2002Copyright(c)AllrightsReserved蘭の会











嫁ぐ日 離れて 喫茶店 告白 スライドショー 指輪くぐり 

あしたは雨なのです
 ラインの乙女 因縁 左薬指 帰港

再生糸 ダイヤモンドダスト   軽すぎたもの 

四番目の指 dropsdrops 見えない贈り物 指輪 誘惑以前 視姦































0001 はやかわあやね
aya_haya@nifty.com
http://homepage2.nifty.com/sub_express/
嫁ぐ日
私は今日
あなたの元に嫁ぎます

幾百もの刺繍の花で彩られた汕頭の打掛けと
白無垢姿の私を
あなたは
どんな目をして迎えてくれるのでしょうか

本当は綿帽子がかぶりたかったのですが
何故か私には似合わず
角隠しで嫁ぐことになりました
べっこうのかんざしがしゃらしゃらと音をたて
結い直しに出した新しい匂いのする文金高島田の鬘の上で
私の代わりに涙をながしているのか
それとも笑っているのか
飴色したかんざしは
父の想いでもあるのでしょう

拍手を打つ時は
指をちゃんとのばすのですよ

母のそんな言葉も
きっとその時になればすっかり忘れてしまうのでしょうが
側に立っているあなたは
多分
そんなことに気づきもしなければ
気にしたりもしないのでしょう

私たちにとって大切なことは
これからの人生を
ともに歩むと言うこと
あなたと私の左手のくすり指にはめられた
お揃いの指輪が
私たちをつなぎ止める
ひとつの
象徴となるのでしょう



しろ塗りの水刷毛が
ひんやりと冷たかったのは
あれは陽ののぼる前のことで
今はすっかり私のものとなった白粉の上に
もうすぐあなたの手で
その指輪をはめてもらう時が来るのです

拍手を打つ時は
音がこもらないように
手をちゃんと平たくしてね

私はきっと
あなたの耳もとで
そっとささやくことでしょう


そうして私たちは
共に白髪となる日まで
日々の暮らしを
静かに重ねてゆくのでしょう











0005 菟野くうぴい
usaginokupi@yahoo.co.jp
http://fiction.jp/~sinen/top.html
離れて
彼にとって、特別な存在だから。
クリスマスのせわしない繁華街で
肩を沿わせて2人は歩く。


眉をひそませ  小さな値段が書かれたタグを見つめる。
なんだって、高いお店にいるのだろう?


彼にとって、私は特別だから。


「初めてなんだ。ユビワを買うのが。
 せっかくだから、特別なユビワを買ってあげたいんだ。」
そういって、愛おしげに左の薬指に
それを通した。



今は遠い   愛おしいヒト。
悲しいときも
苦しいときも
私のユビワは離れない。



離れたからこそ
近いヒト。
このユビワがその証。











0006 橙 ひまり
http://www.ne.jp/asahi/moon/right/ushin.html
喫茶店
男の人 女の人の前に
指輪 置く
コトン
やさしい やさしい
音がした

女の人 男の人の前に
指輪 置く
カタン
さみしい さみしい
音がした












0007 愛萌
koitukihime@moon.co.jp
「告白」






薬指の束縛は、あなたを手にいれたかったからじゃなく

自分を手に入れたかったから、かけた魔法のようなもの
























0015 丘梨衣菜
ocarieana@hotmail.com
スライドショー
つめたい合鍵
扉をひらく凍えたゆび
主のいない部屋は
冷蔵庫がたてる自己主張と
さかなの消えた水槽の

