扣 - 漢字私註

説文解字

扣
牽馬也。从聲。
十二手部

説文解字注

扣
牽馬也。周禮〔夏官〕田僕』凡田、王提馬而走、諸矦晉、大夫馳。《注》曰、提猶舉也、晉猶抑也。使人扣而舉之抑之皆止奔也。馳放不扣。『史記』伯夷、叔齊扣馬而諫。从手。口聲。苦后切。四部。

康煕字典

部・劃數
手部三劃

『唐韻』苦𠋫切『集韻』『韻會』『正韻』丘𠋫切、𠀤音𡨥。擊也。『晉書・張華傳』吳郡臨平岸、出一石鼓、華曰、可取蜀中桐材、刻爲魚形、扣之則鳴矣。

又『廣韻』『正韻』苦后切『集韻』『韻會』去后切、𠀤音口。義同。

又『說文』牽馬也。

本作𢼒。通作

音訓

コウ(漢) 〈『廣韻・上聲・厚・口』苦后切〉
コウ(漢) 〈『廣韻・去聲・𠋫・𡨥』苦候切〉[kòu]{kau3}
ひかへる(扣持)。ひく(扣制、扣除)。たたく(扣頭、扣門)。

藤堂は上聲、去聲を用義で使ひ分けるとするが、他の資料に見えず。

解字

白川

形聲。聲符は。馬の口をとつて控へる意。

『説文解字』に馬を牽くなりとあり、馬の轡をとる意とする。

藤堂

と音符の會意兼形聲。口は、凹んだ穴。後ろや下に凹む意を含む。扣は、進むものを引き止めて、後ろに凹ませる、つまり控へることを表す。

はその語尾がŋに轉じた語。

漢字多功能字庫

に從ひ聲。引き止める意を表す。『呂氏春秋・愛士』晉人已環繆公之車矣、晉梁由靡已扣繆公之左驂矣。

また、に同じく、たたく意を表す。『墨子・公孟』譬若鍾然、扣則鳴、不扣則不鳴。

また、たづねることを表す。南朝梁・元帝『撰「孔子正言」竟述懷』孤陋乏多聞、獨學少擊扣。

また、近いことを表す。漢・王充『論衡・說日』夫屋高三丈、竿於屋棟之下、正而樹之、上扣棟、下抵地、是以屋棟去地三丈。

また、卷き附く、連結することを表す。唐・陸龜蒙『奉和襲美太湖詩・孤園寺』幡條玉龍扣、殿角金虯舞。

また、拘留、拘束、差し押さへを指す。『醒世恒言・蔡瑞虹忍辱報仇』﹝水手﹞蜂擁的上岸、把兩個人一齊扣下船來、跪於將軍柱邊。

また、ボタン(釦子)を指す。元・王實甫『西廂記』第五本第一摺紐結丁香、掩過芙蓉扣。

屬性

U+6263
JIS: 1-57-11