2002Copyright(c)蘭の会AllRightReserved. Japanese Only 推奨環境IE6.0画面サイズ800*760pix文字サイズ最小



















菟野くうぴい
愛萌 丘梨衣菜 NARUKO 沼谷香澄
阿麻 野中ひまり とかげ 雪柳 Ray Ako
のん 佐々宝砂 芳賀梨花子





























0005 菟野くうぴい
http://kagoshima.cool.ne.jp/kupi_usagino/top.htm
押し寄せる快楽


きききききみの。
 ふっくっらとしていながらも
              すこし乾燥しているくちびるに

 かるうく  かぁるく

                     ぼぼぼぼぼくの。
                     唾液が染みついた


            く   ち   び る





  かすめてしまった!!!!!!!!


               いけないこととは知りながら



      きみはぁぁぁぁぁぁ。

          からだをスリ寄せてきた。



 脈打つ音がやたら大きく聞こえてさ、きっときみもぼくを感じてる。
君の髪を僕の両手の10の指に絡ませて、擦り鳴る音がお互いの熱を煽っては爽やかな


       しゃんぷーうぇ〜ぶ☆★☆




        押し当てた

              唇が
                    お互いの熱を感じてる。









       かくして弱気な僕の記憶は


       こ
       こ
       から先が
           き
           え
           て
           な

           くなった。



                   “考える”必要、



                          なくなったから。


 





0007 愛萌
「恋愛マーク」


寂しいのは
指先
外が冷たいから
だけじゃない


哀しいのは
左手首
もらいものの
ブレスを失くした


苦しいのは
耳たぶ
ピアスの穴が
もうすぐ塞がる


つらいのは

粘膜感染
風邪を伝染された





あなたのくれる
ものはいつも
嬉しい
より
痛い
ばかり




でも。




熱いのは
首筋
紫の紅を
引いたように
きつく
きつく

残った痕




だから
離れられない
離れたくない


もっと
もっと

痛みをください


熱を持った


痛みをください




痕を見るたび
想うあたしは



おかしいと、笑われてもいい








0015 丘梨衣菜
Living−
もそもそと抜け出るベッドに
まだ寝息をたてる人
足が掛け布団からでてる
すこし見つめて
長い枕で覆っておく

はだしのまま
冷たいリビングをよこぎる
朝一番にすること
ノビとウガイ

ピアスをつけたまま寝てしまった
ライオン丸のようになっている髪
まぶたが重い

人生は毎朝とてもはやくすぎ
10分が一日を左右する
あわててしたくするわたしの横を
目覚めたあなたがあくびしながら
キッチンへ向かう

わたしの会社もフレックスならいいのに

もう何度めかわからない言葉
コーヒーと新聞片手ににやける顔に腹が立つ
でもそんな時間ももったいない
もう口紅塗ってしまうから


はやくキスしよう





0019 NARUKO
http://www.hbs.ne.jp/home/poppo/
気がついたらジンクスになってた
綺麗にマニキュアが塗れた日は
君とは逢えない、って

君は私のマニキュアなんて興味ないだろうけど
そんな君だから逢いたいんだけど
でもせめて
唇の色くらいは
気がついてくれないかな

色を咲かせてるんだけど
蝶は蜜だけが欲しいんだよね
どんな色してようと
蜜の味には代わりないからね

水を注いでくれたなら
唇は命を吹き返していくのに
君は色の上を掠めてしまうだけで
私は待っているから無口になってしまう

ジンクスになってるマニキュアは
今日も綺麗に塗れたから
逢えない、ってわかっていても
蝶を捜して飛び出してしまう

色を咲かせてるんだけど
蜜だけでも欲しいのなら
君が欲しいのなら
私も
欲しいから

唇の色
今日は何色だった?





0024沼谷香澄
http://homepage2.nifty.com/swampland/
なないろ
うすべにを乾いた口になじませてひとりの部屋に春を待つ夕

蓋とればともるあかりの紅(くれない)をみつめるそして吸うゆっくりと

真実はすべて鏡のなかにあり今すぐとんでゆきたい、茜

定まらぬこころのままに人に会うパールホワイトぬりちらかして

くるくるとわらいあう人 ついてくる淡いオレンジ色の一日

ドーランの黒にて口を塗潰す硬く転がる二時間のため

くちびるに粉はたきこみ大切なことばを外へ滲ませてゆく






0028 阿麻
舞台裏がみえすぎる


化粧まだ終わらないか 
         ちょっと待って
あと少し・・・
まだ長くなりそうなのか 
         ちょっと待ってちょっと待ってよ!     


