乖 - 漢字私註

説文解字

𦫳部𦭅字條

𦮃
戾也。从𦫳𠔁。𠔁、古文別。
𦫳部

𠦬部𠦬字條

𠦬
背呂也。象脅肋也。凡𠦬之屬皆从𠦬。
十二𠦬部

康煕字典

部・劃數
丿部七劃
古文
𦮃
𠁰

『唐韻』古懷切『集韻』『韻會』『正韻』公懷切、𠀤怪平聲。『說文』背呂也。象脅肋形。『玉篇』戾也、異也。睽也、背也。『易・序卦傳』家道窮必乖、故受之以睽。睽者、乖也。『左傳・昭三十年』伍員曰、楚執政衆而乖。

又貴州夷寨有乖西。

又『韻補』叶公回切、音規。『前漢・敘傳』官失學微、六家分乖。壹彼壹此、庶硏其幾。

部・劃數
丨部九劃

『字彙補』古文字。見急就章。

部・劃數
十部九劃

『玉篇』本字。

○按與古文字異。手字古文作𠂿、有剔。此無剔。

部・劃數
艸部・五劃

『直音』同。詳丿部乖字註。『集韻』或作𦮃

部・劃數
艸部六劃

『玉篇』古文字。註見丿部七畫。

又『集韻』空媧切、音跬。不正也。

音訓義

クヮイ(漢) クヱ(呉)⦅一⦆
クヮイ(推)⦅二⦆
そむく⦅一⦆
もとる⦅一⦆
たがふ⦅一⦆
はなれる⦅一⦆
官話
guāi⦅一⦆
粤語
gwaai1⦅一⦆

⦅一⦆

反切
廣韻・上平聲・皆・乖』古懷切
集韻・平聲二・皆第十四・𦭅』公懷切
『五音集韻・上平聲卷第二・皆第十一・見二媧』古蛙切
聲母
見(牙音・全清)
等呼
官話
guāi
粤語
gwaai1
日本語音
クヮイ(漢)
クヱ(呉)
そむく
もとる
たがふ
はなれる

⦅二⦆

反切
集韻・平聲二佳第十三』空媧切
『五音集韻・上平聲卷第二・皆第十一・溪二匯』苦淮切
聲母
溪(牙音・次清)
等呼
日本語音
クヮイ(推)
『集韻』𦮃、不正也。

解字

『説文解字』に𦭅は𦫳𠔁に從ふとするが、單なる字形の説明か、それとも字義に及ぶ説明なのか、不詳。前者であれば𠦬の異體字と見ることに矛盾はない。後者であれば𠔁はともかく𦫳の意義がよく分からないが、さりとて敢へて排除する根據も今のところ持ち合はせない。

𠦬を乖背の意に用ゐるのは、と同樣に解することができよう。

白川

象形。背の肉の左右に分かれる形に象る。

『説文解字』(𦭅字條)に戾るなりとし、また𠦬字條に背呂なり。脅肋に象る。とあばらの意とするが、ともに背肉の形。

左右に分かれるので、相背く意に用ゐる。

藤堂

中央の部分の左右に分かれた羊の角と、兩側の部分の左右に分ける印の會意で、分かれ離れるの意を含む。

漢字多功能字庫

𦫳𠔁に從ふ。隸變の後、乖に作る。違背を表す。『易・序卦』家道窮必乖、故受之以睽。睽者、乖也。

分離を表す。南朝梁・任昉〈與沈約書〉將乖之際、不忍告別。

隔絕、斷絕を表す。宋・歐陽修〈清平樂〉別來音信全乖、舊期前事堪猜。

差異、不同を表す。晉・葛洪『抱樸子・辭義』五味舛而並甘、眾色乖而皆麗。

反常(異常)、謬誤を指す。『禮記・樂記』亂世之音怨以怒、其政乖。

不順利(順調でない)、不如意を表す。唐・韓愈〈贈崔立之評事〉時命雖乖心轉壯、技能虛富家逾窘。

機靈(すばしこい、氣が利く、機轉が利く)、聰明を表す。唐・李廓〈上令狐舍人〉宿客嫌吟苦、乖童恨睡遲。

不淘氣(腕白でない)、馴服を表す。『西游記』第42回好乖兒女、也罷也罷、向前開路、我和你去來。

屬性

U+4E56
JIS: 1-48-10
𠁰
U+20070
𠦬
U+209AC
𦭅
U+26B45
𦮃
U+26B83

關聯字

𠦬に從ふ字