらひを
そっくりそのままに束ね
香華を手向けませう

いま一度と燻らせる暁の夢なれど
ちいさきもの、その屍の
虚空消えゆくまま
一枝ぐしりっ
もぎ取る指先に滲むうす桜

されどとめどなく
啼きて ゆうべに
逝くは 春つぼみ

 

 





Top

0015 丘梨衣菜

彼岸まで
 

忙しい日々に乗っかって
いつの間にか季節は四つ
通り過ぎた

数えきれない夜を
独り

雨上がり
真っ青な空を見上げ
夢の中で
聞いた言葉を

どうしても
思い出せない
優しかった
瞳の色

どんなに悩んで
手に入れても
何に悩んでいたのか
すっかり忘れる

ちっぽけな

あなたが導いてくれたなら

二度と聞けない
笑い声
いま水溜りが滲んでも
すぐに乾くはず

たぶん
そろそろ寒い日々も終わる

 

 





Top

0023 ナツノ
http://www5.plala.or.jp/natuno/brunette/brunette_top.htm

往く春
 

今朝は少し長く眠った気がする
薄い窓ガラスから伝わる外の空気は冷たく
春はまだ浅い
赤いランドセルが机の上から
今日はお休みなんだよと めんどくさそうにつぶやいた

お勝手で 小豆を茹でる母の背中が揺れる
そうか、おはぎを作ってるんだ
弟も目をこすりながら起き出してくる
もち米は 湯気をたて てかてか光る
待ちきれずつまんで口に運ぶと
ミルクに似た香りがした

アルミなべに出来立てのもち米を入れ杵でつく
さぁ扇いで
私達は手に手に 去年の夏の盆踊りでもらった
電気屋のウチワをはらはら振る おどけて踊りだす弟

母は今日も いつもの薄墨色の憂いをまとっている
私は気づかない振りをして 
普段はありつけない 甘いあんこを何度もなめる

油のしみこんだ台所の隅は嫌いだった
母の暗い表情に似ていると思っていた
こんなものなんだろう 生活って こんなものなんだろう
重く沈殿した形の見えない不安の上で
甘いあんこをなめている

母の憂いと 子の憂いは
炊事場の換気扇から
湿った風に流され外へと運ばれる
もうじき木戸の隣ではレンギョウがほころぶ
餡を丸めた小さな手のひらの中で
私の春は往く

 

 





Top

0043 鈴川夕伽莉
http://yaplog.jp/yukarisz

てのひらあわせても冥福なんて祈れなかった日の おぼえがき
 



       「お亡くなり」って何だ。






窓の向こうが発光している
凶悪な色が世界に蓋をして
更に向こうの世界に誘うから
晴れた日に空を眺めてはならない
雲の縁取りをなぞることもいけない





特急列車を0番ホームで待つのは
とても久し振りで
うしろに並んだ女の子達の
北陸訛りが懐かしいのは良いが
10秒に1回くらいの割合で
ギター侍の口調を真似るので
やはり久し振りに履いた黒のパンプスに
奴等を蹴り飛ばす使命を与えたかった





最終的に「ジョゼと虎と魚たち」のサントラが
今回のBGMに相応しいと思った
彼女はこの映画を見たのだろうかと思う
部屋に飾られていた
ポストカードの柄を覚えている
レオンが小さなマチルダを抱きしめる
どうしてそれだったのかという理由も知っている
彼女は恒夫をどう罵るだろう





雪雪
雪雪雪
ひとつひとつの民家には
ひとつひとつの家族が潜んでいて
互いの距離感について憎しみあっている
ひとつひとつの民家に
あかりが灯される
私が知っている
おぞましい風景のうちのひとつだ
戻ってきたのだと感じる