午前八時
咲き零れたルージュの口元たちから
白い吐息が中空へと踊りながら
通りすがりの街の大気を染めてる


口紅抑え、ただ一言、

「終わったよ」あなたに告げて家を出てから


混ざり合う、そして広がる吐息をパレッドに見立てて
ぬぐい、なじませた原色の大群が交差点で立ち止まる。
それも 一斉に!

これほどの
光が自我を目覚めさせてくれたのは
マスカラのスタイルよりも
濃くて重い
コートの裾で息づく影より、
おそらく遠く彼方に先立って


今が幸せとは思えないけれどあなたはどうなんだろう。


それにしても短く、冬の日差しの下で
はしゃぐルージュは
暖色系の色見本として
やがて褪せていく事に
笑ってしまうほど、とおく無関心にいる。





0036 野中ひまり
http://hccweb1.bai.ne.jp/natural/
あこがれ


そのピンク色は
白い肌に
とてもよく似合う

口を開けたままの間抜け面で
眺めているのにも気付かずに
一心に口紅をひく母親の姿

やがて完成された外向きな顔で
幼い私へにっこりと微笑む

儀式が終わった合図

今も変わらず続いている
そして受け継がれていく

あのころ
完成された顔を見ると
ほんの少しだけ
寂しくなった





037とかげ
残り香


ひさしぶりに会った友人は
化粧がうまくなっていた

ゆびさきを光らせながら
すいすいと
まぶたに筆を滑らし

少し濃い色をした
リップグロスを唇にのせて 
えらく満足げに
にいっと笑う


あまりにカラフルに
うずたかく積み上げられた
化粧品の山を目の前にして
私はとほうにくれる

めんどうくさいという言い訳のかげに
見え隠れする恐怖心


かつかつとかかとを鳴らしつつ
先を歩く友人の残り香は
苦手だった予備校教師とおなじで
私はさらにとほうにくれる

ゆびさきにのせた英語構文

生まれながらの女なんて
いるものではないけれど
女になる方法なんて
教わったこともない



からだに抗うことの無意味さを
スカートのすそにひるがえして歩く
ひとりの女のある風景




0045 雪柳
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=yukiwatari
幸せ色のメッセージ