 仕事が急に入って
 途中で抜けて来た
 これからまた仕事に戻る

やっと取りつけたデートの始まりに
吐き出されるため息と

忙しい人 いつも
合い間をぬって
会ってくれて
アリガトウ


たった一言でわたしに負い目を抱かせる人


食事はのどをとおらない
やせほそるからだと
空回りする笑顔が

からだと想いの温度さらってゆく

連絡が途絶えても
尽きた言い訳をひろい集め
ほっとする人

からっぽの水槽の中 
鈍く光る指輪 
気付かない
いつまでも 


エサを与えないから しんでしまう


ひとつだけの小さな穴から
あなたの暮らす世界を
目を凝らして


ただ


覗き見ただけの











0016 渦巻二三五
指輪くぐり
指の先からくぐります
まずは小指から
つかえてもすぐ引き返せます


引き返しまた
ためす
指輪くぐり
手は裂けているから
指、と呼んで
なぐさめたい


――通り抜けできません


もどれなくなるのはこわくて
あるいはふいに
抜けてしまうのではないかと


くぐりかけた輪につかえたまま
平気なふりでひとに逢う
あら、あなたも――
つかえている
とは言わない


指輪ひとつ
くぐれぬ身の
一日を過ごし
引き抜けば
安堵して
箱にしまう

裂けている











0019 NARUKO
http://www.hbs.ne.jp/home/poppo/
あしたは雨なのです
あしたは雨なのです
あめが降るとあたまが痛くなるのです
あなたは
きみの指に食い込んだ指輪のせいだろう、と
たかをくくっていますが
あしたが雨だから
あたまが痛くなるのです


あしたは雨なのです
あめが降るとかいものに行くのが億劫なのです
あなたは
きみの指には銀色の指輪があるのだから
買い物にいかなければいけないよ、と言いますが
あしたが雨だから
かいものは億劫なのです


あなたの指には指輪がありません
なぜないの?と尋ねたら
髭をじょうずに剃るために
指輪をしていないのだよ、とこたえてくれます
わたしも頭が痛くならないように
指輪をはずしてみようかと思ったのですけれど
指も食い込んでしまって
無理矢理はずしてしまうと指がとれそうなので
しかたがないのでそのままにしてあるのです


指輪を
無理矢理はずしてしまったら
あなたはなんとこたえてくれるのでしょう


あしたは雨なのです
あめが降ってもあなたは傘をもたないのです
あなたは
その指輪にお願いをしてあるのだよ
きみがてくてくと歩いてぼくに傘を届けてくれるように、と言うのですが
あしたは雨だから
わたしはてくてくと歩いて
わたしはどこまでもてくてくと歩いて
あなたに傘をとどけるのです











0024 沼谷香澄
http://homepage2.nifty.com/swampland/
ラインの乙女
黄金を見守りながらわたしたち時間の底に沈んでいます

川の底光っています黄金は美と永遠と愛から遠く

天上に世界の父がいるそうな。知らない、水には水の音がある

川底にいれば世界は混じらない。時、きよらかに沈みつづける

穏やかに揺らめいている。劫初より。熱を持たない存在として

黄金が指輪に形作られる夢を見ている。世界へ。世界へ。

人がきた!その目は愛を諦めて光を拒む!黒!の深淵!

永遠が黄金とともに持ち去られ。ただ無ばかりがみなもにゆれる

黄金を奪った鍛冶の手の触れた(けがれた)部分、破壊、その熱

愛のなく死のなく時のない水が底に我らを沈めつづける











0028 阿麻
http://users.goo.ne.jp/yumugen/
因縁
ひとすじの因縁が
大した価値もなく、尊くもない
小さな指関節の
股のあいだを 合わせて二回くぐって
指根っ子を這いつづけ

今やっと 戻ってきたようです

この因縁というものは
血液と違って目に見えず、
だからこそ平気で
頂いた指輪を質屋へ運び、
二千円とかで安く買い叩かれてしまう

そういう女性がいるわけです

そして
ショーケースに飾られた
その指輪
あれはもうじき人手に渡り、
ひとすじの因縁に
もうひとすじの因縁が絡みつき、

やがて幾重にも幾重にも連なるようです











0032 山崎 みふゆ
http://www5d.biglobe.ne.jp/~mihuyu
左薬指
貴方が あたしの目の前で
その 左薬指にはめた
銀のリングを外した瞬間


