甬 - 漢字私註

説文解字

甬
艸木華甬甬然也。从𢎘聲。
𢎘部

康煕字典

部・劃數
用部二劃

『唐韻』余隴切『集韻』『韻會』『正韻』尹竦切、𠀤音勇。『說文』草木華甬甬然也。『徐曰』甬之言涌也、若泉涌出也。

又甬道。『史記・秦始皇紀』築甬道。《註》應劭曰、謂馳道外築牆、天子於中、外人不見也。『項羽紀註』應劭曰、恐敵鈔輺重、故築牆垣如街。『淮南子・本經訓』修爲牆垣甬。道相連。《註》甬道、飛閣複道也。『韓愈詩』雲韶凝禁甬。《註》宮禁巷道也。『正字通』按甬道之名雖同、或馳道外、或軍伍中、或宮巷道、其用不一。

又『周禮・冬官考工記・鳧氏』鳧氏爲鍾、舞上謂之甬、甬上謂之衡。《註》此二名者、鍾柄。

又『揚子・方言』自關而東、𨻰魏宋楚之閒、保庸謂之甬。

又地名。『左傳・哀二十二年』越滅吳、請使吳王居甬東。甬東、越地、會㮷句章縣、東海中洲也。

又量名。『禮・月令』仲春之月、日夜分、則同度量、鈞衡石、角斗甬。《註》甬、今斛也。

又『博雅』甬、常也。

又『集韻』『韻會』𠀤杜孔切、音動、𠋫管也。與筩同。

音訓・用義

ヨウ(漢) 〈『廣韻・上聲・腫・勇』余隴切〉

甬道とは、兩側に牆のある道のこと。

解字

白川

象形。上部に繫けるところのある筒形の器、桶の初文。

説文解字に花の開くさまをいふとし、𢎘に從ひとするが、全體が象形の字。字形的にも𢎘や圅と關係のある字ではない。

金文の《毛公鼎》の車服賜與の中に「金甬」があり、車の軛端につける鈴飾りの吉陽甬をいふ。甬はその小鈴の象形。『後漢書・輿服志上』に字を筩に作るが、甬がその初文。

藤堂

と音符(上下に通す)の會意兼形聲。人が足で地面をとんと突くことを表す。勇(足踏みして勇み立つ)や踊の原字。

落合

の同源字。桶の把手を強調した形。繁文は桶。

漢字多功能字庫

金文は鐘の形に象り、上は鐘懸けの象、下は鐘體の象(楊樹達)。後に甬の下部は變形してとなり聲を表す。あるいはを加へて銿に作り、青銅で造られることを表す。銿は説文解字では鐘の或體として見える。傳世文獻では甬は鐘柄を表し、それで徐灝や高鴻縉は甬は鐘柄の象形とする。『周禮・考工記・鳧氏』鳧氏為鍾、兩欒謂之銑、銑間謂之于、于上謂之鼓、鼓上謂之鉦、鉦上謂之舞。舞上謂之甬、甬上謂之衡。鄭玄注(甬、衡)此二名者、鍾柄。楊樹達は、甬の本義は鐘で、後に用字が變遷、縮小して鐘柄の意となつたとする。

金文での用義は次のとほり。

甬は用を聲符とし、常々用の通假字となる。

甬はまた讀んで桶となされ、古代の量器の方形斛を指す。

甬はまた甬道を表す。樓房の間の、屋根があり、あるいは兩邊に牆があつて、遮蔽された通り道のこと。『正字通・用部』甬、甬道。

屬性

U+752C
JIS: 1-65-21

関聯字

甬聲の字