吳 - 漢字私註

説文解字

吳
姓也。亦郡也。一曰吳、大言也。从
夨部
𡗾
古文如此。

説文解字注

吳
大言也。大言之上各本有「姓也、亦郡也、一曰吳」八字。乃妄人所增。今𠜂正。檢『韵會』本正如是。『〔詩〕周頌・絲衣』、『魯頌・泮水』皆曰不吳。《傳》《箋》皆云吳、譁也。『言部』曰、譁者、讙也。然則大言卽謂譁也。孔沖遠『詩正義』作不娛。『史記・孝武本紀』作不虞。皆叚借字。大言者、吳字之本義也。引伸之爲凡大之偁。『方言』曰、吳、大也。『〔楚辭〕九章』齊吳榜以擊汏。《王注》齊舉大櫂。从夨、口。大言非正理也。故从夨口。五乎切。五部。何承天改吳作㕦。音胡化反。其繆甚矣。
𡗾
古文如此。从口

康煕字典

部・劃數
口部四劃
古文
𡗿
𡗾

『唐韻』午胡切『集韻』『韻會』『正韻』訛胡切、𠀤音吾。國名。『史記・吳太伯世家』太伯之奔荆蠻、自號句吳。《註》宋衷曰、句吳、太伯始所居地名。『前漢・地理志』會稽郡秦置、高帝六年爲荆國、十二年、更名吳。

亦縣名。『前漢・地理志』會稽郡吳縣。

又『說文』郡也。『後漢・郡國志』吳郡、順帝分會稽置。『韻會』吳郡、吳興、丹陽爲三吳。『正字通』水經以吳興、吳郡、會稽爲三吳。指掌圖以蘇、常、湖爲三吳、其說不同。又『齊語』西服㳅沙西吳。《註》雍州之地。

又天吳、水神也。『郭璞・山海經贊』八頭十尾、人面虎身。龍據兩川、威無不震。

又『說文』姓也。『廣韻』太伯之後、因以命氏。

又『方言』大也。『說文』大言也。『詩・周頌』不吳不敖。《傳》吳、譁也。又『魯頌』不吳不揚。『說文・註』大言故夨大口以出聲。今寫詩者、攺吳作㕦、又音乎化切、其謬甚矣。『釋文』吳、舊如字。何承天云、从口下大、故魚之大口者名㕦、胡化反、此音恐驚俗也。○按『說文』『釋文』俱云吳作㕦讀、非。而【玉篇】【廣韻】【集韻】【類篇】【韻會】諸書、吳字亦皆無去聲一音、惟正韻收吳入禡韻、【詩朱註】亦作去聲讀。未知孰是、存以備考。

又『集韻』元俱切、音愚。虞古作吳。註詳虍部七畫。『釋名』吳、虞也。太伯讓位而不就、歸封于此、虞其志也。

又與娛通。『詩・周頌』不吳不敖。《疏》正義曰、人自娛樂、必讙譁爲聲。故以娛爲譁也。定本娛作吳。

部・劃數
大部五劃

『集韻』古作𡗿。註詳口部四畫。

部・劃數
大部五劃

『玉篇』古文字。註詳口部四畫。

部・劃數
口部四劃

字。『吳志・薛綜傳』無口爲天、有口爲吴。『正字通』此借字形爲諧語、非吴字本義。『正韻』吳字註亦作吴、非。

異體字

いはゆる新字体。

音訓・用義

ゴ(漢) グ(呉)〈『廣韻・上平聲・模・吾』五乎切〉[wú]{ng4}
かまびすしい
(國訓) くれ。くれる。

本邦では吳の地のみならず支那全般の異稱として用ゐた。「呉竹」「呉服」などの吳もこの義。

解字

白川

の會意。口は祝禱を收めた器の形。夨は人が手を擧げて舞ふ形。片手に祝禱の器を捧げて、神前で舞ふのは、神をたのしませる意で、吳は娛、悞の初文と見てよい。

『説文解字』に姓なり。亦た郡なり。とし、また一に曰く、吳は大言するなり。とするが、字は祝禱を揭げて舞ふ形。

詩・邶風・簡兮碩人俁俁、公庭萬舞。(碩人俁俁として、公庭に萬舞す。)とあり、俁俁はその舞ふ姿を形容する。

夨は身を傾けて舞ふ形。兩手を擧げ、身を傾けて舞ふ形は。また神を樂しませる所作をいふ。そのあでやかな姿をといふ。吳、笑、妖はみな神前に舞ふ姿を寫す字。

藤堂

(人が頭を傾げるさま)の會意。人が頭を傾げて口を開け笑ひさざめくさまを示し、娛樂の娛の原字。

古くから國名に當てる。

漢字多功能字庫

金文はに從ふ。人が大きく口を開くの意と解き、大聲で騷ぐことを指す。吳はあるいは(讀んでとなす)に從ひ聲符となす。吳字は後に多く借りて國名や人名となす。

大はもと兩腕を開く人と解く。大の側に口を加へ、實際は人が口を開いて大聲で叫ぶ模樣に象る。李伯謙は、大と夫は古くもと一字で、大を讀んで夫となし、また吳の聲符である、とする。『説文解字』が「大言」と解する一説はまさにこの理を説明する。『詩經・周頌・絲衣』不吳不敖や『詩經・魯頌・泮水』不吳不揚の毛亨《傳》はいづれも吳、譁也。と云ふ。吳と敖、揚は、大聲で騷ぐこと、叫ぶことを意味し、『説文解字』の「大言」といふ釋と相合ふ。

しかし、吳字の使用は、早く金文の時期から殆ど全て解いて固有名詞となす。太王の子の太伯、仲雍が荊蠻に奔り立てた國の名に用ゐるやうに。吳王夫差矛吳王夫差自乍(作)甬(用)鈼。また用ゐて虞となし、職官名に用ゐる。虞人は、山澤田獵の事を管掌する。同𣪕𤔲昜(場)、林、吳(虞)、牧は、場人、林衡、虞人、牧人などの官員を管掌することを指す。

戰國竹簡での用義は次のとほり。

傳世文獻では、吳はほとんど全て固有名詞に用ゐる。ただ『方言』に吳、大也と訓じ、段注は大言から引申之為凡大之稱。とする。

屬性

U+5433
𡗿
U+215FF
𡗾
U+215FE
U+5434
U+5449
JIS: 1-24-66
當用漢字・常用漢字

關聯字

吳聲の字