あたし 本当に嬉しかったの


いつも 手を繋いでいても
厭でも目に入る
銀の輝き
貴方はどんな時でも それを外す事はなかったよね


似たような指輪を買ってみて
あたしもはめてみたけれど
違うんだよね
貴方に繋がる その先は
あたしの知らない誰かの許


あれはね
あたしのギリギリの強がりだった
貴方は判っていたのかな


今は全然違うデザインのわっかが
あたしの薬指で輝いている
もう 貴方との絆もなくなって
あたしも 貴方の知らない あたしだけの人の許


でもね


あたし 忘れられない


真剣な表情で
貴方がその指輪を
外した時の
熱い眼差しを











0035 遠野青嵐
http://webmania.jp/~seiran/
帰港
海藻の匂いは強かった
絡みついて離れるわけがない、と言うので
船に乗ることに決めた
サイン一つ
契約の意味など知らぬまま
寄港地の名も覚えず
異邦の言葉の響きは
音楽だ、そら、躍れ
浪は叩きつけられた呼び声
ただ
字の読めぬ俺はサインして

荒波に腹を裏返しにされ
大檣頭に突き刺された三日月の燻し銀
麻索の輪には差し伸べられる首
夏も秋も冬も春も
同じ色のまま去ってゆく
赤道線上、0度から360度

この水底の岩だらけの王国に
泡沫が和らげる硬い褥があるのを見たか
いつか珊瑚の固い枝は
眼窩を貫くだろうと
夢みていた
魚の愛撫の優しさを
海藻は絡みついて離れる筈がないと信じて

字の読めぬ俺は
サイン代わりに丸を書く
端から端へと一回り
そしてそれが約束だった
そしてその形状が示すように
そして元に戻るのだ
何も変わらなかったかのように閃く旗の青
夜の波浪が攫っていったものは
この輪の内にはない

端から端へ
指に絡んだ円周
契約は元より帰る港の名を告げている











0036 野中ひまり
http://hccweb1.bai.ne.jp/natural/
再生糸
糸をちぎってしまっているから
あの人どこかに飛んでいきやしないかしら

飛んでいったらいいのに

蛍光灯ひとつ
テーブルの上で
時計の針と 指輪の痕眺めて

クルクルクルクル
指輪 何回転するか試す

コチコチコチコチ
時計の針ばかりが進む

ほんと 飛んでいったらいいのに

ぎゅうと握った指輪にとったら
わたしの手はやわらかい

明日 もし花が届いたとしても
決して笑うものか












0037 とかげ
ダイヤモンドダスト
ゆびわをひとつ
くすりゆびにはめた

ゆびわなど
何のあかしにもなりはしないと
とうの昔にわかっている


 中学のころに
 恐ろしい女教師がいてさ

 いつもごついダイヤの指輪してたの。

 生徒を怒る時
 その指輪をくるっと半回転させて
 ダイヤでビンタするのね。

 そのわざは
 ひそかに
 ダイヤモンドダストって呼ばれてて、 
 
 いまだに誰が名付けたのかは知らない。


ゆびわは
いつだって凶器なのだ

凶器が愛のあかしになどなるものか

 
 それでも女の子に対しては
 さすがに手はあげないのね。

 そのかわり授業時間まるまる使って
 延々とお説教するの

 ニンゲンセイまで否定するように。


彼女は知っていたのだ
ゆびわは凶器であること

それからことばがそれ以上に凶器たりえること


 授業の後の休み時間には
 いつも誰かが泣いていたよ

 それはたいてい女の子だったけど。


きみはまだそのことに気づいてはいないので

わたしはひそかに凶器を隠し持っては
愛のあかしのふりをして

「あいしているよ」
などとつぶやくたびに
きみがすこしずつ傷付いていくことさえ
しらないふりをして
わらう












0038 しおん
雨 


もう何年も
当たり前のように降り注がれていた雨だったので
母も私も
乾くことなんて もう二度とありえないような気がしていました
二人はいつも当たり前のように
乾くことのない頬を抱えたまま
頭から雨に打たれ続けていたのです

