刺 - 漢字私註

説文解字

刺
君殺大夫曰刺。刺、直傷也。从、朿亦聲。七賜切。
刀部

説文解字注

刺
君殺大夫曰刺。刺、直傷也。刺篆疑非舊次。刺、直傷也。當爲正義。君殺大夫曰刺。當爲別一義。辭之先後今又倒亂矣。上文剽砭刺也、刲刺也皆直傷之義。然則刺篆當廁剽刲二篆下。禮經云刺草、『大雅』之刺訓責、史稱刺六經作王制、官稱刺史、鏚黹曰刺繡、用㰏曰刺船、盜取國家密事爲刺探尚書事、皆其引伸之義也。一曰君殺大夫曰刺者、『春秋・僖二十八年』公子買戍衞、不卒戍、刺之。『成十六年』刺公子偃。『公羊傳〔僖二十八年〕』曰、刺之者何。殺之也。内諱殺大夫、謂之刺之也。考諸『周禮〔秋官〕司刺』掌三刺之法。壹刺曰訊羣臣、再刺曰訊羣吏、三刺曰訊萬民。《注》刺、殺也。訊而有罪則殺之。然則『春秋』於他國書殺其大夫、於魯國則兩書刺。諱魯之專殺而謂之刺。謂其當罪合於『周禮』。『公羊』内諱之說是矣。此云君殺大夫曰刺。『春秋』於他國不云爾也。从刀朿、朿亦聲。七賜切。十六部。按又七迹切。古不分去入。

康煕字典

部・劃數
刀部六劃

『唐韻』『集韻』『韻會』七賜切『正韻』七四切、𠀤此去聲。『說文』刺、直傷也。从刀束。『爾雅・釋詁』刺、殺也。『春秋・僖二十八年』公子買戍衞、不卒戍刺之。『公羊傳』刺之者何、殺之也。

又『儀禮・士相見禮』庶人則曰刺草之臣。《註》刺猶剗除之也。

又『前漢・郊祀志』刺六經中作王制。《註》刺、采取之也。

又『廣韻』針刺也。以針黹物曰刺。

又『韻會』棘芒也。

又『釋名』書姓名於奏白曰刺。『後漢・禰衡傳』建安初游洛下、始達穎川、隂懷一刺、旣而無所之、至刺字漫滅。又『詩・大雅』天何以刺。《毛傳》刺、責之。又『周禮・秋官』司刺掌三刺、一訊羣吏、二訊羣臣、三訊萬民。《註》刺、訊決也。

又刺史、官名。『韻會』漢武帝初置刺史、掌奉詔察州。成帝更名牧、哀帝復爲刺史。

又『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤七迹切、音磧。穿也、傷也。『增韻』刃之也。『孟子』刺人而殺之。

又針黹也。『史記・貨殖傳』刺繡文、不如倚市門。

又偵伺也。『前漢・燕王旦傳』燕王旦遣幸臣之長安問禮儀、隂刺𠋫朝廷事。

又『韻會』黥也。

又撐也。『史記・𨻰平世家』平乃刺船而去。『韓愈詩』峻瀨乍可刺。

又刺刺、多言貌。『管子・心術篇』焉能去刺刺爲咢咢乎。『韓愈・送殷員外序』丁寧顧婢子、語刺刺不能休。

又七計切、音砌。『詩・魏風』維是褊心、是以爲刺。

『集韻』俗作

『韻會』从朿从刀。俗作、誤。剌音辣。

部・劃數
刀部七劃

『集韻』俗作㓨。『史記・封禪書』使博士諸生㓨六經中作王制。《註》㓨作刺、謂采取之也。

廣韻

四聲・韻・小韻
去聲
反切
七賜切

針刺。

『爾雅』云、刺殺也。

『釋名』云、書姓名於奏白曰刺。

漢武帝初置部刺史、掌奉詔察州。成帝更名牧。哀帝復爲刺史。

七賜切。又七亦切,十。

四聲・韻・小韻
去聲
反切
七賜切

俗。

四聲・韻・小韻
入聲・昔・皵
反切
七迹切

穿也。

又七四切。

音訓

シ(漢、呉) 〈『廣韻・去聲』七賜切〉[cì]{ci3}
セキ(漢) 〈『廣韻・入聲・昔・皵』七迹切〉{cik3/cek3/sik3}
さす。とげ。そしる。

解字

白川

形聲。聲符は。朿は先の鋭く尖つた木。これを標木として立てることもあり、また刺突するのに用ゐることもある。

『説文解字』に君、大夫を殺すを刺と曰ふ。刺とは直傷するなり。といふが、そのやうに特定のことをいふ語ではない。

刺譏はそしる、刺戟は感覺を呼び起こすこと、また刺繍は縫ひ取り。みな鋭いもので突く意がある。

藤堂

と音符(とげ)の會意兼形聲。朿の原字は、四方に鋭いとげの出た姿を描いた象形字で、棘、の原字。刺は、刀でとげのやうに刺すこと。また、ちくりと刺す針。

もと主に名詞にはシ、動詞にはセキの音を用ゐたが、のち混用して多くシの音を用ゐる。

落合

刺はを加へた繁文で、朿字の原義を反映してゐる。

漢字多功能字庫

に從ふ。本義はとげを帶びた武器で、初文は朿。秦簡文字で初めて朿と刀に從ふ刺字が現れた。

『説文解字』の釋の「刺傷、刺殺」の義は典籍によく見える。

刺傷の義から諷刺、指責(せめる、とがめる)の義を派生する。

また武器の鋒刃を表す。

刺とは字形が比較的近く、注意して區別せねばならない。

屬性

U+523A
JIS: 1-27-41
當用漢字・常用漢字
U+34E8
U+523E

關聯字

刺聲の字

其の他

別字。