夕べの戯れ 夢うつつ
まどろみの中反芻してる
優しい手櫛が 心地良く
おはようと 囁く吐息きに目を開ける

  夢じゃなかった…

夕べの甘い夢から覚めて
目覚めの私を覗き込む
あなたの笑顔眩しくて
慌ててバスに飛び込んだ

  私どんな顔して寝てたんだろう…



シャワー浴びつつ思わずなぞる
あなたの唇触れた跡…
蘇る記憶に速まる鼓動
我が身の幸せ抱きしめる

  こだまするのはあなたの言葉
  後悔なんて微塵も無い

流そうかって ねぇあなた
鏡の中の ツーショット
あなたの長い魔法の指で
蝋人形からマリオネットに…

  頭の芯がクラクラしてる
  戸惑いは消えた

導かれるまま あなたを貪る
夕べあなたがしてくれたように…
首筋に… 脇腹に…
ありったけの想いをそそぐ

  これっきりでも悔い無いように…
  あなたの総てを記憶に刻む



睦み合いの後の長いキス
瞳の中に私がいるわ
肩を抱かれて洗面所
鏡にあなたのメッセージ

  これからも よろしく

ピンクのルージュを なぞってみる
指の先から幸せが駆け巡る
振り返ると 笑顔のあなた
手を取られ 再びベットへ

  幸せな現実をかみしめる…





0051 Ray
http://www40.tok2.com/home/stgeorgeutahusa/
肌色ルージュ


「色の無い
唇が好き」
君が言う
肌の色した
口紅探す

ヌードとは
肌色ルージュの
品番名
口紅塗れば
フェークの裸

唇と
皮膚との境
あいまいに
なれば歯だけの
笑顔が見える

キスすれば
あなたの薄い
唇に
私の裸
伝わっていく






0052 Ako
http://www.enpitu.ne.jp/usr5/51541/
約束の時間 20:00


ダークブラウンのペンシルで
丁寧に縁取って

歯で筆の蓋を抜き

リップスティックに筆を入れ
色を執る

唇に描く
今宵のラブアフェア

そして、ティッシュのベールかぶせて
唇を軽く押さえたら
グロスでコートすればいいだけ

「結構、気合はいっているじゃん。」
鏡の中の自分に一言

それから、身支度を整えて

約束の時間 
20:00時と、携帯のメイル
 
貴方との約束の時間の五分前
待ち合わせの場所へ急いで向かえば
貴方は既に車を寄せて待っていた

逢ってから一番最初に失うものは
丁寧に塗りつぶした私の口紅

カーオーディオのデジタル時計
グリーンの数字が

約束の時間
20:00時、丁度を切った

4時間後には日付も変わる

私たちの関係もこうやって
続いていけば・・・イイナ。





000a のん
http://plaza5.mbn.or.jp/~mae_nobuko/



うなじに
落ちて


ぼんやり
曇る


肌より
濡れて

吐息
ほのかに
香る




薄めの
ルージュ


濃いめの
紅色



今夜
あなたと
逢瀬





000b 佐々宝砂
寒紅
 
       君   凍   寒       願   逢   寒   紅       孕   伐   口             
       に   蝶   林       は   ひ   紅   挿       み   ら   紅              
       与   は   に       く   み   を   す       を   れ   を              
       ふ   君   紅       ば   て   般   や       れ   し   持             
           が   を       我   の   若   湯       ば   は   た             
       白   小   挿       を   の   の   冷       死   冬   ぬ             
       寿   指   さ   *   放   ち   面   め   *   は   萌   日             
       の   で   ん       て   の   の   せ       許   赤   あ              
       我   殺   と       よ   化   裏   し       さ   き   り              
       の   す   火       木   粧   に   ほ       れ   若   き              
       く   べ   を       枯   や   刷   ど       ず   木   麦              
       ち   し   放       に   寒   く   待       冬   な   芽             
       び       つ           の       ち       の   り   ぐ             
       る                   入       わ       蜂       む             
       を                           び                             
                                   て                             
                                                                 
                                                                 
                                                                 
                                                                 
                                                                 

佐々宝砂の作品はこちらでもお楽しみいただけます



000c 芳賀 梨花子
http://www.stupidrika.com/index.htm
口紅戯曲「蝶々」


悲しい薔薇には虫がつきやすいと
わたしは知っていた
だから虫を喰って幾千万の虫を喰って
愛を知らないもの同士の共食いを繰り返し
そのうちに、わたしの唇は簡単に嘘をつけるように
たとえば
(愛してる)(すごく、愛してる)(ずっと、愛してる)
とか
(あなたにしか、こんなことしてあげないの)
とかね、でも、たまには本音も漏らす
(とっても、苦いわ)
そして男も嘘をついた
(君だからさ)
でも、知ってるの、本音はこっち
(ねぇ/そんな/ことより/口/はな/さない/で)
(じょうず?わたし、じょうず?)
(あぁ/とっ/ても/じょう/ず/だ)
のけぞる男、笑い出すわたし
(わらうなよ/こんなときに)
笑いながら、またがるわたし
(ワラウ/ワラウナ/ワラウ/ワラウナ)
ついには怒り出す男、フォルテ,フォルテ,フォルテ、ひっくり返る権力分布
でも笑う、笑い続けるわたし、クレッシェンド、フォルテッシモ、奪いあうふたり!
そして残響(ワラウ/ワラウナ/ワラウ/ワラウナ/ワラウ/ワラウナ)
ピアニッシモ、疲れ果てても、繰り返す、所謂、愛の行為
内緒のおはなし、舞台裏は小ざかしい擬似恋愛の墓場
再びクレッシェンド、羽化しよう、羽化しよう、だから、繰り返し求めて
フォルテ!わたしは悟ったふりをして受け入れる、すべてを
フォルテッシモ!あなたなら、わたし、あなたなら、わたしを
さらにクレッシェンド!羽化させて、羽化させて、羽化させて
わたしの口紅で真っ赤に染まった芋虫が断末魔の悲鳴をあげ
今夜の役割を終えるころ、わたしの背中は、ゆっくりと破けていく





[ご注意]

著作権は作者に帰属する
無断転載お断り
詳細は蘭の会にお問い合わせください
⇒蘭の会へ連絡する

佐々宝砂のページにて使用された素材
http://www.iissa.co.jp/~fma/arata/parts.html


(ページ及びグラフィック製作 芳賀 梨花子
)