伯 - 漢字私註

説文解字

伯
長也。从聲。
人部

説文解字注

伯
長也。〔爾雅〕釋詁』『〔詩・小雅〕正月・傳』同。『〔詩・周頌〕載芟・傳』云、伯、長子也。『〔詩・衞風〕伯兮・傳』云、伯、州伯也。一義之引伸也。凡爲長者皆曰伯。古多假柏爲之。从人白聲。博陌切。古音在五部。

康煕字典

部・劃數
人部五劃

『唐韻』『集韻』『正韻』𠀤博陌切、音百。『說文』長也。『釋名』父之兄曰伯父。伯、把也、把持家政也。

又兄曰伯。『詩・小雅』伯氏吹塤。

又第三等爵曰伯。又『周禮・春官』大宗伯之職、以九儀之命、正邦國之位、九命作伯。《註》上公有功德者、加命爲二伯、得征五侯九伯者。《疏》公羊傳、自陝以東、周公主之。陝以西、召公主之。是東西二伯也。言九伯者、九州有十八伯、各得九伯、故云九伯也。

又婦人目其夫曰伯。『詩・衞風』伯也執殳。

又馬祖、天駟、房星之神曰伯。『詩・小雅』旣伯旣禱。《註》以吉日祭馬祖而禱之。

又鳥名。『左傳・昭十七年』伯趙氏、司至者也。《註》伯趙、伯勞也。

又姓。益之後。春秋時有伯宗、伯州犂。

又同。『史記・酷吏傳』置伯格長。《註》言阡陌村落皆置長也。

又『正韻』必駕切。同。五伯、齊桓、晉文、秦繆、宋襄、楚莊也。伯叔伯長之義、後人恐與侯伯字溷、故借霸字別之。

又叶蒲各切、音博。『詩・大雅』王錫申伯。叶下蹻濯。

又叶壁益切、音必。『史記・敘傳』維弃作稷、德盛西伯。

又叶博故切、音布。『揚雄・解嘲』子胥死而吳亡、種蠡存而越伯。五羖入而秦喜、樂毅出而燕懼。

音訓

(1) ハク(漢) ヒャク(呉) 〈『廣韻・入聲・陌・伯』博陌切〉[bó]{baak3}
(2) ハ(漢) 〈『正韻』必駕切、同〉[bà]{baa3}
(1) をさ。かしら。あに。をぢ(伯父)。をつと。みち。
(2) はたがしら

解字

白川

形聲。聲符は。白は白骨化した頭顱の象形で、首長達の首は白骨化して保存された。その人を伯といふ。

『説文解字』に長なり、《繫傳》に諸侯の長なりとあつて侯伯の義。

卜辭に外方の君長を「虎方伯」のやうにいふ。

金文の《大盂鼎》に邦司四白(伯)夷司王臣十又三白(伯)、また《宜侯夨𣪘》に鄭の七白(伯)、厥の鬲千又五十夫を賜ふとあり、農耕の管理者を伯と呼ぶのは、外方伯の名殘であらう。

周では兄弟の序列を、伯、、叔、季といつた。金文の作器者の名に伯懋父、白龢父のやうにいふ例が多い。

藤堂

形聲。に從ひ聲。

父と同輩の年長の男を表すのに、その音に當てた字。

落合

に意符としてを加へた字。秦代に初出。純粹な形聲字とする説もあるが、白には甲骨文の段階から領主を指す用法があるので、亦聲の形聲字と見るべし。

漢字多功能字庫

に從ひ聲。兄弟の中で排行が一番目、最年長の者を表す。

甲骨文、金文の白は轉じて伯仲の伯を表す。小篆の字形は人を加へて伯につくる。

古代には伯、、叔、季で兄弟の間の長幼の順序を表す。伯は長子、その次は仲や叔、季は最も幼い弟。もし兄弟が四人より多ければ、伯、仲、季以外の兄弟はみな叔と稱する。

古書では最年長を伯と稱することもあれば、と稱するときもある。伯は專ら正夫人の生んだ長子を指し、庶長子の孟と相對する。

伯はまた父親の兄を指す。父親世代の親類友人の年長者もまた伯と稱す。

伯はまた古代の、男性の長者に對する尊稱。

また古代に一地方を管理した長官を伯と稱す。

また古代の五等の爵位の第三位を表す。

伯はと通じ、春秋時代の諸侯の盟主を表す。

動詞となして霸を稱へることを表す。

伯はまたと通じ、田の間の小路を表す。

屬性

U+4F2F
JIS: 1-39-76
當用漢字・常用漢字