吹雪のロータリーで
シルバーのPOLOが点灯した
友達だ
正直こんなことでもなければ
3年だって5年だって会わないところだった
忙しいからね
お互い

まずコンビニに寄った
ふたりともストッキングが伝線していた







「嫌だね」









彼女に会いに来たのに

彼女は普段化粧なんてしない
あんたは彼女じゃない







ところで私の連れ合いは今頃
職員旅行で蟹をたらふく食っている頃だ
せいぜい蟹食えよ
と、ネタにさせて貰った
友達は笑った

私のコートはワンピースにも見えるし
友達はベージュのセーターを羽織って誤魔化した
普通の再会に見せかければ
カフェで夕食をとることも可能だった

会話の中で同級生の名前を取り違えた
何人も教授の名前を忘れていた
だからどうだということもなく
記憶はこうやって抜け落ちるのだと知る





「これは秘密。ゆかりちゃんにだけ教えてあげるから。」
そんな彼女の言葉を突然思い出す。
思い出したのか?
それはたった今、記憶の中で捏造された言葉ではないか?
あの部屋で彼女は何か大切なことを言わなかったのか?





特急を待つ間目の前に
いい年こいてくっつき合っている男女が居て
男の方の服装は痛くて
やっと電車が来たと思ったら
男の方だけが乗り込むらしかった

ほどよく空いた車内の
後方にはスーツ姿の男女が4人居た
車内いっぱいに彼らの声が
響いているにも関らず
彼ら自身には彼らの声が聞こえないらしかった

蹴り飛ばす訳にもいかないので
iPodのヴォリュームを上げる
曲目リストを眺めて
彼女はスピッツが好きだったとか
Savage Gardenは最初彼女が教えてくれたんだとか
Tommy february 6は彼女が気に入ったので
私がMP3に落としてあげたんだとか
思い出した





「ゆかりは変わってないみたいで良かった」

そんな風に言わないでよ。

 

 





Top

0059 汐見ハル
http://www3.to/moonshine-world

シェルター
 

春のぬるい風をどうしても愛せない。
凍てついた枯れ枝の尖った輪郭を
冴えた静寂の中を立つ潔癖な冬木立を
ただ耐える以外には何もしないですむ季節を
ぼくは心底愛していたので
ふくらみはじめたつぼみは醜悪で、いびつで、
どうしようもなく吐き気をおぼえる。
いつものように授業を脱け出して
屋上に寝転んでいた。
グレイの空はたしかに昨日の続きだったけど
でもどこかがちがっていて、
透明で見えない部分まで
輪郭がほどけていったのが
なんとはなしにわかってしまって
砂まじりの突風に髪をおさえる彼女に、

死にたいんだ

思いつきでつぶやいたら、

それはつまり
眠っていたいということ?

隣に寝転ぶ彼女は無表情のまま
焦げ茶色の瞳でささやいた。
それから、

それはたとえば、
食い散らかして
食べ残してしまったゆめ、を
冷蔵庫のなかに
放り込む、みたいに。

うん、そうだ
ってぼくは答えた。

シェルター。
固い殻に預けて、腐りきる前に、はやく。

うっとりと、目を、細める。
(ひかりみたいなまつげ)

風。ぬくもりというよりは生ぬるい。

花の香りがする
と、彼女。

きっと沈丁花の。雨の先触れなんだって。

ふうん。

ばかだね。

うん。

かんたんに、うん、だなんて、いうもんじゃないよ。

うん、でも。

ねえ、死んだらひとは、どこにいくのか知ってる?

あの世?

うん、あの世って
河の向こうにあるんだって。
ひとは死ぬとき、舟に乗ってその河を渡るというけど、
でもあたしはそうじゃないと思う。
歩いて渡るんだ。
剣みたいな激しい流れにずたずたになりながら
苦い水をたらふく飲んで
それでもなお、渡らなければいけない。
振り返っても、もといた岸だけが見えなくなっていて、
まるで大海原に放り込まれたみたいにひとりぼっちで
向こう岸だけがはっきりと見えるの。
だからそこを目指すしかない。
河底の砂利を擦る水の音に紛れて
なつかしい人のすすり泣く声が聞こえても、
もう、もどれないのよ。

