皇 - 漢字私註

説文解字

皇
あるいは𦤃に作る。
大也。从。自、始也。始皇者、三皇、大君也。自、讀若鼻、今俗以始生子爲鼻子。
王部

説文解字注

皇
大也。从自。自、始也。始皇者、三皇、大君也。自、讀若鼻。今俗㠯作始生子爲鼻子是。

康煕字典

部・劃數
白部四劃
古文
𦤍𦤐𤽙𤽚𤽧

『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤胡光切、音黃。『說文』大也。『風俗通』天也。『爾雅・釋天疏』尊而君之、則稱皇天。『書・大禹謨』皇天眷命。又『湯誥』惟皇上帝。《傳》皇、大。上帝、天也。又三皇、伏犧、神農、黃帝是也。『尚書・序疏』稱皇者、以皇是美大之名。言大於帝也。『風俗通』三皇道德元泊、有似皇天、故稱曰皇。皇者、中也、光也、弘也。

又有天下者之通稱。『爾雅・釋詁』君也。『白虎通』號也。號之爲皇者、煌煌人莫違也。『書・呂𠛬』皇帝淸問下民。『詩・大雅』皇王維辟。『春秋・繁露』德侔天地者稱皇帝。『蔡邕・獨斷』皇帝、至尊之稱也。上古天子庖犧氏、神農氏稱皇。堯、舜稱帝。夏、殷、周稱王。秦幷以爲號、漢因之不改。『前漢・高帝紀』漢王卽皇帝位、尊王后曰皇后、太子曰皇太子、又尊太公爲太上皇。《註》太上、極尊之稱。天子之父、故號曰皇。不預冶國、故不言帝。『明制』太子稱皇、諸王以下不稱皇、皇族各戚屬宗人府掌之。

又『禮・曲禮』祭王父曰皇祖考、王母曰皇祖妣、父曰皇考、母曰皇妣、夫曰皇辟。《註》更設稱號、尊神異于人也。

又『宋史・眞宗紀』祥符五年、親祀玉皇於朝元殿。《註》玉皇、天帝聖號。又『鴻苞博蒐』佛一稱覺皇。

又『博雅』美也。『詩・大雅』思皇多士。

又『爾雅・釋言』皇正也。『詩・豳風』四國是皇。

又莊盛也。『儀禮・聘禮』賔入門皇。

又美盛貌。『詩・大雅』穆穆皇皇。

又猶煌煌也。『詩・小雅』皇皇者華。『爾雅・釋言』皇、華也。《疏》草木之華一名皇。

又猶熒熒也。『揚子・太玄經』物登明堂、矞矞皇皇。

又猶栖栖也。『禮・檀弓』皇皇如有、望而弗至。

又於皇、歎美辭。『詩・周頌』於皇來牟。《註》於、音烏。

又聿皇、疾貌。『前漢・揚雄・校獵賦』武騎聿皇。

又遹皇、往來貌。『張衡・思𤣥賦』察二紀五緯之綢繆遹皇。

又冠名。上畫羽飾也。『禮・王制』有虞氏皇而祭。

又屏風名。王坐所置也。『周禮・天官』掌次設皇邸。

又舞名。析五采羽、持以舞也。『周禮・地官』舞師掌敎皇舞。帥而舞旱暵之事。《註》皇或爲䍿。

又鳳皇、靈鳥也。『書・益稷』鳳皇來儀。《傳》雄曰鳳、雌曰皇。皇、通作凰。『集韻』亦作䳨。

又『爾雅・釋鳥疏』皇、一名黃鳥。俗呼爲黃離留。

又『爾雅・釋草疏』皇、一名守田。似燕麥子、如彫胡米、生廢田中。

又『埤雅』驪馬黃白曰皇。『詩・豳風』皇駁其馬。

又星名。『前漢・天文志』歲星、十月出、名天皇。又國皇星、大而赤。

又餘皇、舟名。『左傳・昭十七年』楚敗吳師、獲其乘舟餘皇。俗作艅艎。

又矞皇、神名。『前漢・司馬相如傳』前長離而後矞皇。『史記』作潏湟。

又冢前闕曰皇。『左傳・莊十九年』葬于絰皇。

又寢門闕曰皇。『左傳・宣十三年』屨及于窒皇。

又室無四壁曰皇。『前漢・胡建傳』列坐堂皇上。『博雅』作堭、非。

又㵎名。『詩・大雅』夾其皇㵎。

又山水名。『山海經』皇人之山、皇水出焉。

又地名。『春秋・昭二十二年』劉子單子以王猛居于皇。

又姓。『左傳疏』宋戴公子皇父、其子孫以皇爲氏。又皇甫、複姓。

又『諡法』靖民則法曰皇。

又與遑偟徨𠀤通。『左傳・昭三十二年』不皇啓處。『詩・小雅』作遑。『爾雅・釋訓』作偟、暇也。『前漢・揚雄甘泉賦』溶方皇于西淸。《註》猶仿偟也。一作彷徨。

又『正韻』戸廣切、黃上聲。『禮・少儀』祭祀之美、齊齊皇皇。陸德明讀。

又『正韻』于放切、黃去聲。義同。徐邈讀。

又『集韻』羽兩切、音往。皇皇、祭祀之儀。『禮・少儀註』皇、讀如歸往之往。《疏》謂心所繫往、孝子祭祀、威儀嚴正、必有繼屬、故齊齊皇皇也。『詩・魯頌』烝烝皇皇。《箋》皇皇、當作暀暀。猶往往也。