もう何年も
晴れた空など拝んだことがなかったので
厚くどす黒い雲に覆われた空の下
せめて土砂降りにならなければいいと 密かに祈るだけで精一杯でした
泥だらけにぬかるんだ細道を 凍えた身体を震わせながら
いつも二人して手をつないで歩いていたのです

つながる母の手には
いつからそこにあるのか分からないほど
当たり前のようにつまらない指輪がはめられていて
まるで外すことすら罪なように
肉の中にめり込んでいました


そんな当たり前のように濡れるばかりの日常が
ある日しごく突然に
私たちの前から消えうせました

ほんの少しだけ止めばいいと願った雨は
あっけないほど簡単に止んだのです
けして悲しむことはありませんでした
目の前にはただ
夢にすら見なかった青空が
祝福の色を携えて静かに広がっていたのですから


やっと乾き始めた道には
わずかに水溜りが残るだけで
その水溜りにさえ 透き通るような青空が写るばかりでした
二度と降ることのない雨を偲ぶ必要などもうどこにもなく
忌々しい雨も 厚い雲も
全て消えうせたのです

母は
今まで努力しなかったことを悔いるかのように
懸命に指に石鹸をぬりつけて
外せないと思い込んでいた重い枷を
勢いよく外していました
そして手を陽にかざしながら
指がすーすーするわ と
じつに何年ぶりかに見せる笑顔で嬉しそうに答えました
それを見た私の心も すーっと晴れ渡るような気がしたのです



けれども
不思議なことに

晴れ渡る空の下にいてなお 
ときどき母は
妙にへこんでしまった指の肉を眺めては 未だに顔を曇らせるのです
まるで忌々しい雨が恋しいかのように

そしてそれを見るたびに
降りしきる雨の中 必死に寄り添っていた母が遠く感じてならないのは 
なぜなのでしょうか
どこかに乾かない水溜まりが残っているような気がしてならないのは
なぜなのでしょうか


こんなにも澄み渡る空の下で
すべてが消えたはず
なのに






もしかして

空からまた
雨を振らせているのは
あなたなのですか


お 
  と











0043 鈴川ゆかり
yukarisz@mocha.freemail.ne.jp
http://plaza.rakuten.co.jp/niveau/
  今日と明日のはざまで
  潰れる夢を見たら