なぜ、そう思うの。

尋ねたら彼女はゆっくりと起き上がり、
かすかに首を傾けて、

だってあたしの父さんは
そうやって死んでいったから。
あたしが七つのときだった。

風。
砂粒がまぶたに混ざりこんで、

最期まで自分の病名を知らされず、
三度めの入院で、意識が濁っていくまでの間
半分になった胃袋で
わらいながらあたしの作ったプリンを飲み込んだり
かさついて、黄色くなったゆびで
髪を漉いてくれたり。

うん。

泣かないで。
感傷ならまっぴら。

うん。

あたし、愛されてたよ。

うん。

毛布、みたいに。
くるまれて。

寝転ぶぼくはこぶしで両眼を押さえる。
膝を立てた姿勢でぼくの顔を覗き込む彼女、
一瞬、髪の毛ひとすじ
ぼくの頬を撫ぜて
それがくすぐったくて笑おうかと思ったけれど

ねえ、もう行こう。
一緒に。

少しなら、待っていてあげるから。

 

 





Top

0097 陶坂藍
http://www.keoyon-44.fha.jp/

きな粉のおはぎ
 

春に作るのが「ぼたもち」
秋に作るのが「おはぎ」

何度教えてもらっても私の中では
どれも全部「おはぎ」で
餡子が苦手な私は
あなたが作ったきな粉の「おはぎ」が
大好きでした

あの日

炊きたてのもち米を丸めているあなたに
「作り方を教えて」と強請ったら
まだ子供だからと少し笑って
私の頼みも一緒に
丸めてしまいました

もう子供じゃないのに
今聞かなきゃ間に合わないのに

子供だった私は愚かにも
そう口に出してしまった

そんな場面を

体きしむ
発熱の夜にだけ思い出しているうちは
そちら側へ逝かせてはもらえないのでしょうね

 

 





Top

000a 宮前のん

向こう側のあなた
 


深い海に沈むクジラのように
ただ大きく息を吸い込み
ゆっくりと揺れながら
あなたは優しく傷付いた瞳をして
途切れ途切れに話をする

後頭部の半分が千切れて
脳が縮こまっている、と言う
薬が手放せなくなったあなたを
優しく慰めるすべなど知らない
時々狂ったように求められるので
事が済むまでじっとしている

近付こうとするほど遠ざかる人

無意味な、
ただ無意味な運動を繰り返した後
恋人はまたクジラに戻る
私はベッドの上で深い海になり
沈むがままにさせている

闇の中で潮の香りがする


 

 

 





Top

000b 佐々宝砂

The other side
 

約束した覚えが
そこはかとなく
ある

わたしんちには仏壇があって
歩いてゆけるすぐの距離に先祖代々の墓があって
春彼岸には野ビルが伸び
秋彼岸には彼岸花が咲く
いまは野ビルが伸び放題だけれど
お墓の野ビルなんか誰も食べない

人間は。

不許葷酒入山門
寺の山門をくぐる者は
酒はもちろん
ニンニクもニラもネギも野ビルも
口にしちゃいけない
でも野ビルは好きに伸びる
そこが墓であろうと
寺であろうと
自分が生えたところに

あのひとんちにはきっと仏壇があって
家のそばかわかんないけど先祖代々の墓もあって
春彼岸に何が伸び
秋彼岸に何が咲くか
そういうこともわたしは知らないけど

あのひとは絶対に
酒はもちろん
ニンニクもニラもネギも野ビルも
口にしちゃうだろう
退屈な蓮の葉っぱのうえになんて
すわっちゃいないだろう

あっちがわがどんなところか
わたしはまだ知らないけど

約束した覚えが
はかなくも
ある

 

 





