甘 - 漢字私註

説文解字

美也。从。一、道也。凡甘之屬皆从甘。
甘部

康煕字典

部・劃數
部首
古文
𠙸
𠙿

『唐韻』古三切『集韻』『韻會』『正韻』沽三切、𠀤感平聲。『說文』美也。『徐曰』物之甘美者也。『韻會』五味之一。『正韻』甜也。『書・洪範』稼穡作甘。《傳》甘味生于百穀。『詩・衞風』誰謂荼苦、其甘如薺。『禮・月令』中央土、其味甘。

又言之悅耳。亦曰甘。『左傳・昭十一年』幣重而言甘。

又『詩・衞風』願言思伯、甘心首疾。《傳》甘、厭也。《疏》謂思之不已、乃厭足於心、用是生首疾也。凡人飮食口、甘遂至于厭足、故云、甘、厭也。

又『左傳・莊九年』管召、讎也。請受而甘心焉。《註》甘心、言欲快意戮殺之。

又『易・臨卦』六三甘臨、无攸利。《註》甘者、佞邪說。媚不正之名也。

又『玉篇』樂也。『淮南子・繆稱訓』故人之甘甘非正爲蹠也。《註》人之甘甘、猶樂樂而爲之。

又『淮南子・道應訓』大疾則苦而不入、大徐則甘而不固。《註》甘、緩意也。

又姓。『書・說命』台小子舊學于甘盤。《註》甘盤、殷賢臣。又甘茂甘羅、𠀤秦人。又『抱朴子辯問卷』子韋甘均、占𠋫之聖也。又漢複姓有甘莊甘土甘先三氏。

又地名。『書・甘誓』大戰于甘。《傳》甘、有扈郊地名。『左傳・僖二十四年』初、甘昭公有寵於惠后。《註》甘昭公、王子帶也、食邑於甘。又『昭十七年』陸渾子奔楚、其衆奔甘鹿。《註》甘鹿、周地。

又山名。『山海經』中山經、薄山之首曰甘棗之山。

又水名。『山海經』鹿蹄之山、甘水出焉。《註》按【水經】甘水出南山甘谷。

又州名。『五音集韻』元魏西涼州攺甘州。

又『前漢・郊祀志』武帝作甘泉宮。

又木名。『詩・召南』蔽芾甘棠。《傳》甘棠、杜也。《疏》郭璞曰、今之杜梨。『山海經』有不死之國、阿姓、甘木是食。《註》甘木卽不死樹。

又『正韻』果名、俗作。『風土記』甘橘之屬、滋味甘美。又『古今注』甘實形如石榴者、謂之壷甘。

又草名。『博雅』陵澤、甘遂也。『又』美丹、甘草也。

又『集韻』古暗切、音紺。土之味也。

又『集韻』『韻會』『正韻』𠀤胡甘切、音酣。『書・五子之歌』甘酒嗜音。

又熟也。『莊子・徐無鬼』甘寢。○按『正韻』別作戸甘切、胡、戸同母。不宜分列。

部・劃數
凵部二劃

『集韻』古作𠙸。註見部首。

部・劃數
凵部四劃

『集韻』古作𠙿。註詳部首。

音訓

カム
あまい。うまい。あまんずる。

解字

白川

象形。左右の上部に横に鍵を通す錠の形で、拑、の初文。中にものを嵌入する意がある。甘聲の字は概ねその聲義を承ける。

説文解字に甘美の意とするが、それは苷、酣の義を取つたものであらう。甘苦の字は苷がその本字。

藤堂

と點の會意。口の中に點で示した食物を含んで味はふことを示す。ながく口中で含味する、うまい(あまい)ものの意となつた。

落合

指示。甲骨文や金文は、の中に指示記號の小點を加へた字。口中にものを含んだ狀態を表してをり、「うまい」「あまい」の意は後起の派生義であらう。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 地名またはその長。《合集補編》1573貞、王去朿于甘。
  2. 祭祀名。《殷墟花園莊東地甲骨》505…貞、目筆亡其侑甘。

現存の資料では苷字の初例は篆文だが、戰國期には甘字に美味の意が出現してをり、甘美の意が苷から轉じたと解釋するのは不可。

漢字多功能字庫

に從ふ。字は口に物を含むさまを象り、含の初文(馬敘倫)。甘美な物は人が好んで含むものであり、故に甘味の意を派生した。口の中の横劃は指示符號で、戰國文字には輪つかにつくるものもある(參・《郭店楚簡・老子甲》簡19字形)。

甲骨文では地名に用ゐる。《合集》8001王往于甘。

金文や戰國幣文に多く「甘丹」の語があり、地名に用ゐ、趙の都の邯鄲を指す。甘丹上庫戈甘(邯)丹(鄲)上庫。『左傳・定公十三年』以邯鄲叛。今の河北邯鄲の西南にある。

戰國竹簡での用義は次のとほり。

古璽文では甘を姓氏に用ゐる。《姓觿・覃韻》甘、《姓源》云、夏時侯國、『書』稱《甘誓》是也。以國為氏。《姓譜》云、武丁臣甘盤之後。《姓考》云、周封王子帶于甘、『左傳』甘昭公是也。或曰、武王封同姓于甘、『左傳』甘伯桓公是也。後以邑為氏。

屬性

U+7518
JIS: 1-20-37
當用漢字・常用漢字
𠙸
U+20678
𠙿
U+2067F

関聯字

甘に從ふ字

甘聲の字