三 - 漢字私註

説文解字

三
天地人之道也。从三數。凡三之屬皆从三。穌甘切。
三部
弎
古文三从

康煕字典

部・劃數
一部・二劃
古文

『唐韻』『集韻』『韻會』蘇甘切『正韻』蘇監切、𡘋颯平聲。『說文』三、天地人之道也。謂以陽之一合隂之二、次第重之、其數三也。『老子・道德經』一生二、二生三、三生萬物。『史記・律書』數始於一、終於十、成於三。又『周禮・冬官考工記』凡兵無過三其身。又『左傳・昭七年』士文伯曰、政不可不愼、務三而已。一擇人、二因民、三從時。又『晉語』民生於三、事之如一。

又『周語』人三爲衆、女三爲粲、獸三爲羣。

又姓。明三成志。又漢複姓。屈原之後有三閭氏、三飯尞之後有三飯氏、三州孝子之後有三州氏。

又去聲。『韻會』蘇暫切。『論語』三思而後行。

又本作。『博雅』參、三也。『周禮・冬官考工記』參分其股圍。『前漢・𠛬法志』秦造參夷之誅。𡘋與三同。

又『韻補』叶疏簪切、音森。『詩・召南』摽有梅、其實三兮。下叶今。

部・劃數
弋部三劃

『說文』古文字。註詳一部二畫。

音訓

サム(漢、呉) 〈『廣韻・下平聲・談・三』蘇甘切〉
み。みつ。みたび。

解字

指示字。橫劃三劃で3を表す。

白川

指示。橫劃三本を竝べた形。細長い木を竝べた數取りの仕方を、そのまま字形化した。卜文、金文では一より四までをこの形式で表す。

『説文解字』に天地人の道なりといふ。には道は一に立つには地の數なりとし、三において天地人に道が備はるとする。古い自然哲學における、發生論的な考へ方。それでの字形を、天地人三才を貫くもので、道の實踐者とするが、王の字形は大きな鉞頭の形。

三は聖數とされ、その名數の語は千數百にも及び、『騈字類編』中の三卷を占めてゐる。

金文に、官名や分數的表示のときにを用ゐる。參は簪三本を髮に插した形で參集の意味があり、三と聲義の通ずる字。

弎は古文。一、二にもその形式の古文がある。

藤堂

指示。三本の橫線で三を示す。

また參加のと通じて、幾つもまじること。

またの原形で、幾つも竝んで紋樣を成すの意味を含む。

奈良時代にはサムと音譯し、三位サムミ三線サムセンといひ、三郎サブラウはその轉音。

落合

指示。橫線三本で數の三を表す。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. みつつ。《輯佚》619+657土燎三牢。
  2. 三番目。《甲骨綴合集》541貞、今三月、插至。
三匚
匚乙、匚丙、匚丁の總稱。匚示、元示、三元示ともいふ。《合集》32349辛亥卜、乇上甲牛、三匚羊、二示牛。
三元示
元示や三匚の別稱。殷初の祖先神のうち匚乙、匚丙、匚丁の三名を指す。《合補》4139貞、三元示五牛、它示三牛。
三百射
三百人の射擊部隊。射三百とも稱される。戰車は乘員が弓で攻擊する兵器であるため、三百臺の戰車と解釋する説もある。《合集》5769貞、勿令[⿳匕凶十]以三百射。
三祖丁
三番目の丁名の王である中丁の別稱。《合補》11875丙申卜貞、王賓三祖丁…。
三師
三つの部隊。殷王の軍隊の全軍をいひ、右(右師)、中(中師)、左(左師)を指す。後にいふ「三軍」に當たる。三族ともいふ。《合集》33006丁酉貞、王作三師右中左。
三嗇雲[⿱目矢]
天候用語。詳細不明。《合集》13399・後半驗辭王占曰、茲惟庚雨、卜之…雨。庚子、酒、三嗇雲[⿱目矢]。其既[⿰示丮]、啓。

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甲骨文、金文は、三橫劃で數の三を標示する。數字の一から四まではみな橫劃を積んで數となす。徐中舒は、橫劃は算木の象とする。

三は、數の三を表すほか、多數を表す。は手の形に象るが、三指のみを描いて手指の全部を代表させる。は三點で雨水を描く。果は三個の果実を描く。は鼓の音を三撇(左拂ひ)で描く。(張秉權)

甲骨文、金文での用義は次のとほり。

三軍は上軍、中軍、下軍を指す。叔尸鐘余命女(汝)政于朕三軍

三事は在朝の官を指し(白川靜)、四方と相對す。令方彝王令周公子明保尹三事四方は、王は周公子明保に命じて朝廷の官員と四方を治めせしむ、の意。一説に三事は三有𤔲のこと(斯維至)。盠方彝參有𤔲、𤔲土(徒)、𤔲馬、𤔲工(空)。

三壽は上壽、中壽、下壽を指し、ひろく長壽を指す。

屬性

U+4E09
JIS: 1-27-16
當用漢字・常用漢字
U+5F0E
JIS: 2-12-14
JIS X 0212: 28-64

關聯字

大字。