彧 - 漢字私註

説文解字

㦽

有文章也。从𡿿聲。於六切。

有部

説文解字注

㦽

有彣彰也。彣彰各本作「文章」、誤、今正。下曰「𢒰也」。是其轉注也。𢒰古多叚彧字爲之。彧者𡿿之隸變。今本『論語〔八佾〕』「郁郁乎文哉」、古多作彧彧。是以荀彧字文若。『宋書』王彧字景文。『大戴公冠篇』遵並大道邠或。邠或卽彬彧。謂彬彬彧彧也。『〔詩〕小雅〔信南山〕』黍稷彧彧。《傳》云、彧彧、茂盛皃。卽有彣彰之義之引伸也。

从有𡿿聲。於六切。古音在一部。讀如域。

康煕字典

部・劃數
彡部・七劃

『廣韻』於六切『集韻』『韻會』『正韻』乙六切、𠀤音郁。音1『廣韻』有文章也。『廣雅』文也。

又『玉篇』彧彧、茂盛貌。

又叶越逼切、音役。『詩・小雅』疆埸翼翼、黍稷彧彧。曾孫之穡、以爲酒食。

『玉篇』一作𢒖

部・劃數
彡部・八劃

『玉篇』同

部・劃數
彡部・十三劃

『廣韻』同。『集韻』作

部・劃數
戈部・十三劃

『集韻』乙六切、音郁。『說文』有文章也。从有𡿿聲。或作。通作郁。

音訓義

ヰク(漢) ヲク(呉)⦅一⦆
官話
⦅一⦆
粤語
juk1⦅一⦆

⦅一⦆

反切
廣韻・入聲・郁』於六切
集韻・入聲上屋第一』乙六切
『五音集韻・入聲卷第十三・屋第一・影三郁』於六切
聲母
影(喉音・全清)
等呼
官話
粤語
juk1
日本語音
ヰク(漢)
ヲク(呉)
彩がある。華やかで美しい。
彧彧は盛んに茂る意。
『廣韻』: 有文章也。: 上同。
『集韻』㦽彧: 乙六切『說文』有章也。或作彧、通作郁。文四十八。
『康煕字典』上揭

解字

白川

正字は𢒰に作り、彧聲。

詩・小雅・信南山』に黍稷彧彧(黍稷彧彧たり)とあり、穀物の實るさまをいふ。は穆の從ふところと同じく、穆も穀物の實るさまをいふ。

もと「黍稷彧彧」のやうに用ゐる字。のち文物の美をいふ。

𢒰

形聲。聲符は彧。彧がその初文。のち𢒰となり、郁となる。

『説文解字』に有部に屬し、文章有るなり。に從ひ、𡿿聲。とするが、𡿿(彧)は戈に呪飾を施した形。𢒰はその繁文と見るべき字で、有がその聲となる。

ゆゑに、字をまた郁に作る。『論語・八佾周監於二代、郁郁乎文哉。(周は二代にかんがみて,郁郁乎として文なるかな。)の郁を、《汗簡》に載せる『古論語』に𢒰に作る。

彧、𢒰、郁は三字みな同じく、古今の字。

藤堂

(模樣)と音符の會意兼形聲。或は區切りとの會意で、地域を區切つて守ること。彧は、一齣ごとに枠がついて、全體として模樣をなすこと。

𢒰

(ある)と音符彧(模樣が美しい)の會意兼形聲。

屬性

U+5F67
JIS: 1-84-30
JIS X 0212: 28-94
𢒖
U+22496
𢒰
U+224B0
U+39BD

關聯字

『廣韻』は㦽を戫に作るが、『康煕字典』は譌とする。彧と異なる音義があるので別條で扱ふ豫定。