系 - 漢字私註

説文解字

系
繋也。从丿聲。凡系之屬皆从系。
十二系部
𣫦
系或从處。
𦃟
籒文系从

説文解字注

系
縣也。縣各本作繫。非其義。今正。《𥄉部》曰、縣者、系也。引申爲凡總持之偁。故系與縣二篆爲轉注。系者、垂統於上而承於下也。系與係可通用。然經傳係多謂束縛。故係下曰、絜束也。其義不同。系之義引申爲世系。『周禮〔春官〕瞽朦』世帝繫。『〔同・同〕小史』奠繫世。皆謂帝繫世本之屬。其字借繫爲之、當作系。『〔禮記〕大傳』繫之以姓而弗別。亦系之叚借。从糸。糸、細絲也。縣物者不必麤也。𠂆聲。𠂆余制切。抴也。字从之。系字亦从之。形聲中有會意也。胡計切。十六部。凡系之屬皆从系。
𣫦
系或从毄處。从處而𣪠聲也。𣪠亦在十六部。故古係縛字亦多叚𣪠爲之。
𦃟
籒文系。从爪絲。此會意也。覆手曰爪。絲縣於掌中而下垂。是系之意也。

康煕字典

部・劃數
糸部(一劃)

『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤胡計切、音繫。『說文』繫也。『博雅』相連繫也。『前漢・敘傳』系高頊之玄胄兮。《註》應劭曰、連也。『後漢・張衡傳』系曰。《註》系、繫也。『文選註』言繫賦之前意也。

又『張衡・東京賦』雖系以隤牆塡塹。《註》系、繼也。

又『左思・魏都賦』本前修以作系。《註》系者、胤也。

又『廣韻』緒也。『增韻』聯屬也。

又姓。『廣韻』楚有系益。

○按『說文』系自爲部、今倂入。

部・劃數
殳部・二十劃

『說文』或从𣪠處、作𣫦。

部・劃數
糸部・十劃

『廣韻』『集韻』𠀤胡計切、音系。籀文字。

音訓

ケイ(漢) 〈『廣韻・去聲・霽・蒵』胡計切〉[xì]{hai6}
いとすぢ。つなぐ。つながる。つらねる。かける。

解字

白川

象形。飾り絲を垂れてゐる形に象る。

『説文解字』に繫くるなりとあり、重文二を錄する。その籀文の字形(𦃟)は卜文、金文に見えるもので、呪飾として用ゐる組紐の形とみられる。いはゆる組繫。

顯の字形は、珠(日の形)にその組繫を加へて拜する形で、それによつて祖靈が顯現することをいふ。

また䜌も神に祝禱するの兩旁に、組繫を施してゐる形。

藤堂

丿印(引き伸ばす)との會意で、絲を繫いで伸ばすことを示す。

落合

會意。手()で多くの絲の束()を懸け持つ形。

  1. 祭祀名。《合集》34532丙寅貞、酒系。
  2. 地名またはその長。《合補》1247庚午卜賓貞、令犬延系沚。三月。
  3. 安寧の意。凶の意である絶が絲束を絶ち切る形であるのとは反對に絲束が繫がつてゐることからの引伸義であらう。《合集》24769丁酉卜王貞、其有禍、不系。在四月。

初文は𭶯の形で、古文で手の形を一本の線に、また複數の絲束をに簡略化した字形が出現し、それが篆文以降に繼承された。

後代に「つながり」の意味で使はれたことについては、發音が係や繫に通じるためとも、絲が繫がつてゐるためとも言はれる。

漢字多功能字庫

甲骨文、金文は、あるいはと、頂部が相連なる絲に從ふ。爪、又はいづれも手の形に象る。頂部の相連なる絲は聯の初文。全字で手に相連なる絲を持つ形に象る。羅振玉卜辭作手持絲形、與許書籀文合。(卜辭に手に絲を持つ形に作り、『説文解字』の籀文と合ふ。)商承祚は、手に二つあるいは三つの連なる絲を持つさまに象り、本義は綁繫(綁は括る、縛るの意)、繫聯。學者の中にはこの字は攣の初文であるとする者もゐる(丁山、裘錫圭)。『説文解字』攣、係也。戰國文字は爪の下を省略して一に從ひ、多く借りてとなす。小篆の系の丿は爪を省略したものであるが、『説文解字』は誤つて聲の標示とする。

甲骨文の用義は次のとほり。

金文では人名に用ゐる。

戰國時代の用義は次のとほり。

馬王堆帛書では系を讀んで雞となす。《馬王堆帛書・五十二病方・䰍》第382行若不能桼(漆)甲兵、令某傷、系(雞)矢(屎)鼠襄(壤)涂(塗)桼(漆)王。もし鎧兜や武器に漆を塗ることができなければ、却つて漆かぶれを惹き起すが、鷄糞や鼠穴の泥土をそれらに塗る、の意。

次のやうな例もある。《馬王堆帛書・六十四卦・習贛(坎)》第21行系(繫)用諱(徽)纆、親(置)之于繱(叢)勒(棘)、三歲弗得、兇(凶)。通行本の『易』では系を係に作る。呂祖謙『周易音訓』係、晁氏曰、古文作系。按ずるに、系、係はいづれも繫と通じ、全句で、繩で囚人を縛れば、彼の身を草叢荊棘の中に置くこととなり、三年拔け出すことができず、凶兆を得る、の意。

系は聯繫より引伸して世系の系に到る。《段注》系之義引申爲世系。『字彙・糸部』系、譜系。

屬性

U+7CFB
JIS: 1-23-47
當用漢字・常用漢字
𣫦
U+23AE6
𦃟
U+260DF

關聯字

系に從ふ字

漢字私註部別一覽・幺部・系枝に蒐める。

其の他

別字。系を係の簡体字に用ゐる。
別字。系を繫の簡体字に用ゐる。