西 - 漢字私註

説文解字

西
西あるいはに作る。
鳥在巢上。象形。日在西方而鳥棲、故因以爲東西之西。凡西之屬皆从西。
十二西部
棲
西或从
卥
古文西。
卤
籒文西。

康煕字典

部・劃數
襾部(零劃)
古文

『唐韻』先稽切『集韻』『韻會』『正韻』先齊切、𠀤音粞。『類篇』金方也。『說文』鳥在巢上也。日在西方而鳥栖、故因以爲東西之西篆。文作㢴、象形也。『前漢・律歷志』少隂者西方、西遷也。隂氣遷落物、於時爲秋。『尚書・大傳』西方者何、鮮方也。或曰鮮方、訊訊之方也。訊者、訊人之貌。

又地名。『晉書・地理志』西郡。『韻會』唐置西州。

又姓。『通志・氏族略』西氏。『姓苑』西門豹之後、改爲西。

又『集韻』相咨切、音私。義同。

又『篇海』蘇前切、音先。『前漢・郊祀歌』象載瑜、白集西、食甘露、飮榮泉。『後漢・趙壹傳・窮鳥賦』幸賴大賢、我矜我憐。昔濟我南、今振我西。

又『韻補』斯人切、叶音辛。『王延壽・魯靈光殿賦』𤣥醴騰湧於隂溝、甘露被宇而下臻。朱桂黝鯈於南北、芝蘭阿那於東西。

又『類篇』乙却切、音約。平量也。

又『廣韻』籀文作

○按『玉篇』等書西字另一部。今从『字彙』『正字通』附入襾部。

部・劃數
卜部六劃

『集韻』西古作卥。註詳襾部。

部・劃數
弓部六劃

『集韻』西古作㢴。註詳部首。『說文』鳥在巢上。象形。日在西方而鳥棲、故以爲東西之西。

部・劃數
卜部五劃

『唐韻』籀文西字、卽字省文。

音訓

セイ(漢) サイ(呉) 〈『廣韻・上平聲・齊・西』先稽切〉
にし。にしのかた。にしする。

解字

白川

象形。卜文、金文の字形は、荒目の籠の形に象る。

説文解字に鳥、巢上に在るなり。象形。日、西方に在りて、鳥西す(巢に入る)。故に因りて以て東西の西と爲す。とする。

方位の字はみな假借。東は橐(ふくろ)の象形、は南人(苗族)の聖器として用ゐる銅鼓の象形で、苗人はその器を南任といふ。北は相背く形。

西の篆文の字形は疑ふべく、東西の意に用ゐるのは假借。

藤堂

象形。笊、籠を描いたもので、(笊狀の鳥の巢)にその原義が殘る。

笊に水を入れるとさらさらと流れ去つて、笊が後に殘ることから、日光や晝間の陽氣が、笊の目から拔けるやうに流れ去る方向、つまり「にし」を意味することとなつた。

落合

字源に諸説あるが、袋に鹽を入れた形の鹵に用ゐられてゐることから、目の細かい袋の象形と考へられる。具體的には巾着袋のやうなもので、甲骨文に袋の口を開けた字形、口を縛つた狀態の字形がある。

甲骨文での用義は次のとほり。單獨では原義での用法は見られない。

  1. にし。西の方向。
  2. 西の。西側の。
  3. 西にゆく。《合集》6928叀子效令、西。
  4. 殷の支配地のうち都から西にあるものの總稱。西土、西方とも稱される。《屯南》2377西方受年。
  5. 西方を掌る神格。西方とも稱される。《英藏》86禘于西十牛。
  6. 地名またはその長。領主は西子とも稱される。《合集》8832乙巳卜爭貞、呼取。在西、十月。
  7. 祭祀名。《合集》22294乙卯卜、西禦、用。
西母
祭祀對象の神名。女性神であらう。《合集》14345貞、于西母酒禘。
西邑
西方の都市。祭祀對象になつてをり、殷代前期の都である亳の別稱と思はれる。《合集》6156貞、燎于西邑。
西言
祭祀名。詳細不明。《合集》26743丙午卜疑貞、今夕、王西言。
西使
職名。西方の外交を擔當したやうであり、第一期(武丁代)に召の領主が任命されてゐた。《合集》5637西使召其有禍。

甲骨文の要素としては袋の意で用ゐられてゐる。

後代には袋の口を縛つた字形が繼承された。篆文では上部に曲線を附加した形をとるが、隸書以降には殘つてゐない。

漢字多功能字庫

甲骨文に二種類の字形がある。

一つ目の字形(補註: 落合が袋の口の開いた形とするもの)は鳥の巢の形に象り、本義は鳥の巢。日既に西に落ちるとき、鳥既に巢に入る、故にの初文(羅振玉)。後に東西の西に假借する。

一説に、西を以て日の落ちる方角の名とするのは派生義で、純粹な假借ではないといふ。その理由は西はもともと鳥が巢に歸ること、そこから夕刻に至り陽が西に落ちるときを聯想し、故に日の落ちる方角を名附けて西といふ(杜學知)。

二つ目の字形(補註: 落合が袋の口を縛つた形とするもの)はの假借。囟と西の古聲は同韻で近く、故に互ひに借りることができて、後に段々と變形して西の形となつた(張玉金、季旭昇)。

甲骨文、金文では西方の西を表し、また地名、宮室名に用ゐる。

屬性

西
U+897F
JIS: 1-32-30
當用漢字・常用漢字
U+5365
JIS X 0212: 20-29
卥󠄁
U+5365 U+E0101
CID+21235
U+38B4
U+5364

関聯字

西に從ふ字

西聲の字