  記憶の底をなぞって
  息を続けてみる
  ふたりで迎えた朝
  
  地表が君の体温で
  温められていく

  目覚めるごとに世界は
  新しいのだと気付けた


  ひとりの夜に足許が
  ぼろぼろと崩れても
  絡まるための
  指に繋がれる

  貴金属は
  ただの飾りじゃない
  付ける人をその輝きに
  引き寄せるものだという

  はにかみ屋の君が
  差し出したのは
  どこまでもやさしく
  うねる光の輪

  いずれ旅立つ
  それでも届きたいと
  はやる私を
  静かに閉じ込める

  呼吸を整えて

  もうこんな時間に
  白むようになった
  東の空を見て

  あたらしい陽が
  昇り始めるよ

⇒鈴川さんの朝はこちらでもお楽しみいただけます











0045 雪柳
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=yukiwatari
軽すぎたもの
 
結婚前の一年間
性に溺れた一年間
離してもらえなかった

 ―このままではいけない―

別れる理由を捜し求めた
   私に恋人でもできれば
   奥様が 認めなければ
   彼を嫌いになれれば

見合い話に乗ることにした
   大乗り気の相手側
   特別断る理由も見つからない
   彼と別れる理由ができる

 ―愛情は後からついてくると言う―

疼く身体をなだめつつ
けじめをつけて受け取った
後は何とか成るでしょう
軽い気持ちで受け取った
マリッジリング

 ―感じた振りは8年で萎えた―

薬指から外して10年
さて… 何処にしまったんだっけ 











0051 Ray
四番目の指
ぴったりの
指輪のために
取ってある
左手先の
四番目の指

一つ目の
指輪のサイズ
大きすぎ
知らぬ間に
失っていた

二つ目の
指輪は固く
纏わりて
自分の手にて
投げ棄てていた

三つ目の
指輪はまるで
風のよう
意識をすれば
四番目の指











0054未知
http://www.ff.iij4u.or.jp/~hosizora/
dropsdrops
あのね さかさまにして
からんからんって

まるいのしかくいのひしがたのもあるの
あかいのみどりのしろいのときいろいの

いっこえらんでほら
ゆびのここんとこ
のっければ

あまぁいゆびわ


なおくんだけ

ねぇ、舐めて
    
       いいよ











0058 琉宇
http://isweb35.infoseek.co.jp/novel/re_sien/
見えない贈り物
細い指だね
貴方が言いながら
なぞった薬指
あの時から
見えない光が
指の回りに輝いてる

いつか本物の光が
この指に来るまで
私にだけ見える
贈り物











000a のん
nobu@eb.mbn.or.jp
http://plaza5.mbn.or.jp/~mae_nobuko/
指輪


いつのまにか


形の違う結婚指輪を
重ねあう関係になりました
だから私はもう
詩が書けないのかもしれません

他にも

カラダ

    嘘 
      後ろめたさ 
               秘密の時間

いろんなものを重ねていっても

二人の関係は重くなるだけで



厚くはならないので












000b 佐々宝砂
「誘惑以前」

りんごの花咲くゆうべのこと。

蛇は指環をくれた。
言葉の代わりに指環をくれた。

指環をはめると、
ぐじゅぐじゅといやな音がした。

左手は灰色に変色し、
潰瘍だらけになり、
皮膚はひどく脆くなって襤褸のように裂け、
爪はささくれ内側に食い込み、
腫れ上がった薬指、
血の滲む肉のあいだから、
わずかに見える銀色。

すぐさま蛇に返礼した。

この胸を切り開き、
一本の肋骨を取り出し、
それを環に彫り上げて、
蛇の尾にはめた。
蛇に指はなかったから。

痛みしか感じない糜爛した指先で、
蛇の鱗を撫でる。
蛇の肌は冷たくない。
蛇はわずかな時間でこの体温に馴染む。
りんごの実が蛇の背におちてくる。
甘い腐臭があたりに漂う。
痛みに震える白く腐った尾の先で、
蛇はうつろを満たす。

肋骨の環と銀の指環は、
やがて肉を屠るだろう。
骨を劣化させるだろう。

飢えたカラスが、
岩の向こうから見ている。
カラスは待っている。
今か今かと。

肉などくれてやる。

たわわに稔るりんごの実も、
ひとつ残らずくれてやる。
勘違いした女が早速りんごに手を伸ばしているが、
そんなこともどうでもいいこと。
食べたいだけ食べるがいい。

けれど銀の指環だけは渡さない。
これだけは決して渡さない。

蛇は指環をくれた。
言葉の代わりに指環をくれた。

りんごの花咲くゆうべのこと。











000c 芳賀 梨花子
http://www.stupidrika.com/hej+truelove/
視姦
いつも、外しています
だからダイアモンドはランプシェードの
泣き顔みたいな光に揺らいでる
そして、そこで舌先に揺らいでいるのはわたし
むかし、あなた、この人みたいに夢中で
でも覚えているのは、わたしだけ
だから、指輪を外した指は
こんな恥かしいしぐさで
この人とこんなことしているの
人のせいにするのは、君の悪い癖だよ、と
新聞を読みながら今朝あなたは言っていた
わたしもあなたも
目を瞑った生活のなかに閉じ込められていた
だから、わたし、逃げ出して
それでも、忘れられなくて
十年前のあの日あなたが
だから、見て、ずっと、わたしを見ていて
わたし、また、生きている音をたてはじめるから











2002/3/15発行

詩集の感想などGuestBookに
かきこしてくださいね♪

[ご注意]

著作権は作者に帰属する
無断転載お断り
詳細は蘭の会にお問い合わせください
⇒蘭の会へ連絡する

(ページ及びグラフィック製作 芳賀 梨花子)