Top

000c 芳賀梨花子

R
 

子供の頃からその駅前には大きな百貨店があって、今は再開発かなんかで、まわりの高いビルに埋もれるようになってしまったけれど、私にとってその百貨店は世界で一番すばらしいところだった。百貨店の正面玄関のすぐ横に大きなウインドウがあって、そのウインドウの中では、ぬいぐるみのくまさんが家族と一緒に暮らしていた。私とお父さんはいつもそのウインドウを覗き込んで、ママが紙袋を山ほど抱えて正面玄関から出てくるまで、そのくまさん達と遊んだ。お父さんの手は大きくて、私の手は小さくて、お父さんはいつも私の手を握っているのに、お父さんはいつも私の名前を呼ぶ。大丈夫、私はここにいるからと、私はそのたびお父さんの耳元で言うと、お父さんはにこっと笑った。私のイニシャルはR。Rainのアール。Roseのアール。Riverのアール。Ragのアール。Reasonのアール。

Rain

みぞれまじりの寒い夕暮れ。春なのに行きかう人はみんなコートの襟を立て急ぎ足で行き過ぎる。でも私とお父さんは立ち止まっていて、映画だったらそこだけにソフトライトがあたっている感じ。でも、ウインドウの中に、くまさんたちはいない。うさぎさんの家族がイースターの卵探しをしているの。だから、私は「くまさんいないね」とお父さんに言った。お父さんは少し悲しそうだった。お父さんは私の手をぎゅっと握って、パパはイースターの色が好きだって。桜が咲く前にミモザが咲く庭で育ったからかもしれないって。

Rose

パパと会うのは雨の日ばっかりとレインコートを着た私が駄々をこねる。この間、ママが買ってくれた長靴を履くのもいやだと、私はさらに駄々をこねる。なんで嫌いなのとお父さんが聞くので、私は長靴をはくのは猫か子供だけだって言ったらお父さんは笑って、ぎゅっと手を握ってくれた。くまさんの家族は雨も降っていないウインドウの中で長靴を履いてレインコートを着ているよ。それよりパパは長靴が履けなくなって淋しいって、だから私は嘘泣きをやめて、ウインドウを覗いた。そういえばお庭の薔薇は咲いたかなとお父さんが心配しているから、私は舌足らずな薔薇が咲いたを歌ってあげた。

River

私たちは特に夏休みのウインドウが好き。くまさんたちが戻ってきていたのも嬉しかったし、くまさんも夏休みで子供達がたくさん遊んでいるのも楽しげだった。そういえば、このあいだプレゼントした本は読んだかなと、お父さんに聞かれた。夏休みの読書感想文を書いたのよ。ありがとうパパといったら、お父さんはとっても喜んで、そうか、そうかと私の手をぎゅっと握り締めてくれた。パパ、痛いよといったら、パパは小さな頃ハックルベリー・フィンになりたかったんだって言った。

Rubby

お父さんと百貨店のウインドウの前で会うこともなくなって、私は百貨店で買えないやしないのに宝石売り場で光る石を見ていたりする。お父さんが大人になったら買ってくれるといっていた誕生石の指輪。私は七月生まれだったけど、私が魅入られていたように見つめていたのはオパールとか真珠とか。ごめんね、お父さんと思ったけれど、お父さんは約束のことなど忘れてしまっただろうと、私はその場から静かに立ち去って、ボーイフレンドとの待ち合わせの改札口へ急ぐ。

Rag

お父さんの車にはいつも赤いタータンチェックのラグが入っていて、私はそれが好きだった。たとえ、車を乗り換えたとしても、そのラグだけはいつも車の後部座席においてあった。小さい頃、このラグに包まって眠ってしまって、目覚めたときにはラグに包まれたままベッドで眠っていたことに気がつく。ありがとう。素直に言えたのはあの頃だけかもしれない。寒い夜、時々、そのラグを引っ張り出しては、お父さんの残り香を探す。でも、時間というものはどうしようもないの。だから、私は誰かと話したくなって、ラグに包まったまま電話をかける。

