釆 - 漢字私註

説文解字

釆

辨別也。象獸指爪分別也。凡釆之屬皆从釆。讀若蒲莧切。

釆部
𠂠

古文釆。

説文解字注

釆

辨別也。象獸指爪分別也。倉頡見鳥獸蹏迒之迹。知文理之可相別異也。遂造書契。釆字取獸指爪分別之形。

凡釆之屬皆从釆。

讀若辨。蒲莧切。十四部。

𠂠

古文釆。惠氏棟云、『尙書』「平章」「平秩」、平字皆當作𤓳、與古文平相似而誤。按此肊測不可从。

康煕字典

部・劃數
部首
古文
𤓳

『唐韻』蒲莧切。音1本字。『說文』辨別也。象獸指爪分別也。『六書正譌』本獸指爪、借爲別辨字。凡審釋悉番之類从此。

部・劃數
爪部・三劃

『玉篇』古文字。註詳部首。

異體字

或體。

或體。

音訓義

ハン(漢) ベン(呉)⦅一⦆
ヘン(推)⦅二⦆
バン(推)⦅三⦆
わかつ⦅一⦆
官話
biàn⦅四⦆
粤語
bin6⦅四⦆

⦅一⦆

反切
『廣韻・去聲・襇・瓣』蒲莧切
『集韻・去上・襉・瓣』皮莧切
『五音集韻・去聲卷第十一・諫第十・並二瓣』蒲莧切
聲母
並(重唇音・全濁)
等呼
日本語音
ハン(漢)
ベン(呉)
わかつ
分別、辨別。
『廣韻』: 『說文』云「辨別也。象獸指爪分別也。
『集韻』釆𤓳: 『說文』「辨別也。象獸指爪分別也。」古作𤓳。
『康煕字典』上揭

⦅二⦆

反切
集韻・上聲下𤣗第二十八』邦免切
『五音集韻・上聲卷第八・獮第十一・幫三辡』方免切
聲母
幫(重唇音・全清)
等呼
重紐三
日本語音
ヘン(推)
『集韻』: 揀別也。一曰獸懸蹄。

⦅三⦆

反切
『集韻・去上・諫・慢』莫晏切
『五音集韻・去聲卷第十一・諫第十・明二慢』謨晏切
聲母
明(重唇音・次濁)
等呼
日本語音
バン(推)
『集韻』: 分別也。

⦅四⦆

官話
biàn
粤語
bin6
辨別、分別。
補註
と同音。義も辨に通ず。
藤堂はbiànを襉韻(⦅一⦆相當)とする。

解字

白川

象形。獸爪の形に象る。下に掌の形の田を加へると番となり、掌肉を膰といふ。

『說文』に辨別するなり。獸の指爪の分別するに象るなり。とし、讀みて辨の若くすといふ。

古文の形は平に似てゐるが、釆は獸爪の間に肉のある形。獸爪を以て物を裂くので、分別の意がある。

藤堂

象形。十印の四方に種を撒き散らすさまを描いたもの。播の原字。その下にを加へて、田に種を播くことを表したのが番字で、のち播と書く。

また(ばらばらに分ける)とも同音。

書・堯典平章百姓(百姓と平章にす)の平は、釆の誤寫。

漢字多功能字庫

金文の構形初義は不明。一般に解いてとなし、あるいは播の初文と謂ふ。

張世超らは、釆はと數點に從ひ、數點は穀粒種子に象り、土を耕し種を播く意と解き、播種の播の初文とする。後にを加へて播に作る。

金文では人名に用ゐる。

季旭昇

甲骨文は劉釗の釋(『甲骨文字考釋』)に據る。初義については檢討を待つ。『說文』は象獸指爪分別とする。何琳儀『戰國古文字典』は、に從ひ、手が沙中で摸索分辨するの意と解くとする。戰國秦漢以後、字の字形と混淆する。『說文・釆部』に屬する宷(審)、悉、釋の三字はみな仔細分辨の義を有す。

甲骨文に釆字は無いとする、舊くあるいは《合集》32384「小甲」の合文を釋して釆となすは、誤り。

屬性

U+91C6
JIS: 1-40-48
𤓳
U+244F3
𠂠
U+200A0
𠂟
U+2009F

關聯字

釆に從ふ字

漢字私註部別一覽・釆部に蒐める。

其の他

別字。