沃 - 漢字私註

説文解字

𣵽

漑灌也。从聲。烏鵠切。

十一水部

説文解字注

𣵽

漑灌也。自上澆下曰沃、故下文云澆者「沃也」。『周禮』『左傳』皆言沃盥是也。水沃則土肥、故云沃土。水沃則有光澤、故毛傳云、沃沃、壯佼也。又云沃、柔也。

从水芺聲。烏酷切。古音在二部。隸作沃。

康煕字典

部・劃數
水部四劃

『廣韻』『集韻』『韻會』𠀤烏酷切、音鋈。音1『說文』灌漑也。『書・說命』啓乃心、沃朕心。『正義』當開汝心所有、以灌沃我心也。

又盛也。『詩・衞風〔氓〕』其葉沃若。《疏》沃若、沃沃然盛也。

又壯姣也。『詩・檜風』夭之沃沃。《傳》沃沃、壯姣也。

又柔也。『詩・小雅』其葉有沃。《傳》沃、柔也。

又土不磽曰沃壤。『左傳・襄二十五年』楚蔿掩爲司馬、井衍沃。《註》衍沃、平美之地。

又盥手曰沃盥。『周禮・夏官』小臣大祭祀沃王盥。《疏》言爲王沃手、盥手也。又『左傳・正義』盥謂洗手、沃謂澆手。

又泉名。『爾雅・釋水』沃泉縣出。

又水名。在沃陽縣西北。『水經注』中陵水東逕沃陽縣、又西北流注沃水。

又九土之一。『淮南子・地形訓』正南次州曰沃土。

又閩南人謂雨淋曰沃。見『鄭瑗井觀瑣言』。

又曲沃、晉邑名。『詩・唐風』素衣朱襮、從子于沃。『廣輿記』曲沃縣、屬山西平陽府。

又姓。沃丁之後。吳有沃焦、著『神仙傳』。

又『集韻』鬱縛切、音艧。音3茂貌。『詩・衞風』其葉沃若、徐邈讀。

『說文』本作𣵽、今省。

部・劃數
水部八劃

『唐韻』『集韻』𠀤烏酷切、音鋈。『說文』漑灌也。與同。

又『集韻』於到切、音奧。音2義同。

異体字

或體。

音訓義

オク(漢)(呉) ヨク(慣)⦅一⦆
アウ(推)⦅二⦆
ワク(推)⦅三⦆
そそぐ⦅一⦆
官話
⦅一⦆
粤語
juk1⦅一⦆

⦅一⦆

反切
廣韻・入聲・沃・沃』烏酷切
集韻・入聲上・𣵽第二・𣵽』烏酷切
『五音集韻・入聲卷第十三・沃第二・影一沃』鳥酷切
聲母
影(喉音・全清)
等呼
官話
粤語
juk1
日本語音
オク(漢)(呉)
ヨク(慣)
そそぐ
水を灌ぐ、かける。灌漑。
手を洗ふ。沃盥。
肥える。肥えた土。肥沃。沃土。
美しい。艷やか。柔らか。盛ん。沃若。沃沃。
『廣韻』: 灌也。『說文』作𣵽。又姓。太甲子沃丁之後、出『風俗通』。烏酷切。七。
『集韻』𣵽沃: 烏酷切。『說文』溉灌也。或作沃。亦姓。文十五。
『康煕字典』上揭

⦅二⦆

反切
集韻・去聲下号第三十七』於到切
『五音集韻・去聲卷第十一・号第十四・影一奥』烏到切
聲母
影(喉音・全清)
等呼
日本語音
アウ(推)
⦅一⦆の異音。
『集韻』𣵽: 漑也。
『康煕字典』上揭

⦅三⦆

反切
集韻・入聲下・藥第十八・雘』郁縛切
『五音集韻・入聲卷第十五・藥第一・影三嬳』憂縳切
聲母
影(喉音・全清)
等呼
日本語音
ワク(推)
『集韻』: 茂皃。『詩〔衛風・氓〕』「其葉沃若」、徐邈讀。
『康煕字典』上揭

⦅外⦆

本邦では、沃度、沃素(jawp)の字に用ゐる。漢語では碘を用ゐる。

解字

白川

形聲。聲符は。正字は𣵽に作り聲。

『説文解字』に漑灌するなりとあり、農地に水を注ぐことをいふ。

周禮・夏官・小臣大祭祀、朝覲、沃王盥。(大祭祀には朝覲し、王にそそぎて盥せしむ。)とあつて、手を洗ひ清める沃盥の義が、字の初義であらう。故に「つややか」「ゆたか」の意がある。『詩・衛風・氓其葉沃若(其の葉、沃若たり)とはその意。

のち沃土、沃野の意に用ゐる。

藤堂

と音符の會意兼形聲。夭は、手足を擴げた人の頭が橫に曲がつた姿で、しなやかの意を含む。沃は、水で潤してしなやかにすることを表す。

屬性

U+6C83
JIS: 1-45-64
常用漢字(平成22年追加)
𣵽
U+23D7D
𦰚
U+26C1A

関聯字

沃聲の字