『說文』本从自、始也。『徐曰』自、從也。故爲始也。今省作白。

部・劃數
自部四劃

『說文』本字。

音訓

クヮウ(漢) ワウ(呉) 〈『廣韻・下平聲・唐・黃』胡光切〉
きみ。かみ。おほきい。ひかる。いとま。ただす。
(國訓) すめら。すめらぎ。すべらぎ。

解字

資料中の甲骨文や金文の形を見る限りは、上部はに非ず。

白川

象形。の上に玉飾を加へてゐる形に象る。王は鉞頭の象。刃部を下にして玉座に置き、王位の象徴とする。その柄を裝著する銎首の部分に玉を象嵌して加へ、その光が上に放射する形であるから、煌輝の意となる。

『説文解字』に大なりと訓じ、字形を王に従ふものとし、自は鼻首、はじめの意で、はじめて王たるもの、三皇の意とするが、上部は玉の光輝を示す形。

神靈をいふときの美稱に用ゐ、『楚辭・離騷皇剡剡其揚靈兮(皇(神靈)、剡剡として其れ靈を揚ぐ)とは、神靈の輝くことをいふ。

金文の《宗周鐘》に皇上帝百神、余小子を保つとあり、皇天のほか、皇祖、皇考、皇文考、皇祖皇妣のやうに祖考の上に加へていふ。

また聖職者に對して、召公奭を「皇天尹大保」のやうにいひ、辟君にも皇辟君のやうにいふことがある。

《競卣》に競(人名)をかがやかさんとして官にいたのやうに動詞に、また『詩・小雅・楚茨先祖是皇(先祖是れおほひなり)のやうに形容詞に用ゐる。

藤堂

(はな→はじめ)と音符の會意兼形聲。王は、偉大な者のこと。皇は、鼻祖(一番初めの王)のこと。人類開祖の王者といふのがその原義。

落合

象形。甲骨文の字形はの異體(㜽)や十二支の子(𢀈)に近く、子供の頭部の形と思はれる。但し字義との關聯は不明。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 動詞。ともにすること。複數の祭祀の擧行や複數の敵對勢力の協力を意味して用ゐられる。竝列を意味する凡と合はせて凡皇ともいふ。《合補》6829庚申、皇彘侑羊侑。
  2. 地名またはその長。殷金文の圖象記號にも類似形が見える。《合集》6913貞、我𢧀皇。

金文では偉大な人物や天への尊稱として使はれたため、下部がの形(亦聲符)になつてゐるが、甲骨文にはその形や用法は見られない。

字形は篆文で上部がに變はり、更に隸書でに變はつた。そのほか古文には上部を世にした字形もあるが、後代には殘つてゐない。

漢字多功能字庫

甲骨文、金文は、冕冠の裝飾となる羽を插した三叉形あるいは山字形の玉器の形と、に從ふ。王は聲を標すほか、この種の冠飾は王者が戴くところであることを表す。本義は冠冕。新石器時代の良渚文化の遺蹟から三叉形の冠飾が出土した。三叉の上には色とりどりの羽を插すための孔が各三個あり、背面底部にまた柄を嵌め込むための孔があり、甲骨文に長柄の字形があることと合致する。これら三叉形の玉飾が出土したとき、いづれも死者の頭部附近に位置した。江蘇(省)高淳(區)朝墩頭遺址12號墓から出土した良渚玉人は頭に三叉形の冠を戴き、證となる。『禮記・王制』有虞氏皇而祭鄭玄注皇、冕屬也。畫羽飾也。

皇字の本義は冠冕で、最初は巫師あるいは權貴の戴くところであつたため、後に君主を皇帝と稱ふ。羽飾を插した冠冕は十分に華麗で、それで皇にまた美麗の義がある。『廣雅・釋詁』皇、美也。光輝燦爛を煌と美稱し、また樂聲の美を形容し、鐘鼓の鏗鏘(リズミカル)なるが耳を悦ばせるを鍠、韹と稱する。また、皇帝は最高の權力の統治者であり、それで皇にまた大の義がある。

甲骨文辭殘の意義は不詳。

金文での用義は次のとほり。

皇字の構形について過去に主要な三説があつた。

出土した良渚冠飾と玉人によるなら、汪榮寶の説が正確であらう。

屬性

U+7687
JIS: 1-25-36
當用漢字・常用漢字
𦤃
U+26903

關聯字

皇聲の字