鳥 - 漢字私註

説文解字

鳥
長尾禽緫名也。象形。鳥之足似匕、从。凡鳥之屬皆从鳥。
鳥部

康煕字典

部・劃數
部首

『唐韻』都了切『集韻』『韻會』丁了切、𠀤音蔦。『說文』長尾禽總名也。『正韻』常時曰鳥、胎卵曰禽。『爾雅・釋鳥』鳥之雌雄不可別者以翼、右掩左雄、左掩右雌。『書・堯典』厥民析鳥獸孳尾。『周禮・秋官・翨氏』掌攻猛鳥。又『硩蔟氏』掌覆妖鳥之巢。《註》硩、摘也。摘其巢而去之。『正字通』二足而羽謂之禽。或曰鳥觜曰咮曰喙、爪曰距、尾曰翠、一作臎、一名尾罌。膍胵曰奧、嚨曰亢曰員官、項畜食處曰嗉、翅曰翮曰翎、頸毛曰翁、腳短者多伏、腳長者多立、腳近翠者好步、腳近臆者好躑。『師曠・禽經』羽蟲三百六十、毛協四時、色合五方。

又星名。朱鳥、南方七宿名。『書・堯典』日中星鳥。

又國名。『山海經』鹽長之國有人鳥首、名曰鳥氏。

又山名。鳥䑕。『地志』在隴西郡首陽縣西南、禹貢、終南惇物至于鳥䑕。又『山海經』鳥危之山、鳥危之水出焉。

又官名。『周禮・夏官』射鳥氏掌射鳥。『左傳・昭十七年』少皡摯之立也、紀於鳥、爲鳥師、而鳥名。

又秦之先有鳥俗氏。『史記・秦本紀』大費生子二人、一曰大廉、實鳥俗氏。『索隱曰』以仲衍鳥身人言、故爲鳥俗氏。

又丹鳥、白鳥、俱蟲名。『夏小正』丹鳥者、丹良也。白鳥者、蚊蚋也。

又妙音鳥。『法華經偈頌』聖主天中王、迦陵頻伽聲。《註》迦陵頻伽、妙音鳥也。鳥未出聲時、卽發音微妙、一切天人聲皆不及、惟佛音類之、故以取况。

又『正韻』尼了切、音裊。義同。

又『集韻』『類篇』𠀤與同。『書・禹貢』島夷皮服。『史記・夏本紀』『前漢・地理志』𠀤作鳥夷。孔讀鳥爲島。

又『字彙補』子削切、音爵。『前漢・地理志』武威郡鸞鳥縣。『後漢・段熲傳』欲攻武威、熲復追擊於鸞鳥。《註》鳥音爵。

又叶都縷切、音女。『史記・自序』穆公思義、悼殽之旅。以人爲殉、詩歌黃鳥。

又叶丁柳切、音近斗。『前漢・敘傳』沐浴尸鄕、北面奉首。旅人慕殉、義過黃鳥。

異體字

簡体字。

音訓

テウ(漢、呉) 〈『廣韻・上聲・篠・鳥』都了切〉
とり

解字

白川

象形。鳥の全形に象る。その省形は

説文解字に鳥の足は匕に似たり。に從ふ。とするが、字の全體が象形。

(説文解字は)隹を短尾の鳥とするが、雉翟が隹に從ふことからいへば、鳥、隹の別は尾の長短にあるのではない。卜文では神聖鳥のとき、鳥の象形字を用ゐることが多い。

と通用し、またその音で人畜の牡器をいひ、賤しめ罵る語に用ゐる。

藤堂

象形。尾のぶら下がつた鳥を描いたもの。

北京語 niǎo は、ぶらりと垂れた男性器(屌; diǎo)と同音であるのを避けた忌み言葉。

落合

甲骨文は鳥の姿をより詳細に表現した形。異體字には隹にやや近い形も見られる。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. とり。鳥類。《合集》17366…之日、夕、有鳴鳥。
  2. 地名。殷金文の圖象記號にも見える。《殷墟甲骨輯佚》977癸未卜在鳥盖貞、王步于…亡災。
  3. 祭祀名。《甲骨綴合集》168貞、禘鳥三羊三豖三犬。
鳥星
星の名。祭祀對象。いづれの星かは不明。《合集》11500・驗辭…雩。庚子、藝鳥星。七月。
生雛鳥
生まれたばかりの鳥であらう。

字の要素として隹と同じく鳥に關係する字に用ゐられるが、甲骨文では隹よりも使はれる頻度が低い。

漢字多功能字庫

字は側面から見た鳥の形を象る。本義は鳥。典型的な象形字で、甲骨文にも金文にも多く見える。

字形は一羽の尾の長い鳥のやうであり、鳥の爪は後に變形して四點となつた(沈培)。

甲骨文では、人名、地名に用ゐ、また本義に用ゐる。《合集》116呼取生芻鳥の生芻鳥は生きてゐる雛鳥のこと。

金文では人名、族氏名に用ゐる。

鳥との古文字はいづれも鳥類の象形で、通用する。鳥字のほか、古文字に多くの鳥類と關係のある象形字があり、形體的分別は多く冠あるいは尾の部分の樣式の違ひにある。舄、焉、鳶、燕など。鳥字は後に鳥類あるいは飛禽の通稱とされる。《上博竹書二・容成氏》北方之旗以鳥は、北方の旗は鳥を圖案に用ゐることを表す。鳥が鳥類の意となつた後、多くの異なる雀鳥を鳥に音譬を加へた形聲字で表す。それらの字は『爾雅・釋鳥』に詳述されてゐる。

鳥字は『廣韻』に都了切とあり、端母の字に屬す。現代方言で段階の違ひがある。粵語では鳥は鼻音聲母讀法(niu5)と塞音聲母讀法(diu2)を有す。鼻音聲母讀法は現在常用される讀音で、「比翼鳥」、「鳥語花香」などの語はこの音で讀む。塞音讀法は罵詈の語に殘り、口語で多用され、比較的早期の段階の讀音に屬し、比較的古い特徵を具へる。人や畜の雄の生殖器を指し、後世では屌を用ゐて表す。早くは『水滸傳』七十一回に「招安,招安,招甚鳥安とあり、四十四回に哥哥、你看我結果那呆鳥とある。『西廂記』三本三折にも赫赫、那鳥來了とある。

屬性

U+9CE5
JIS: 1-36-27
當用漢字・常用漢字
U+9E1F

関聯字

鳥に從ふ字

説文解字・鳥部のほか、以下の字など。

鳥聲の字