Reason

私という人間は、いつも誰かを責め立てて理由を聞き出したくて、でも、誰も答えてくれなくて。悲しそうなお父さんの顔が薄暗闇に映像化される。ママはそんな私が嫌だといった。ママなんか死ぬ間際は私が娘だって言うことすら忘れてしまって、私もお父さんと同じような悲しい顔をしていたと思う。薄暗闇の顔。Reasonのアール。これは私が自分自身に名づけた名前のイニシャル。

お父さんのお棺にはハックルベリー・フィンとトム・ソーヤ、それからミモザと薔薇の花、赤いタータンチェックのラグを入れてあげたかった。それなのに、お父さんは勝手に骨になって、勝手に石になってしまった。石に会いに行ってもちっとも話してくれない。でも、不意にあなたは私を呼び止める。このあいだの冷たい雨の日に百貨店の正面玄関で雨宿りをする人並みをすり抜けようとしたら、RainのR、あなたがつけてくれた名前を呼ばれた。私はあたりを見回して、でも、あなたはいなくて、それから、Riverのアールで呼ばれたこともあった。Roseのアール、Rubbyのアール、Ragのアールで呼ばれたことも。でも、Reasonのアールで呼ばれることはない。春になると、どうしてもあなたにごめんなさいと伝えたくて、石になってしまったあなたに会いに行く。でも、あなたは呼びかけてくれないし、何も言わないの、だって石だから。私達はおたがいをあの百貨店のウインドウで待っているのだから。


 

  芳賀梨花子 さんの詩はこちらのHTML版でもお楽しみいただけます。





Top

0115 伊藤 透雪
http://tohsetsu.exblog.jp/

ぼた餅
 

ストーブの上で
煮える小豆の鍋の音
餅米を炊く匂い

彼岸で
真っ先に思い出すもの

  今日の晩ご飯はこれね

  え、これだけなの

  お腹一杯食べなさい

お菓子というより
食事だった頃の
母や祖母の手作りのぼた餅
塩気がうまく利いている、
甘みで口がしびれない、
いくつでも食べられたぼた餅

父は目を細めながら、
5つも6つも食べていた
あっというまに
重箱はからっぽになる


子どもの頃覚えた味は
今も記憶されていて
買って食べても
2つ以上は食べられない
あの味、はもう食べられないのかなぁ
教わらずにきてしまって
すぼらなわたしには作れない

父の仏前にはまだ置かれているだろうか
母のお手製のぼた餅

店先で見ると つい買ってしまう
思い出を買うように

 

 





Top

0118 紫桜
http://www.geocities.jp/beautyundermoon/

彼岸に語り掛ける
 


聞いて欲しいことがあってサ

友人はサ
まるで爆弾を抱えているみたいだって
そんな風に表現していたんだ

わたしはサ
まるで正方形のセメントの塊を
持ち歩いて生活しているみたいだった

喜怒哀楽なんていう弾力性のあるものは
別世界のはなしみたいでサ

でもサ
あなたのおかげで泣くことができて
あなたを理由にして
たくさん泣いたら
喜怒哀楽が別世界のものじゃなくなった

心の穴とか隙間を埋めるのは
爆弾でもセメントでもなくて
やっぱり喜怒哀楽だよね

あなたの後にも
いくつか穴が空いたけど
喜怒哀楽で埋めているよ
セメントは重いし
爆弾は危ないしね

いつかサ
わたしが川を渡ってそっちに行って
誰かに穴や隙間が空くようなことがあったら
爆弾とかセメントじゃなくて
喜怒哀楽で埋めて欲しいよね
その穴をサ

ね、そう思わない?

 

 





Top











2005/3/15発行

推奨環境IE6.0文字サイズ最小

詩集の感想などGuestBook
かきこしてくださいね♪
ダウンロードは
サイトのないのほんだなよりできます

[ご注意]

著作権は作者に帰属する
無断転載お断り
詳細は蘭の会にお問い合わせください
⇒蘭の会へ連絡する

(編集・CGI 遠野青嵐 佐々宝砂)
(ページデザイン 芳賀梨花子)