玄 - 漢字私註

説文解字

玄
幽遠也。黑而有赤色者爲玄。象幽而入覆之也。凡玄之屬皆从玄。
玄部
𠵓
古文玄。

康煕字典

部・劃數
部首

『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤瑚涓切、音懸。『易・坤卦』天玄而地黃。《疏》玄、天色。『揚雄・甘泉賦』將郊上玄定泰畤。《註》上玄、天也。『隋書・高帝紀』受命上玄、廓淸區宇。聖靈垂祐、文武同心。『梁書・朱异傳』聖明御㝢、上應蒼玄。

又『黃庭經』心爲上玄。

又『說文長箋』黑而有赤色者爲纁、有黃色者爲玄。『禮・王制・疏』玄衣法天。『禮運・五色六章疏』五色加天玄爲六章。又干支名。『爾雅・釋天』壬曰玄黓。

又月建九月爲玄月。

又理之微妙者爲玄。『參同契』惟昔聖賢、懷玄抱眞。『顏延之詩』探道好淵玄、觀書鄙章句。『姚嵩・上述佛義表』理玄者、非可以言稱。事妙者、固非常詞之所贊。

又淸靜也。『前漢・揚雄傳』人君以玄默爲神、澹泊爲德。又『西域傳』値文景玄默、養民五世、天下殷富、財力有餘、士馬强盛。

又深也。『前漢・揚雄傳』麗哉神聖、處於玄宮。

又北方之神。『禮・曲禮』前朱雀而後玄武。

又神仙名號。『神仙傳』老子、上三皇時爲玄中法師、下三皇時爲金闕帝君。『又』葛仙翁、名玄、從左元放受九丹金液仙經。『續仙傳』張志和、號玄眞子。『仙傳拾遺』薛玄眞、遨遊雲泉、得長生之道。『舊唐書・明皇紀』徵恆州張果、賜號通玄先生。『太平廣記』處士伊祁玄解、縝髮童顏、氣息香潔、與人話千百年事、皆如目擊。

又姓。『世本』黃帝臣玄壽。『列仙傳』玄宿、河閒人。

又山名。『神仙傳』天門子、年二百八十歲、猶有童子之色。服珠醴得仙、入玄洲山去。

又玄圃、天帝都也。『淮南子・覽冥訓』昆侖、去地一萬八千里、上有曾城九重。或上倍之、是謂閬風。或上倍之、是謂玄圃。

又玄都。『十洲記』玄洲在北海、去岸三十六萬里、上有太玄都、仙伯眞公所治。『玉京經』玄都、玉京山有七寶城、太上無極大道虛皇君之所治也。

又『禮・禮運』玄酒在室。《註》玄酒、水也。

又『爾雅・釋親』曾孫之子爲玄孫。『韋誕・親蠶頌』苞繁祐於萬國、卷福釐以言旋。美休祚於億載、啓百世之曾玄。

又書名。『前漢・揚雄傳』雄以爲經莫大於易、故作太玄。

又與同。『司馬相如・封禪書』采色玄耀。《註》玄、讀曰炫。

又叶五分切、音雲。『班固・東都賦』女修織絍、男務耕耘。器用陶匏、服尚素玄。

清聖祖の諱を避けて一劃を缺いて作る。

廣韻

黒也、寂也、幽遠也。又姓列仙傳有玄俗河閒人無影。胡㳙切。十三。

異體字

説文解字の重文。古文。

音訓

グヱン(呉) クヱン(漢) 〈『廣韻・下平聲・先・玄』胡㳙切〉
くろ。あかぐろ。くらい。しづか(玄靜)。ふかい(玄奧、玄妙)。

解字

白川

象形。絲束を拗ぢた形に象る。黑く染めた絲をいふ。

説文解字に幽遠なりとし、黑にして赤色有る者を玄と爲す。幽に象り、入は之を覆ふなり。𢆶に從ふ字とするが、入とする部分は絲束の上部を結んだ形。上を結んだ絲束を染汁に浸して黑く染める。その結んだ部分は色に染まずに殘るので、素といふ。

周禮・考工記・鍾氏』に染色の法を記し、三入を纁、五入を緅、七入を緇といふ。玄は緇に近く、その色相は幽深であるので、幽玄といひ、幽遠の意に用ゐる。

藤堂

と一印の會意。幺(細い絲)の先端がわづかに一線の上にのぞいて、よく見えないさまを示す。

落合

と同源の字。

甲骨文は絲束の象形。幺が元の形を良く殘してゐる。

甲骨文では午の意のほか、黑色の意に用ゐ、玄に當たる。《合集》33276乙巳貞、求禾于夒、三玄牛。

玄は幺の上部を強調した形で、古文から篆文に掛けて字形が分化した。

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甲骨文は絲繩の形を象る。白川静は白い絲束を束ね、染色用の甕に入れて液に浸し、黑色に染めるさまを象るとする。玄の古義は黑、大概が黑色の中に少しだけ赤色を帶び、色感は深奧幽遠、辨別が難しく見え、後に深奧、幽遠、玄妙などの義を派生する。王筠『說文句讀』は、古代には玄とは同形であつたが、音義いづれも區別があつたと指摘する。金國泰、何琳儀らは、玄、幺は一字の分化したものとする。林義光は、絲の形を象り、本義は懸けること、そこから玄奧の意を派生するとする。

甲骨文、金文では赤黑色を表す。

戰國竹簡での用義は次のとほり。

屬性

𤣥
U+248E5
U+7384
JIS: 1-24-28
當用漢字・常用漢字
𠵓
U+20D53

関聯字

玄に從ふ字

玄聲の字