傾 - 漢字私註

説文解字

傾
仄也。从、頃亦聲。去營切。
人部

説文解字注

傾
仄也。《仄部》曰、仄、傾也。二字互訓。古多用頃爲之。又按仄當作。夨下曰、傾頭也。引申謂凡夨皆曰傾。夨與仄義小異。从人頃、頃亦聲。去營切。十一部。

康煕字典

部・劃數
人部・十一劃

『唐韻』去營切『集韻』『韻會』『正韻』窺營切、𠀤音卿。『說文』側也。又伏也、敧也。『禮・曲禮』傾則姦。《註》視流則容側、必有不正之心存乎胷中、此君子所以愼也。

又圯也、空也。『淮南子・天文訓』天傾西北。

又西傾、山名。『書・禹貢』西傾因桓是來。

又通作。『詩・周南』不盈頃筐。

又『韻補』叶曲陽切、音匡。『黃庭經』羅列六腑生三光、心精意專內不傾、上合三焦下玉漿。

異體字

簡体字。

音訓

ケイ(漢) キャウ(呉) 〈『廣韻・下平聲・清・傾』去營切〉[qīng]{king1}
かたむく

解字

白川

形聲。聲符は。頃は神靈の降下するのを迎へて、これに稽首する形。は金文に𩒨に作り、旨は詣の初文。その旨は甘旨の字とは別。稽首の姿勢を傾といふ。

『説文解字』に仄なりと傾仄の意とし、傾危、危急の意となる。

『詩・大雅・蕩』大命旣に傾く(補註: 中國哲學書電子化計劃Wikisourceとも、大命以傾に作る。)とは、國勢の危急に陷ることをいふ。

藤堂

と音符の會意兼形聲。頃は、(頭)との略體の會意で、頭を妙な具合に曲げ、垂直の狀態から變化させるの意を示す。頃が田畑の面積の單位に轉用されたため、傾字でその原義(かたむく)を表した。

漢字多功能字庫

に從ひ、頃亦聲。本義は、斜め、偏り、傾斜。『禮記・曲禮下』凡視、上於面則敖、下於帶則憂、傾則姦。鄭玄注闢頭旁視、心不正也。孔穎達疏傾、欹側也。

また倒れる、崩れることを表す。漢・桓譚〈新論〉千秋萬歲之後、宗廟必不血食、高臺既已傾、曲池又已平、墳墓生荊棘、狐狸穴其中。

また傾覆(倒れる、覆る、ひつくり返る、顚覆させる)、覆亡(滅亡)を表す。『詩・大雅・蕩』曾是莫聽、大命以傾。

また損傷を表す。『國語・吳語』夫吳民離矣、體有所傾、譬如群獸然、一個負矢、將百群皆奔、王其無方收也。韋昭注傾、傷也。

偏向を指す。唐・杜甫〈自京赴奉先縣詠懷五百字〉葵藿傾太陽、物性固難奪。

またものを傾け中身をひつくり返すことを指す。『韓非子・外儲說右下』今簡公之以法禁其眾久矣、而田成恒利之、是田成恒傾圃池而示渴民也。

また傾瀉(注ぐ、注ぎ込む)を指す。宋・王安石〈九井〉山川在理有崩竭、丘壑自古相虛盈。誰能保此千歲後、天柱不折泉常傾。

また竭盡(あらん限りを盡くす)を表す。宋・曾鞏『本朝政要策・軍賞罰』所破郡縣、當傾帑藏、為朕賞戰士。

また、ぶちまける、洗ひ浚ひ打ち明けることを表す。宋・王安石〈寄曾子固〉高論幾為衰俗廢、壯懷難值故人傾。

壓倒する、勝ることを表す。『史記・魏其武安侯列傳』武安侯新欲用事為相、卑下賓客、進名士家居者貴之、欲以傾魏其諸將相。

また傾軋(排斥する、軋轢が生じる)、排斥を表す。『舊唐書・竇申傳』兵部侍郎陸贄與參(竇參)有隙。

敬服、敬慕を指す。『漢書・司馬相如傳上』臨邛令不敢嘗食、身自迎相如、相如為不得已而強往、一坐盡傾。

屬性

U+50BE
JIS: 1-23-25
當用漢字・常用漢字
U+503E